大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
「FPGAの闇落ち」とルネサスのFPGA参入に思うこと(4/4 ページ)
そういうトレンドの中で、ちょっと興味深い流れは、ルネサスによるローエンドFPGAマーケットへの参入である。参入といっても、そもそもは同社が買収したDialog Semiconductorが開発していたもので、2020年から発売されていたGreenPAKというプログラマブルミクスドシグナルICの延長にある。GreenPAKは引き続きルネサス傘下で提供されており、この延長にForge FPGAがある形だ。その意味ではDialog Semiconductorのビジネスをそのまま継承しているという意味でもあるのだが、規模が1K LUTということからも分かるように、サイズ的にはかなり小さいもので、まさにGlue Logic向けの製品である。
そして、上の記事にもあるように同社のウィニング・コンビネーションはちょうどこうしたGlue Logic向けFPGAとの相性が良い。ウィニング・コンビネーションはある意味お勧め構成で完結しているものが多いが、アプリケーションの要件次第では例えばセンサーを違ったものにしたいとか、モータドライバに別の製品を使いたいとかいったことがあり得るだろうし、その際にそのセンサーなりドライバーが既存のウィニング・コンビネーションとそのまま接続できない可能性がある。ところがForge FPGAやGreenPAKを使えば、こうした際のミスマッチを解決できる公算は非常に高い。ルネサスは別にForge FPGAやGreenPAKだけが目当てでDialogを買収した訳ではないと思うが、Forge FPGAやGreenPAKはウィニング・コンビネーションを補完する非常によいパーツになり得るだろう。
おそらくルネサスは、Forge FPGAをXilinxや旧Alteraと競合するほど大規模にするつもりはないだろうし、それどころかLatticeのICE40とかMicrochipのIGROOなどと比較しても小規模な範囲にとどめておく可能性もある。今からFPGAで大きなビジネスを始めるにはあまりに出遅れているし、必要となる投資額も半端ない。むしろこの規模の方が使いやすいだろうし、FPGAベンダーと違ってForge FPGAで大きな利益を得る必要もない(Forge FPGAを入れることでウィニング・コンビネーションのDesign Winが取れれば十分だからだ)から長期にわたる供給継続も容易だ。
天野教授には申し訳ないのだが、今後もGlue Logic的なFPGAはこうした小規模なものにとどまるように思えるし、小規模なFPGAベンダーが今後は大手(NXPとかTIクラス)による買収対象になりそうな気がする。つまり単体FPGAメーカーは生き残りが難しくなり、IntelやAMD、将来的にはArmなどに買収された上でアクセラレータのソリューションを提供するか、もしくはルネサスのような組み込み向けベンダーからGlue Logicソリューションという形で提供されるか、という話だ。要するに、これまで日陰者だったFPGAベンダーが日の当たる場所に出てきた結果として、あっという間に争奪戦の対象になってしまったというあたりが正確な表現なのかもしれない。それが“闇落ち”というのは少し違うというか可哀そうな気もしなくはない。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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