宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(39)
IoTデバイスを作るなら必見「IoTセキュリティチェックリスト」(2/2 ページ)
自分が作ろうとしているIoTデバイスの機能をブレイクダウンする
まず、このチェックリストの左側を見ると、「プリミティブ」として、S,A,C,U,Dの区分があります。これはNIST SP800-183「Networks of 'Things'」(PDF)で分類されている構成区分で、それぞれ下記の意味を表しています。
| Sensor | 温度、加速度、重量、音、位置などを測定する機能・機器 |
|---|---|
| Aggregator | センサからのデータを集約する機能・機器 |
| Communication Channel | データの送受信を行うための通信路・ネットワーク |
| e-Utility | データを閲覧したり設定したりするインタフェース |
| Decision Trigger | データを計算し、その 結果に基づいてアクションさせるための機能 |
まずはこれから作ろうとしているIoTデバイスが、上記のうちどれを実現しているのかを確認します。1つのデバイスが複数のプリミティブを実現していることもあり、例えばネットワークカメラ単体ですと、センサーであり、デシジョントリガーでもあり、かつアグリゲーターでもあります。そしてその画像を収集し、他のサービスと連携する場合、それらもどのようなプリミティブを持つのかという点も確認すべきでしょう。
それが定義できたら、先ほどのIoTセキュリティチェックリストに戻ります。Excelシートでプリミティブ分類に丸がついている項目が、そのIoTデバイスで確認すべき項目です。おそらくかなりのチェック項目があるかと思いますが、これら全てにしっかりとした回答ができることが求められるわけです。
ITセキュリティに関しての知識がなかったとしても、項目ごとに「IoTセキュリティチェックリスト 解説図」の形でしっかりとした解説が図とともにあります。もしそれでよく分からなかったとしても、ここからさまざまなIT関連情報を調査するきっかけにはなるでしょう。その意味で、セキュリティに自信がないというエンジニアにとっては大変有用なドキュメントになるだろうと考えています。まず、これを活用するところから始めてみましょう。
これは業界としての「最低限」だ
ここで示された基準は、おそらくIoT製品を作り出すための基礎知識であり、業界として最低限やっておくべき指針でもあります。多くのベンダーはIoTという華やかな世界で、最新のテクニックを使い、あっと驚くような機能を提供することに余念がないことと思います。しかしそういう新機能を提供するためには、「基礎」がしっかりしていなければなりません。土台があってこそのIoTデバイスなのです。
昨今、華々しくスタートした新サービスや新商品が、リリース直後にセキュリティの面で大きな問題を抱えていることが発覚し、長期的なメンテナンスが必要なだけでなく、サービスそのものが消えてしまうということも見受けられます。その多くは、本来ならば事前に問題を解決できたはずで、無理なスケジュールや安易な想定が、原因の根本であることも多いです。そのようなことは、誰も望んでいないはずです。
業界としても、そんな悲劇が繰り返されぬよう、多くの有用なドキュメントが用意されています。今回のように、日本語で整理されたチェックリストは実にありがたく、この存在を知っているか否かで、新製品の品質は大きく変わるでしょう。できれば、本記事を読んでくれたエンジニアはこれらの武器を手に、正しいIoTデバイスを設計していただけることを期待したいと思います。(次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 制御システムの「安全神話」は既に崩壊している
» WannaCryが明らかにした、生産システムセキュリティ「2つの問題点」と「2つの対応策」
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著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さまに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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