組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(1)
若き組み込みエンジニア、B君の憂鬱(2/3 ページ)
テスト項目設計の適切さ
■表1.B君のデバッグ進捗
| プログラム名称 | ステップ数 | テスト項目総数 | 実施済テスト項目数 | 検出バグ数 | 修正済みバグ数 |
|---|---|---|---|---|---|
| モジュール_01 | 352 | 31 | 31 | 4 | 4 |
| モジュール_02 | 299 | 35 | 35 | 0 | 0 |
| モジュール_03 | 1227 | 481 | 481 | 3 | 3 |
| モジュール_04 | 584 | 24 | 2 | 13 | 6 |
| モジュール_05 | 207 | 85 | 85 | 0 | 0 |
| モジュール_06 | 306 | 68 | 68 | 37 | 37 |
| モジュール_07 | 471 | 11 | 11 | 0 | 0 |
| モジュール_08 | 392 | 9 | 9 | 0 | 0 |
| モジュール_09 | 227 | 35 | 5 | 0 | 0 |
| モジュール_10 | 82 | 9 | 9 | 0 | 0 |
| モジュール_11 | 102 | 10 | 10 | 0 | 0 |
| 合計 | 4247 | 798 | 746 | 57 | 50 |
診断:テスト項目設計の妥当性は、「モジュールのソースコードのステップ数とテスト件数の比率」を見ると、ある程度、判断できます。平均的には「ソースコード10ステップにつきテスト項目1件」で、一般には以下の比率になることが多いようです。
| ソースコードの種類 | ステップ数とテスト項目の比率 |
|---|---|
| バッチ系のソフトウェア | 15~10ステップで1件 |
| コンパイラやOS系 | 10ステップで1件 |
| リアルタイム制御系 | 5ステップで1件 |
優先度の高いプロセスが後から割り込んできて、CPU時間をはじめとするリソースを全て独占するリアルタイム系ではいろいろな事態を想定するため(自動車ならばエンジン制御より、衝突事故を検知してエアバッグを膨らませるプロセスが最優先になります)、テスト件数は膨大な数になります。
上記はあくまで目安であり、正当な理由があって上記の範囲をはみ出る場合もあります。まずは、B君のテスト項目をチェックする必要があります。上記のデータを見ると、以下の2点が気になります。
(1)ソースコード行数に比べ、テスト項目が異常に多い
「モジュール_03」「モジュール_05」は、3ステップで1件のテスト項目を作っており、これは多いと判断できます。このテスト項目数過多の原因は大きく分けて2つあります。1つは「自分がよく理解しているモジュールであるため、細かいテストもしたくなる」場合、もう1つは「複数の入力パラメータ、例えば、『入場料割引き判定』で、割引する曜日、時間帯、高齢者、サービス券持参、ポイント割引などの要素を全部組み合わせて、妥当性を判断している」場合です。
前者であればそれほど害はありませんが、後者はバグを摘出する「打率」の低いテスト項目を大量に作っているため、効率の良いテスト項目の設計法を指導する必要があるでしょう。
(2)ソースコード行数に比べ、テスト項目が異常に少ない
「モジュール_04」「モジュール_07」「モジュール_08」は、30~40ステップにテスト項目が1件しかなく、「テスト件数過少」です。これも、正当な理由があればいいのですが、件数過少になり得る原因も挙げられます。
1つは「設計している時間がなかった」、もう1つは「モジュールの機能を十分理解していない」です。B君の場合、他のモジュールでは、「テスト項目数過多」になっているため、「テスト項目を設計する時間がなかった」が原因ではありません。「モジュール_04」は、デバッグが進んでおらず苦戦していますが、その原因は、「機能の理解不足」と推測できます。ベテラン技術者にB君を指導させ、機能の整理をするといいでしょう。
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