大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intel「迷走の構図」 NVIDIAとの協業にも浮かぶ疑問符(1/5 ページ)
Intelの周辺が相変わらず騒がしい。エース級の人材の流出から、「Raptor Lake」プロセッサの値上げ、いろいろと疑問が浮かぶNVIDIAとの協業発表など、2025年9月だけでも注目すべき発表や動きがあった。
人材流出が続くIntel
2025年9月は、引き続きIntelが最大の話題になっていたと思う。8月にもファウンドリー事業の放棄の可能性や国有化なんて話題が出てきたが、9月に入っても主要なExecutiveの交代やNVIDIAによる50億ドル分の株式購入および両社による協業といったアナウンスがあった。特にこの最後の話はなかなかインパクトのある話であり、過去にIntelがNVIDIAからのリクエストを拒絶した(これはNVIDIAによる互換チップセット製造に必要なバスプロトコルのライセンス供与を拒んだため、NVIDIAはIntel向け互換チップセットの市場から撤退した)話とか、2005年にIntelがNVIDIAを買収しようとした(当時のCEOだったPaul Otellini氏がNVIDIAを200億ドルで買収する計画を取締役会に提出した。ただ取締役会がこれに反対した事と、この提案の報道に対してJensen Huang氏が、その場合にIntelのCOO(CEOという報道もあった)の座を要求したと伝えられ、最終的にこの買収提案は無くなった)ことなどを思い起こすと、いろいろと感慨深いものがある。
これらと並行して、細かな話がいろいろ出てきている。まず人材でいえば、アリゾナでパッケージングの開発を行っていた(最終職歴はSenior Principal Engineer/Senior Director - Advanced Packaging)Gang Duan博士が2025年7月にIntelを退職し、8月からはSamsung Electro-MechanicsのEVPとしてSubstrate/Package Solutionの開発に携わっている。また「Xeon」のチーフアーキテクトを務めていたRonak Singhal氏(最終職歴はSenior Fellow)も、2025年9月いっぱいでIntelを退職している(どちらも本人のLinkedInで確認)。Duan博士の移籍は「Intel低迷でSamsungが笑う? パッケージングのエース級人材が移籍」でも報じられている。一方、Singhal氏の方は、DCG(Data Center Group)のトップがArmから来たKevork Kechichian氏になったことと無縁ではないだろう。
サポートモデルの移行とRaptor Lakeの値上げ
その一方で、ニュースにはなっていないものの意外に反響が大きい話が、Intelが第11~14世代Core iプロセッサの統合グラフィックをレガシーサポートモデルに移行する事を決定したことと、台湾DigiTimesなどが報じた「年末までにRaptor Lakeプロセッサを10%以上値上げする」ことだ。この2つは独立した話であるが、実は根っこでは、つながっている話でもある。こうしたIntelの状況を、筆者なりに俯瞰してみたい。
順番は逆になるが、まず第13・14世代Core iプロセッサのサポートの話について。統合グラフィックのDay 0サポート(新しいゲームなどが出たら即日対応したドライバを提供する)が無くなり、レガシーサポートモデル(基本は3カ月に1回程度のUpdateで、内容もセキュリティ対応のみにとどまり、ゲームへの最適化などは行われない)にダウンしたことを問題視する報道は少なくないが、そもそも第13・14世代の統合グラフィックは、Full HDでゲームをするにも十分とは言い難いというか、率直に言えばゲームをするには不適当なほどに性能が低い。Arrow Lake世代のCore Ultraプロセッサでは大幅に性能が上がったので負荷の軽いゲームなら十分楽しめるが、第13・14世代に関して言えばWindows Desktopの上でOffice Applicationを使う分には十分だが、それだけである。これにDay 0サポートを提供したところで、どっちみち性能が足りないことに変わりは無いというのは極論ではあるが暴論ではないと筆者は考える。これがレガシーサポートモデルに変わっても、別にDiscrete GPUを併用すれば済む話であって、実害は無いだろう。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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