インドネシアにおける日系製造業のIT事情(3)
インドネシアで活動するシステム会社の実態(2/2 ページ)
日系システム会社から見た、インドネシア市場
日系のシステム会社からすれば、その他業種の日系企業のインドネシア進出と同様に、その大きな人口による内需が魅力となる。しかし、現状のインドネシア政府の意向では、インドネシア人を多く雇えないシステム会社はビジネス拡大の可能性が低い。
また、日系のお客さまだけを相手にしていると、日本本社からの案件紹介でビジネスを展開するか? 日本からのオフショア開発を請け負うか? 現地企業のインフラ整備のみを行うか? といった少ない選択肢しかない。さらに、これらのビジネスチャンスもそう多いものとはいえず、事業継続が困難になり、駐在所のまま、現地ビジネスから撤退する企業もみられる。
それでは、ローカルビジネスはどうか。大手企業は既に傘下のシステム会社を持ち、外からは参入しにくいし、中堅中小企業となればそれほどの予算はなくジレンマに陥る。多くの日系製造業が内需の拡大とインドネシア経済のさらなる伸張を待ちわびるのと同様に、どこまで我慢できるかというような状態になっているといえる。
しかし、見方を変えてみれば、日本本社にとってもインドネシア支社の存在はビジネス上大きいともいえる(当社の場合も日本でグローバルビジネスをとるためには海外支社および海外パートナーは必須の条件となってきている)。
また、ジャカルタという地の利を生かすという手もある。オフショア開発やインドネシアビジネスだけでなく、優秀な人材を育成し、マレーシアやシンガポール、タイやベトナムでの仕事を取ることも可能だ。インドネシア人の優秀なSEには英語が堪能な人材も多い。また、前述の国々には3時間以内で移動できる。コストや時間を見ても、日本から来るよりはずっと効率的だ。それには、現地責任者の広範な営業活動力とコミュニケーション能力が必要となる。
小回りの利くシステム会社
工場区の顧客からすれば、何か問題があったときにすぐに来てくれるシステム会社、システム導入後の細かい変更や追加にも対応してくれる、いわゆる「小回りの利くシステム会社」がほしいところだが、これがまたいない。
ほとんどのシステム会社がジャカルタにいる上に、ジャカルタから工場区までが毎日渋滞し、移動がままならない。今後はチカラン地区などに(タイでいうところのシラチャ)などに出先機関を置くシステム会社も出てくるものと考えられるが、それなりの現地でのビジネスが見えてこないと、作っても維持がまだ難しい。
当社の場合、ブカシに当社の協力パートナーを置いている。チカランほどではないが、ブカシからであれば、ジャカルタの東側に位置する工場区の工場に1時間以内で行き着くことができる。大手企業ならばインターネットを利用してのリモート保守やお金を支払って工場常駐のシステム要員を派遣してもらうなどということもできるが、ほとんどの企業はそこまで余裕がない。そこで、システムを導入した会社から人をヘッドハントしてしまうような例もみられるが、この場合もともとのシステム会社との関係が悪くなるリスクも高い。
従来、システム保守費用に対する意識の低いインドネシアの工場では、システムは立ち上がったものの維持できず、結局元のExcel管理に戻ってしまう工場も多い。
システム会社の方も小さなシステム会社ほど人が落ち着かない。よって、スクラッチでシステムを開発導入しているような場合、引き継ぎがされずに新しい社員では顧客システムのメンテナンスもままならない。出来合いのパッケージソフトウェアの方がそのリスクは低いといえるかもしれない。
次回は、今年(2018年)訪問したインドネシアローカルのシステム会社の実情を報告する。(次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 「カイゼン」を中心にデータ活用が進む製造業、課題はROIと人材
» 77.3%が“つながる工場”実現に向けて取り組みを開始――経営層も投資に意欲
» PTCはIoTベンダーになったのか? CAD、PLMユーザーに向けたメッセージ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
インドネシアにおける日系製造業のIT事情
インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポートする。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー