大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
IntelがIDM 2.0を掲げざるを得なかった理由(1/4 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、Intelが7月のオンラインイベントで掲げた「IDM 2.0」の背景についてお届けする。
米国時間の2021年7月26日、Intelは“Intel Accelerated”というオンラインイベントを開催、ここで2025年までのプロセスロードマップを公開した。この内容そのものはITmedia PCUSERやEE Times Japan、MONOistなどで紹介されているので、個別の話をあらためて説明するつもりはないが、これまでIntelが堅持してきた「IDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)」のビジネスモデルを進化させた「IDM 2.0」について、ちょっと深堀りというかバックグラウンドの話をご紹介したいと思う。
そもそもGelsinger CEOがIDM 2.0を高らかに掲げざるを得なかったのはなぜか? 2020年12月末、まだ当時はBob Swan氏がCEOを務めていた時代であるが、ヘッジファンドであるThird PointがIDM戦略を「見直す」ことを強く求める書簡をIntelに送付した事が明らかになった(ロイターの記事)あたりから始まる。
もともとIntelは、先端プロセスを使うデジタル半導体メーカーとしては、ほぼ唯一と言って差し支えない、IDMモデルを貫いている企業である。もちろんChipsetとかNetwork Controller、一部の非主流Processorなどに関してはTSMCなどを利用している。特に買収した企業がTSMCで製造を行っている場合、当面はそれを継承している。その意味では広義にはFab Liteと言えなくもないのだが、同社の主力製品であるx86 Processorに関してはほぼ自社生産を貫いている。
このモデルは同社のプロセスが他のFoundryを圧倒している間は問題なく機能した。つまり22nmプロセス世代までは、IDM戦略は間違いなくIntelの強みであった。ところがまず14nm世代で2年ほど遅れ、10nm世代も実質2年遅れとなって、この間にIntelはTSMCやSamsungなどにキャッチアップされ、そして追い越されてしまった。おまけに起死回生の技術だった7nmについても、2020年の第2四半期の決算発表の際に1年遅れをアナウンスした結果、記録的な好決算にもかかわらず株価が大幅ダウンしたというオチまでついた。こうした状況では、IDM戦略を捨て、AMDとかApple/NVIDIA同様にIntel自身はプロセッサの論理設計に専念し、製造はFoundryを使うべしという意見が出てくるのも無理もない。
現実問題としてこれが可能か? というとそれはまた別の問題である。Intelは現在世界各地に合計15の製造拠点を設けており、うち前工程だけで10拠点ある。Fabでいえば、D1B/D1C/D1D/D1X/11X/12/18/22/24/28/32/34/42/68の14か所があり、うちFab 18(200mmウェハ、65nmプロセス)とFab 68(3D NANDおよび3D XPoint)を除く12のFabが14nm以降の先端プロセスを扱っている。この12のFabの総生産量をまとめて例えばTSMCで代替できるかといえば、TSMCの全ての生産能力を振り分ければあるいは可能かも、というレベルであって、現実問題として多数の顧客を抱えているTSMCにはIntelの要求する生産量を提供する能力はない。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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