大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
失敗できないEUV採用Intel 4、Intelが採った手堅い方法とは(4/4 ページ)
そんな訳で次の焦点はIntel 3が無事に立ち上がり、IFSできちんと先端プロセスの量産が可能になる事を示せるかどうか、なのであるがここでちょっと気掛かりな話が2つほどある。一つは2023年8月16日に発表された、Tower Semiconductorの買収断念の話である。買収断念の要因は永山氏も書かれている様に中国の規制当局から承認が得られなかった事だが、何で承認が得られなかったかと言えばこれは政治的な問題の可能性が非常に高い。まあ米国と中国がこれだけ対立している状況で、規制当局が普通に仕事をしたら不思議なだけに、これは致し方ないところである。それはともかくこの買収断念により、IntelはSoCの開発に必要なアナログIPとかアナログプロセス(SoCそのものではなく、SoCの外に用意するPMICなどの製造に使う)、さらに言えば優秀なFAE(Field Application Engineer)を手にする機会を失ったことになる。ファウンダリビジネスはプロセスだけ提供すればよいというものではなく、そのプロセスを顧客が使いこなすのに必要な技術サポートを行うエンジニアが欠かせない。これまでIntelは社内向けのサービスしかしてこなかったから、こうした部分が極端に手薄である。これを補うのにTower Semiconductorの買収は絶好の機会だったわけだが、買収断念に伴い別の方法でFAEを集める必要が出てきた。ものが人材だけに、これを充実させるには相応の時間が必要になる。IFSのサービス開始までに十分な人材が集まるか、は神のみぞ知るところだ。
もう一つの懸念事項は欧州方面から伝わってきた話だ。上にも書いた様にIntel 4はIntel 3の露払い役であるのだが、そのIntel 4で製造されるMeteor Lakeが、Embedded SKUが提供されないという話になり、IntelベースのCPUを利用してSOMとかSBCを製造していたメーカーが悲鳴を上げているそうだ。なんでEmbedded SKUが提供されないかと言えば、どうもIntel 4でEmbedded向けの動作保証(10年稼働)を行うための検証時間が取れず、Embedded向けの提供を廃止する事にしたらしい。まぁMeteor Lakeはあくまでクライアント(それもノートPCと一部NUCなどの小型デスクトップ)向けだからそれほど影響は大きくないのかもしれないが、Intel 3で同じようにEmbedded SKUの提供がなされないという事になると、「10年保証もできない様な先端プロセスを誰が使うのか?」という話になりかねない。Embedded SKUの提供がないのはIntel 4だけで、Intel 3はきちんと10年保証されるようなプロセスである事を祈るのみだ。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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