大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
GLOBALFOUNDRIESの7nmプロセス無期限延期と先端プロセス技術をめぐる競争の行方(2/2 ページ)
FD-SOIは継続しつつ、14nm/12nm FinFETでもTSMCと競合
MCU向けで利用される組み込みフラッシュの搭載が可能なプロセスは、これまで180~90nmあたりのプロセスが主流であったが、2014年にTSMCが55nm(55ULP)を、2016年にUMCが40nm(40nm eCT)をそれぞれ発表、2017年にはTSMCが28nmプロセスでのFlash Memoryの利用を可能にしており、これを利用した40nmと28nmのFlash搭載MCUが2018年3月に発表されたという具合に、先端プロセスほどではないにせよこちらも急速に微細化を進めており、実はこの28nm世代はかなり長期間にわたって使われると予測されている。
ただこの28nmは競合も多く、TSMC、Samsung、GLOBALFOUNDRIESに加えて、UMCやSMICなどもやはり28nmでの組み込みフラッシュが実装できるプロセスを提供予定とされるので、競争はかなり激しい。それもあってTSMCは16nm/12nmでも組み込みFlashを可能にする方向で開発を進めていた。
一方、SamsungやGLOBALFOUNDRIESはこの世代の本命をFD-SOIと位置付けた上で、FD-SOIで利用できるMRAMの環境整備にまい進している、という話は先月説明した通りだが、今回のGLOBALFOUNDRIESの動きは、FD-SOIは続けつつも、14nm/12nm FinFETでもTSMCと競合する考えを明確にしたものだといえる。2020年ごろには28nmプロセスをMCUの製造に利用するのが一般的になってくると思われるが、今回の動きはその先の2023年ごろを視野に入れたものと考えればよいだろう。
ちなみにSamsungは今のところこれに追従する動きはない。同社はむしろ「EUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)」の早期実用と7nm未満への移行を急いでおり(図2)、組み込みメモリはeMRAMを利用可能な18FDS(18nm FD-SOI)で提供という姿勢を崩していない。
他に、この12~16nmのプロセスをそもそもきちんと量産できているのはIntelのみだが、Intelは組み込みメモリのソリューションを持っていないという問題があり、おまけに今は10nmプロセスの立ち上げに全力を注いでいる状態なので、こちらには手が回らない。UMCは14nmの製造を始めたものの、まだ生産量は極めて少ない状況であり、今のところ組み込みメモリのソリューションを出せる状況にない。その意味ではGLOBALFOUNDRIESの今回の決断は、競合が事実上TSMCのみという、相対的に争いの少ない(そして確実にシェアが見込める)ところに経営資源を集中するという、ある意味分かりやすい決断といえるだろう。
この結果として、現在はそれこそ90nmや55nmあたりが事実上最先端プロセスとなっているIoT(Internet of Things)向けのSoCは、2020年ごろには28nmに、2023~2025年あたりは12~16nmに製造が移行することになると思われる。ちなみにIoT向けよりも前に、まず車載用でこうした先端プロセスが使われる(理由はより大量のプログラムコードを実行する必要があるから)形で、数年たってコスト的にこなれてきたらIoT向けなどに使われるという流れになるだろう。ここまで微細化が進むとなると、現在とそうコストが変わらないまま、利用できるコアやメモリの量が現在の数倍になるという意味であり、それだけの処理性能やメモリ容量が、2020~2023年のIoTデバイスには求められるようになる、という意味でもある。このあたりの動向が、GLOBALFOUNDRIESの方針転換で多少明確化されたというのも皮肉な感じがする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー