設計者CAEは普通の解析と何が違う?(5)
“場当たり的なCAE”をなくすための理想的なアプローチについて考える(2/2 ページ)
一番理想的な考え方
筆者は、CAEの立ち上げから経験を重ねてきたことで、場当たり的なCAEを取りあえず行うのではなく、詳細設計の着手より、何を解析すればいいのかを考えるようになりました。そして、さまざまな事例を聞く中で、例えば“解析レポート”をまとめて設計と共有したり、解析をどのように行うべきかを筆者自身がシナリオとしてまとめたりと試行錯誤してきました。しかし、そうした取り組みもむなしく、どうしても設計者を巻き込むことができませんでした。
そこで、筆者がその解決策として着目したのが「FMEA」です。FMEAとは“Failure Mode and Effect Analysis”の略で、日本語では「故障モードとその影響の解析」と訳します。
その目的は、故障/不具合の防止を目的とした、潜在的な故障や不具合を探るための分析方法です。とても有名なので、使用したことはなくても名前だけは聞いたことがあるという方もいるでしょう。そしてさらに、設計に着目して、設計FMEA(以降DFMEA)をCAE運用に活用できないかと考えました。
DFMEAの場合、これまで故障も不具合もない、または過去には故障や不具合があったが解決されたもののリピートであれば、その故障モードの解析はないと考えます。しかし、設計仕様が変更された場合や、新規設計の場合は、故障や不具合の生じる可能性があります。言い換えれば、故障や不具合が潜んでいるともいえます。
設計変更は、これまで設計実績があるものに対して、寸法変更や寸法公差、幾何公差の変更や、材料を変更したようなもの、同じ製品仕様を持つような購入品の変更を指します。
設計仕様変更は、設計要求仕様の変更だけではなく、コストダウンを行わなければならない場合にも発生します。新規設計はその通り、これまで存在しない新たな製品を新規で設計したものです。部品に注目すれば、新規の加工品の形状だけではなく、新規採用の購入品も該当します。新規設計の場合は、全くの新規の場合もありますが、筆者の経験の中では流用設計も多いことから、設計変更とその意味合いが近いこともあります。
補足ですが、一般的なFMEAであれば、材料の仕入れ先、加工工程の変更などがあった場合、故障や不具合の要因として挙げる必要があります。設計変更と新規設計に着目したこの考え方は、設計者CAEの現場において合理的です。筆者もこの方法に今挑戦しています。
この考え方や進め方にも課題があります。一例ですが、以下に装置の受注から出図までの流れを示してみます。
顧客から新規案件が提示されると、その案件(構想設計)担当者が割り当てられます。その担当者は仕様構想を行う中で、レイアウト製図、仕様書作成、原価見積もりを行います。これらは顧客打ち合わせによりブラッシュアップされ、受注となります。設計品質としては、このときに“おおかたの品質”が作られていきます。違う言い方をすると、受注となった後に、構想設計に戻ることは難しいともいえます。
構想設計時に“設計リスク”に気が付いていればよいのですが、そうでないことがほとんどです。要求仕様に対して詳細な設計仕様を、この時点で決めていないからです。受注後に構想設計担当者が詳細設計を行うこともあれば、そうでないこともあります。こうなると、隠れたリスクがあったとしても気が付かないまま異なる設計者に、隠れたリスクは引き継がれ、その発見も遅れてしまいます。
少し長くなりそうなので、この続きは次回お届けすることにします。お楽しみに! (次回に続く)
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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