大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
HBMの代替どころか、勇み足で終わりかねない「HBF」(3/4 ページ)
ボードメンバーに不思議な点も
さてSanDiskではこのHBFを単独規格ではなく業界標準規格にするべく、今回HBF Advisory Boardを結成した。Board MemberにはSanDiskのメンバーだけでなく、UCB(米カリフォルニア大学バークレー校)のDavid Patterson名誉教授と、Raja Koduri氏も加わっている事も発表されている。このうちKoduri氏に関してはまぁまだ分からなくもない。GPU設計に長けた業界人であり、直近では「Ponte Vecchio」の設計が彼の手によるものだ。GPUの上でAIのInferenceなりTrainingを行う際に、どういうMemory Accessを必要としており、そのためにはMemoryの側にどういう特徴とか機能が必要とされるかを把握しているから、この先Logic DieというかFlashのControllerを構築する際の仕様策定に彼の経験と知識は大いに役に立つのだろうと思われる。
謎なのはPatterson教授の方で、もちろんコンピュータ業界の大物であることは論を俟たない(またない)のだが、今回の仕様策定作業のメンバーに加わる事にどんな意味があるのか?というのがいまひとつピンとこない。恐らくは今回Patterson教授をメンバーに加えたのは、HBF Advisory BoardがSanDiskと独立して運営されている、という箔をつけるためのものという気がしてならない。この辺が微妙なところであるが、HBFがある程度普及するためには、競合メーカーが参加できることが望ましい。具体的にはSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyの各社だ。実際SanDisk以外のメーカーはHBMも手掛けている訳で、こちらとの仕様すり合わせを行う必要がある以上、少なくともこの3社のうち1社以上には参加してほしいところである。そうした際に、Patterson教授が仕様策定に協力しているというのは競合メーカーにとっても参加の口実としやすい、という側面は否定できないだろう。
余談ながら、SanDiskはスマートフォン向けにHBFを利用する事も提案しており(図5)、64Bのパラメータを8セット保持できるとしているが、果たしてこれを実現できるかどうか。64BのパラメータのLLMをスマートフォンで実行できる様になるには、消費電力的にまだ当分かかりそうな気がする(性能的には今でも行けなくはないが、バッテリーが数時間で終わりそうである)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
DMG森精機の欧州深耕
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
太陽光発電と蓄電池を最適制御、再エネ活用とコスト削減を両立する製品とは?
-
9
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー