インドネシアにおける日系製造業のIT事情(2)
インドネシアの特殊事情とどう付き合うべきか?(2/2 ページ)
なかなか進まないプロジェクト
インドネシアという国の特徴なのだろうか、導入プロジェクトが始まってもなかなかスケジュール通りに進まないのだ。日本のプロジェクトで週1回の訪問であるところ、インドネシアでは月1回になってしまう。顧客が必要なデータをそろえられないためだが、あくまでローカルスピードとして覚悟するしかない。その間、ラマダン月(断食月)が入ると、さらに遅れを覚悟する必要がある。ラマダン前は生産そのものの作りだめで顧客が忙しいし、ラマダン期間は当然効率が落ちる。おまけにラマダン明けのレバランでは1週間以上の休みとなってしまう。実質1カ月以上、プロジェクトが止まってしまうのだ。
多くの日系企業が、システム導入の決定をレバラン明けにするのも理解できる。1カ月以上も間が空いた上に、ローカル担当者が辞めることも多いのが、この国のこの期間の特徴といえる。そうなってしまうと、「プロジェクトをリセット!」という事態に陥ってしまうかもしれない。
つながらない業務とシステム
実際、プロジェクトを進めていくと、いかに既存業務自体に連続性がなく、重複作業も多く、非効率的であるかが分かる。
例えば、生産計画業務自体をとっても、日程計画と工程計画を別人が立てており、リンクしていない。日程計画者は、月次計画から日々に製品別生産台数を割り振っているだけで、工程計画の観点からその計画が予定通り遂行できるかどうか考慮していない。結果、作り過ぎや納期遅れが頻発している。
大手企業から転職してきた中小企業の工場責任者は決まり文句のように、「当工場の見える化を実現したいのだが」と言ってくる。しかし、トータルシステムの導入によりそれを実現しようにも、現業務自体が分断化、属人化している状況では、何よりもまず業務フローから見直さなければならない。
もし、それが奇跡的に実現できたとしても、新しい業務手順にインドネシアスタッフが慣れるのには長い時間がかかる。同時に、業務マニュアルやフローもしっかりと整備しておく必要がある。それを怠ると、担当者が転職した時点でアウトとなる。
段階的なシステム化の提案
このような状況から、インドネシアの生産管理システム化には段階を踏む必要があることが分かる。在庫管理から製造実績管理へ、さらには材料手配から生産計画へと進めていく必要があるが、あくまで、最終的なトータルシステムを見越しての段階導入でないとシステム自体も分断化されてしまう。
最終的に原価管理まで行き着くには、3年ほどかかるので、それまで財務管理システムと生産管理システムは切り離された状態でも仕方がない。「ERPをビックバン導入で」というのは、長い歴史を持った工場でないと夢のまた夢の話だ。
次回は、ユーザー視点からだけでなく、実際にインドネシアで活動しているシステム会社の事情などを紹介する。(次回に続く)
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インドネシアにおける日系製造業のIT事情
インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポートする。
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