大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intel「迷走の構図」 NVIDIAとの協業にも浮かぶ疑問符(2/5 ページ)
Arrow Lakeベースのデスクトップ向けCore Ultraは「失敗」
次の価格の話は、8月28日に同社CFOであるDave Zinsner氏がDeutsche Bank's 2025 Technology Conferenceで語った内容に関係してくる。
この中でZinsner氏は"As you know, we kind of fumbled the football on the desktop side, particularly high performance desktop side. So we're as you kind of look at share on a dollar basis versus a unit basis, we don't perform as well and it's mostly because of this high end desktop business that we didn't have a good offering this year. But NovaLake, which is the next product, is a more complete set of SKUs.(ご存じのように、われわれはデスクトップ側、特にハイパフォーマンスデスクトップ側では失敗してしまった。出荷ベースに対する金額ベースでシェアを見ると、われわれはあまり良いパフォーマンスを発揮していない。これは主に、ハイエンドのデスクトップビジネスが要因で、ことしは良い製品を提供できなかった。しかし、次の製品であるNovaLakeは、より完全なSKUのセットである)"としている。Arrow LakeベースのDesktop向けCore Ultraが失敗に終わったことを率直に認め、続くNovaLakeではこれを取り返す見込みであるとしている訳だが、"share on a dollar basis versus a unit basis, we don't perform as well and it's mostly because of this high end desktop business that we didn't have a good offering this year"、つまり、売り上げ個数の割に売り上げ金額が伸びていないことが大きな問題としている。
Core i9の方が売れている
これについてはちょっと面白い数字がある。図1はAmazon.co.jpにおける、Core i9-14900Kの新品価格の変動を直近1年でプロットしたもの。図2は同様にCore Ultra 9 285Kの変動をプロットしたものである。
Core i9-14900Kは2023年10月の発売なので、もう既に2年が経過している。当初こそ12万円超えで発売されていたもののすぐに価格は10万円前後まで落ち、ここ1年で言えば8万円前後で推移している。ことし(2025年)4月頃からはRaptor Lakeの電圧制御問題もあって人気が激減したため、いきなり価格が7万を割り込むこともあったが、対策Firmwareが登場した9月以降は再び8万円台に価格を戻している。
他方、Core Ultra 9 285Kは2024年10月に発売とされたものの当初は在庫が極端に薄く、Amazonでは12月25日~28日に少量在庫があった(この時の価格は11万6000円ほど)ものの、すぐに蒸発。安定して発売できるようになったのは2025年3月に入ってからだが、4月に入ると価格が1万円近く下がり、6月にもさらに下がると言った具合。6月以降は10万1000円ほどまで価格が下がり、ここから安定供給が続いている。「安定供給が続いている」というのは要するに「売れ行きが芳しくなく、在庫が潤沢」であることの裏返しであり、逆にCore i9-14900Kは在庫が払底している。
何が起きているかといえば、要するに絶対的な性能で言えばCore i9-14900KとCore Ultra 9 285Kの間に大きな差が無く、強いて言えばCore Ultra 9 285Kの方が多少消費電力が低い場面が多いという程度。それでいて価格はCore Ultra 9 285Kの方が高い。悪い事にSocketの互換性がないので、Core Ultraを利用する場合はマザーボードも交換になる。結果的に新しいもの好きのユーザーが一巡した後は、急速に売り上げが落ちたのもむべなるかなである。そして結果的に低コストのCore iシリーズを顧客が選ぶとなると、Zinsner氏が危惧するように売上数量に対する売上金額が低迷するのも無理はない。
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