大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
IntelがIDM 2.0を掲げざるを得なかった理由(3/4 ページ)
問題はその次のIntel 4だ。Intelはこの世代からEUVを導入するわけだが、この進行状況に関しては「順調だ」「マイルストーンを達成」といった言葉でしか確認ができない。かつてのIntelであれば、例えば図1は2015年のInvestor Meetingの資料だが、14nmプロセスのYieldが急速に22nmに近づいており、同等のYieldを2016年前半に達成する、といった詳細が示されていた。これはそれ以前のプロセスも同じである。
これがなくなったのは10nmプロセスで、要するにYieldを示すことができないほど歩留まりが悪い状態が続いた、という事と受け取られているのだが、それでもその10nmプロセスの性能に関してはきちんと開示していた(図2)。学会発表も行われており、10nmに関しては2017年のIEDMで"A 10nm High Performance and Low-Power CMOS Technology Featuring 3rd Generation FinFET Transistors, Self-Aligned Quad Patterning, Contact over Active Gate and Cobalt Local Interconnects"としてその詳細が明らかにされていた。
こうした話がIntel 4、旧Intel 7nmプロセスでは一切出ていないというのは、一般には「こうした事をまだ公表できる段階にない」と判断されても仕方がないところである。
このIntel 4は2023年前半中に量産を開始すると宣言されているが、これがスケジュール通りだとしても、競合するTSMCのN5は既に量産を開始しており、この後継のN5Pもまもなく量産を開始する事を考えると1年半~2年遅れである。まずこのIntel 4がスケジュール通りに量産開始できるかどうか、というのが最初のマイルストーンである。
次のマイルストーンは、2024年前半に量産開始と宣言したRibbon FETとPowerViaを採用するIntel 20Aである。この世代ではGAAを採用するわけだが、今までIntelはGAAについて一切具体的な話をしてこなかった。IEDMなどでもIntelからの論文発表はなかったと記憶している。この世代で先行するのはSamsung Electronicsである。同社は2018年ごろのロードマップでは、2020年にGAA(同社の用語ではMBCFET:Multi Bridge Channel FET)を利用した4GAE(4nm GAA Early)の提供を開始予定だったが、「4nm世代はFinFETで行けるめどが立った」という理由で、2021年に3GAE(3nm GAA Early)を提供するというスケジュールになり、さらにこれが2022年に遅延の後、最新のロードマップでは3GAEは社内評価用に留め、その先の3GAP(3nm GAA Performance)を2023年から提供するという話になっている。当初のロードマップに比べるとやや遅れ気味ではあるが、早くから論文を出したり評価を行ったり、という形でまだ進ちょくが見えている。
TSMCはN2(2nm)世代までGAAを導入しないと公言していたが、最近そのN2のFabを2022年に建設、2023年に設備を導入し、2024年に量産を開始する計画が取締役会で承認されたことが報じられている。TSMCはIEDMなどにも論文を出しているが、それよりも特徴的なのはGAA関連特許の数である。今年7月20日に韓国特許庁が発表した、GAA関連技術に関する特許の取得状況レポート(こちらのページからPDFでダウンロード可能)のレポートを見ると、GAA関連特許の出願数Top10は
| 1. | TSMC | 405件 |
|---|---|---|
| 2. | Samsung | 266件 |
| 3. | IBM | 131件 |
| 4. | Globalfoundries | 71件 |
| 5. | Intel | 60件 |
| 6. | 東京エレクトロン | 33件 |
| 7. | 中国科学院 | 26件 |
| 8. | Qualcomm | 24件 |
| 9. | IMEC | 22件 |
| 10. | APM(Applied Materials) | 20件 |
となっている。
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