企業動向を振り返る 2017年11月版
東芝は残る「3%」の事業体で生き残りを模索する
2017年11月に東芝の発表した2017年4~9月期の業績は、「メモリ事業の好調さ」と「メモリ以外の不安さ」を鮮明に照らしました。メモリ事業を売却すると、営業利益換算で3%の事業しか東芝には残らないのです。
2017年10月末から11月初頭にかけて、エレクトロニクス各社の決算が発表されました。一時の不調を脱し完全復活を印象づけたのはソニーで、過去最高の営業利益までも見込んでいます。そしておよそ1年前、2016年12月に米ウェスチングハウスの特別損失が発覚した東芝の決算は、同社が「(分社化が決定している)メモリ事業が利益の大半を稼ぐ」構造であることをあらためて眼前に突きつけました。
ソニーはイメージセンサーや音楽、テレビ事業が好調なことを受けて、2018年3月期通期業績見通しを上方修正しており、営業利益については過去最高となる6300億円を見込みます。好調な決算を発表したのはルネサス エレクトロニクスも同様で、2017年7~9月の3カ月間の売上高は1955億円(前年同一期間比28.1%増)、営業利益は359億円(同23.8%増)と大幅な増収増益を記録しています。
これは世界的な半導体需要増を受けての好況といえ、東芝についても2017年度通期業績見通しについてはメモリ事業で4200億円の営業利益を見込んでいます。半導体、なかでもDRAMのニーズを受けSamsung Electronicsが半導体設備投資費を拡大する姿勢を見せており、NAND型フラッシュメモリ/DRAM市場では寡占が強まる傾向が見えています。
メモリ需要の高まりは東芝にとって、東芝メモリの高価売却につながる要素なのでそう悪い話とはいえませんが、問題は「メモリ事業の利益が全社利益の90%を超えている」という現状です。メモリ事業のストレージ&デバイスソリューション部門は2017年通期で営業利益4194億円(前年比2328億円増)を予想しており、これは全社営業利益(4300億円)の97%に相当します。
東芝は残る「3%」の事業体でどうやってビジネスをしていくのでしょうか。平田代表執行役専務は「5%を目標とする利益率の確保」「徹底的な構造改革」の2本柱で立て直しを図るとします。後者については「サザエさん」「日曜劇場」といった長らくスポンサーとなっていたテレビ番組からの降板を発表し、ICTソリューション事業を手掛ける東芝デジタルソリューションでは再就職支援を含む早期退職の実施も決まりました。
東芝メモリの売却は2018年3月末までが目標となっており、目標とする金額での売却が行われれば債務超過は解消されます。ですが、メモリ抜きの東芝は営業利益4300億円の会社から、営業利益106億円の企業となっての再出発となります。この数字は営業利益の話なので、すぐさま既存事業の屋台骨が揺らぐことはないと思われますが、主たる収益源を失った企業の再興は容易なことではありません。
4つの社内カンパニーが担う「社会インフラ」「エネルギー(海外原発製造を除く)」「電子デバイス」「ICTソリューション」での成長を目指すとしますが、企業体としての規模が縮小した以上、R&Dを始めとした投資は抑えられるはずでしょうし、しばらくは利益率の確保が優先されることが予想されます。広告を含めたメディア露出も減少するはずで、存在感の低下は避けられないでしょう。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2017年11月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[東芝、メモリで大半の利益稼ぐ見通し](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/09/news126.html)・
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[ソニー イメージセンサーなど好調で上方修正](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/01/news035.html)・
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[TI、IO-Link関連製品などFA向け事業を強化](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/15/news035.html)・
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[ルネサス、7~9月売上高は前年同期比28%増収](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/06/news064.html)・
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[ARM、AI開発専門のグループを設立](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/06/news057.html)・
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[Samsungが設備投資費を倍増、中国には痛手か](http://eetimes.jp/ee/articles/1711/27/news032.html)・
東芝、メモリで大半の利益稼ぐ見通し
東芝が2017年11月9日に発表した2018年3月期(2017年度)第2四半期累計(2017年4?9月期)業績は、メモリ事業での大幅増益により前年同期比1155億円増の売上高2兆3862億円となった。2017年度通期業績見通しについても、メモリ事業で営業利益約4200億円を見込み、全社として前年を上回る営業利益4300億円を予想する(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月9日掲載)
ソニー イメージセンサーなど好調で上方修正
ソニーは2017年10月31日、イメージセンサーや音楽、テレビ事業が好調なことを受けて、2018年3月期通期業績見通しを上方修正した。営業利益については過去最高となる6300億円を見込む(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月1日掲載)
TI、IO-Link関連製品などFA向け事業を強化
Texas InstrumentsがFA(ファクトリーオートメーション)向け事業に関する説明会を開催した。TIの産業向け事業は、2016年実績で全社売上高133億7000万米ドルのうち、33%を占める。その主力事業である産業向けの中でも、スマートファクトリー化という世界的な流れを受けて、FA分野を成長領域の1つに掲げる(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月15日掲載)
ルネサス、7~9月売上高は前年同期比28%増収
ルネサス エレクトロニクスは2017年11月2日、2017年12月期第3四半期(7~9月期)業績を発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月6日掲載)
ARM、AI開発専門のグループを設立
ARMは、新たに機械学習(マシンラーニング)グループを設立し、アクセラレーターコアや、CPU/GPUコア向けブロック、相互接続が可能なソフトウェアなどを開発していく予定だと発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月6日掲載)。
Samsungが設備投資費を倍増、中国には痛手か
DRAMの強いニーズを受け、Samsung Electronicsは半導体設備投資費を拡大する。2016年の113億米ドルから倍増し、2017年は260億米ドルとなる見込みだ。メモリに力を入れる中国にとっては、Samsungとの差がさらに大きく開く可能性もある(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月27日掲載)。
次期iPhone、Qualcommのチップを採用せず?
2018年に発表されるであろう次世代「iPhone」には、Qualcommのチップが採用されない可能性があるという。複数の米メディアが報じた(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年11月1日掲載)。
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