TechFactory通信 編集後記
自動運転の「NGワード」
語感が強いためか「自動運転」という言葉は独り歩きしがちです。そこで、日本の自動車技術会(JASO)が「自動運転レベル」に関する翻訳資料を無償公開、啓発を進めています。資料には「推奨しない用語」と言う項目もあり、なかなか興味深く読めます。
自動運転の話題は尽きることなく報じられていますが、「どのような自動運転機能を提供するか」を表現する言葉として「自動運転レベル」があります。実はこのレベル分け(定義)は複数存在します。
自動運転レベルの定義を大きく分けると、米国家道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration:NHTSA)が定義したものと、自動車や航空機など移動体の専門家を会員とする非営利組織である「SAE International」が定義するものがあります。NHTSA定義ではレベル0~4の5段階、SAE定義ではレベル0~5の6段階とされていますが、NHTSAの定義はもともと法規制の指針として作成されたといういきさつもあり、日本を含め国際的にはSAE定義を採用する方向に動いています。
NHTSAとSAEの定義はそう大きく異なるものではありません。レベル0はドライバーが全てをコントロールするこれまでの運転で、レベル1と2では車両側からのアシストが行われる運転支援です。レベル3では有事の際はドライバーが制御するという条件付きながら、限定領域(地理、交通状況、速度、時間など)内での自動運転が実現されます。
そしてNHTSA定義の最上位「レベル4」は完全自動運転となりますが、SAE定義ではレベル4は「限定領域内での条件なし(ドライバーの制御を必要としない)自動運転」であり、レベル5を利用領域を限定しない完全自動運転と分類しています。
SAE定義のレベル4と5を分けるのは、ODD(Operational Design Domain:自動運転システムが機能すべく設計されている特有条件)が限定的かどうかがポイントとなりますが、ODDについてはなじみのない概念ということもあって、ちょっと分かりにくいことも事実です。
ただ、前述のように、国際的にも自動運連レベルの定義は最上位をレベル5とするSAE定義が主流となっており、日本の自動車技術会(JASO)もSAEが2016年に発行した「SAE J3016」(Taxonomy and Definitions for Terms Related to Driving Automation Systems for On-Road Motor Vehicles)の翻訳資料を無償公開するなど自動運転レベルについての啓発を進めています。
- 自動車技術会 自動車規格全般 http://www.jsae.or.jp/08std/
公開された資料「自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」では自動化の分類から各レベルの内容、ODDの意義、推奨しない用語についてまで記載されています。
興味深いのは「推奨しない用語」の項目で、「正確性に欠ける」「誤解を招きやすい」などの理由から「自律(型)」「自己運転」「運転者なしの」「無人の」「ロボットの」「自動化車両」「自律型車両」といった語句の利用は推奨しないとしています。
自動運転の話題は豊富ですが、現在の市場を見ればまだレベル1~2の運転支援システム搭載車がほとんどであり、レベル3をうたう自動車も2018年1月の時点ではアウディ新「A8」がアナウンスされているだけです。アウディが搭載するレベル3自動運転機能は「渋滞時に運転操作を代行する機能」で、加速と減速、それにステアリングの各動作を車両が自動的に行い、車線へ他車が割り込んで来た際も運転者に操作の必要はありません。
レベル3より上位の自動運転では何かしらの操作をクルマ(というか運転システムという表現の方が妥当かもしれません)が行います。それだけに「どこまでをクルマ(運転システム)がやってくれるのか?」は利用者も提供側も、さらには伝える側も正確に把握する必要があります。そのためにも自動車技術会は資料を公開したのでしょう。伝える側として、その姿勢に見習うことは多いと感じました。
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TechFactory通信 編集後記
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