大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelの工場新設やTSMC/UMC/Samsungの巨額投資、半導体各社が生産能力拡充(3/3 ページ)
では一方のTSMCは? というと、先月も書いたが2021年4月2日にTSMCが向こう3年で1000億米ドルの設備投資を行うと報じており、これが事実なら向こう3年で10近いGigaFabが爆誕することになる。同社の2021年第1四半期決算報告によれば、既に売り上げのほぼ半分が7nmと5nmという先端プロセスで占められており(図2)、今後同社は4nm(N4:当初2022年提供開始とされていたが、これを2021年第4四半期から提供するという報道がある)や3nm(N3:2021年中にRisk Productionを開始し、2022年から提供開始)を立ち上げていくことになるが、当然これらの先端プロセスは7nmや5nmの様に多くの顧客が集中することになるから、絶対的に工場のキャパシティが足りない。直近でも、2021年4月15日の決算発表の際に2021年度の設備投資を7%上積みし、300億米ドル相当まで引き上げるといった報道もあり、ますます製造能力強化に余念がない。
同じ台湾のUMCはだいぶ、だいぶんTSMCに水をあけられてしまった感はあるが、それでも2021年4月28日に1000億NTドル(36億米ドル相当)の投資計画を発表、同社が台南サイエンスパークに建設したFab12A Phase 6の生産能力を拡充するとしている。同社は同じFab12A Phase 5に500億NTD(18億米ドル相当)の投資を行う事を既に発表しており、合計では1500億NTDの投資となる。このFab12Aは28nm(将来は14nmまでに対応予定)プロセスで現在9万枚/月の生産能力だが、Phase 5で10万枚/月に、Phase 6では12.7万枚/月に達する。ちなみにこの投資、UMC単独ではなくパートナーとの共同投資とされているが、そのパートナーとはSamsungであると台湾経済日報が2021年4月13日に報じている。なぜSamsungが? という話であるが、CMOSイメージセンサの需要がひっ迫しておりSamsung単体ではこれに対応しきれないために、UMCに生産を委託するという話のようだ。ただ長期的にはSamsungもレガシープロセスの需要がやはりひっ迫しており、これの生産をUMCに委託するという話も出ているようである。
そのSamsungは? というと、4月には具体的な報道はなかったが、2021年3月16日付のIC Insightsの報道によればおよそ280億米ドルを今年度中に投資予定とされている。恐らくTSMCの投資増額を受けて、こちらも積み増しを考えているかもしれない。同社が不幸なのは、Samsung Electronics副会長というか、事実上のSamsung Electronicsトップである李在鎔氏が国政不正介入事件の容疑で現在収監中なことで、それもあって大規模な投資計画などを立てられないでいることだろうか。ただ基本的には同社はTSMCに負けないペースで先端プロセスを導入していくのが既定路線であり、なので韓国内の既存のFabの拡充に関してはそのまま進むだろう。ただオースチンのFabの拡充、あるいは(先に出てきた地域偏在解消の対策としての)その他の地域でのFabの新設などはやや難航しそうだ。
ついでにDRAM絡みに関しても触れておこう。DRAMはSamsungが先頭を突っ走っており、2021年からEUVを利用したD1Zプロセスでの量産を開始しているが、これに引き続き、2021年3月25日にはHKMG(High-K Metal Gate)を採用したDDR5メモリを発表するなど、競合を引き離す姿勢に余念がない。これに追従するSK Hynixも2021年2月にEUVを導入する1αnmプロセス対応のM16の落成式を開催しているのだが、これに続くのはMicronではなくNanyaであった。2021年4月20日にNanyaは向こう7年間に合計3000億NTドル(108億米ドル相当)の投資を行うことを発表。第1期は新北市に月産45000枚のウェハ生産能力を持つ工場(プロセスは1Xnm)を新設。2024年には操業を開始するとしている。これに続き第2期および第3期の増強が行われるが、恐らくこの第3期でEUV露光を導入することを明言した。
では業界第3位のMicronは? というと、同社はギリギリまでEUVの導入を行わない事を明言しており、プロセスノード的には1δnm世代、時期で言えば2023年以降になるとしている。このあたりはメーカーごとに明確な方向性が出ているのが興味深い所だ。ただEUVへの移行計画そのもに違いはあっても、基本的に増産と微細化を進めるという方向性そのものはどのDRAMベンダーでも違いがない。
そんな訳で4月は、Fabを保有するメーカーが一斉に設備増強に走り出した月という事になる。この増強が形になって見えてくるのは今年末以降、顕著に結果が見えてくるのは来年以降だろうか。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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