大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
HBMの代替どころか、勇み足で終わりかねない「HBF」(4/4 ページ)
HBMの素早いアップデートについていけるのか
今後のロードマップとしては、現在発表しているGen 1に続きGen 2/3の目標が既に明らかにされている(図6)。時期は不明であるが、普通に考えるとGen 2はHBM4Eに合わせたもの、Gen 3はHBM5に合わせたものと考えられるだろう。といってもHBM4のサンプル出荷が既に始まっている一方でHBFはGen1すらまだ存在していない訳で、HBF Gen1が出てくるのは早くても2026年後半、現実問題としては2027年以降になるかと思う。つまりHBMに2年遅れな訳だ。SK hynixはHBM4Eを2026年に投入するとしており、HBM5は早いと2027年、遅くても2028年にはサンプル出荷が開始されると思われるのだが、果たしてHBFはこの素早いUpdateに追従できるだろうか?このままだとHBF Gen2は2028年、Gen 3は2029年か2030年という事になりかねない。
SanDiskはHBFをOpen Standardとして推進して行くとしているが、通常この手の標準化団体はある程度メンバー企業が集まった段階で発表するのが常である。今回SanDiskだけがアナウンスしているというのは、要するにまだメンバー企業とのすり合わせが終わっていないorすり合わせに失敗しているという事であり、そんな段階でアナウンスを行う意図がいまひとつ分からないというのが正直なところである。実のところ、2028年頃にはHBM5だけで1TB位の容量を持つ製品が出て来てしまう訳で、そこにHBM4相当で最大4TBの容量のFlashが出てきたところでHBMの代替になるか?と言われると正直疑わしい。何というか、HBMと混載する事を前提に、別の規格にした方がまだ成功の可能性が高まるのではないか?というのが率直な感想である。
とまぁここまで記事を書いて入稿後にアナウンスがあったのがこのニュース。SK hynixがHBFの仕様の確立に向けて協業するためのMOU(Memorandum of Understanding:基本合意書)をSanDiskと取り交わした、というものだ。HBFに加盟するのではなく、MOUと取り交わしたというあたり、まだSK hynixとしては態度を決めかねている様にも見えなくもない。まぁ現状まだHBFの実態が存在しないからMOUに留めた、という可能性もあるが。
実はSK hynixはキオクシアの株主でもある。これは東芝からキオクシアがスピンアウトする際にSK hynixが出資したためで、同社はキオクシアの株を15%保有している。現時点では14.8%相当になっているが、同社は2028年までこれ以上株の買い増しが不可能である。ちなみに買収時の金額が3950億円、現時点での評価額がおよそ4000億強であり、現時点で売却してもあまり旨味は無い。なのでもう少しキオクシアの株価が上がるまで保有し続けたいところだろうし、そのためには(キオクシアのBiCS Flashを利用する)HBFが成功してくれた方が好ましい。とはいえ、自社で積極的にHBFをサポートするほどの期待はしていない、というあたりがこのMOUの締結ではないか?という風に感じられる。
まぁそれでも一応HBFには若干ではあるものの追い風になっている事は間違いない。さて、他のメーカー(Samsung/Micron)は追従するだろうか?
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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