企業動向を振り返る 2017年10月版
「話題のスマホ」が照らし出す、ジャパンディスプレイの困難さ
発表された「話題のスマホ」を見ると、JDIの今後が気になります。
2017年9月にはアップルが新型「iPhone」を発表し、その数週間後には中小型ディスプレイの製造を手掛ける、“日の丸ディスプレイ”ことジャパンディスプレイ(以下、JDI)が構造改革の進展を報告する記者会見を行いました。スマートフォン関連の話題という意味では共通しますが、内容のコントラストはあまりに鮮明でした。
アップルは新型iPhoneとしてナンバリングモデルの「iPhone 8/8 Plus」と記念モデルの「iPhone X」を発表し、注目を集めました。JDIは2017年度中の構造改革完了と4辺狭額縁を実現する「FULL ACTIVE」ディスプレイを切り札リに、2019年度までに車載と産業用を柱とした収益構造への転換で400億円以上の営業利益確保を目指すと述べました。
一見すると明るいアップルに暗いJDI、のように見えますがそう単純な話でもありません。華々しく新製品を発表したアップルですがQualcommの訴訟は泥沼化しており、事態が収束する見通しは全く立っていません。両社ともに5Gが本格的に稼働する2020年を目指しての端末開発、チップ開発は進めているはずであり、どこかで妥協点を見いだすと予想されますが、10億米ドルもの賠償金を求める訴訟へと発展してしまっており、着地点の予測はより困難になっています。
JDIにしても状況は楽観視できません。2017年度中に従業員削減を含む構造改革を行いながら「FULL ACTIVE」ディスプレイの販売を進め、なおかつ、2019年度の営業利益400億円を目指し、スマホに頼らない収益構造の構築を進めなくてはなりません。加えて、有機ELの研究開発も継続し、中小型ディスプレイ市場における存在感を確保するという目標もあります。
2012年にソニーと東芝、日立製作所の中小型ディスプレイ部門が統合して誕生したJDIですが、結果的にはスマートフォン向けの小型液晶だけでしか強みを発揮できず、加えて有機ELの製品化やスマホ以外の販路拡大もできず、上場以来、赤字を続けています。
苦境に陥った国内企業が合併したものの事態は好転せず、公的資金の投入で再起を伺うという図式はルネサス エレクトロニクスに似ていますが、ルネサスは2017年6月に大株主であった産業革新機構やNECが株式を売却。経営の指針は再建から成長に移りつつあります。買収したIntersilの社名を「Renesas Electronics America」に変更するのも、「ルネサス」ブランドとして攻勢に移る意思表明でしょう。
ルネサスが業績を回復した背景には、工場閉鎖や従業員削減といった厳しい改革案の断行に加えて、自動車の電化や自動運転技術の広がり、産業機器の高性能化といった潮流に乗れたことも大きな理由として挙げられるでしょう。純粋な売り上げ金額は減少していますし、マイコン業界もインテルによるアルテラ買収、QualcommによるNXP買収など業界再編の動きは続いていますが、自分の足で立てるだけの体力は回復したと言っていいでしょう。
JDIはここまでの体力を早急に養わねばなりません(「2019年度の営業利益400億円」を公言しているのですから、目安はこれでしょう)。2017年10月に実施した組織改編でCMO(Chief Marketing Officer)に就任した伊藤嘉明氏は状況の厳しさを認めながらも、「技術は世界レベルなので、やり方次第だと思う。(自身には)しがらみもないので、やるべきコトはガッツリやれる」と意気込みを示します。
とはいえども、3社統合から5年以上も人員やポジションが重複する状態を容認してきた経営感覚の甘さをこのままの放置しては命取りになりかねません。2017年夏に社長へ就任した東入来氏とその右腕となる伊藤氏の手腕に注目です。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2017年9~10月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[Apple、「iPhone X」でさらなるブランド力強化へ](http://eetimes.jp/ee/articles/1709/13/news078.html)・
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[JDI再建の命運握る「FULL ACTIVE」をアピール](http://eetimes.jp/ee/articles/1709/26/news124.html)・
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[Intersilの社名を変更し、ルネサスブランドに統一へ](http://eetimes.jp/ee/articles/1710/27/news100.html)・
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[東芝、17年度通期の最終損益予測を下方修正](http://eetimes.jp/ee/articles/1710/23/news091.html)・
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[投資ファンドによるLattice買収が破談に](http://eetimes.jp/ee/articles/1709/14/news107.html)・
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[米Digi-Key、130万個の在庫とサービスで新たな競合にも強気](http://eetimes.jp/ee/articles/1710/25/news030.html)・
Apple、「iPhone X」でさらなるブランド力強化へ
Appleは、「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X(テン)」を発表した。iPhone Xの価格は999米ドルとやや高い価格設定になっているが、専門家は「Appleのブランド力低下を防ぐにはいい戦略だ」との見解を述べている(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年9月13日掲載)
JDI再建の命運握る「FULL ACTIVE」をアピール
ジャパンディスプレイ(JDI)は2017年9月26日、都内で会見を開き、構造改革の進展状況を説明するとともに、2017年6月に量産を開始した狭ベゼル(額縁)の液晶ディスプレイモジュール「FULL ACTIVE(フルアクティブ)」を公開した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年9月26日掲載)
Intersilの社名を変更し、ルネサスブランドに統一へ
ルネサス エレクトロニクスは2017年10月27日、子会社であるIntersil(インターシル)の社名を2018年1月1日付で「Renesas Electronics America」に変更すると発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年10月27日掲載)
東芝、17年度通期の最終損益予測を下方修正
東芝は、2017年度(2018年3月期)第2四半期(累計)および通期の連結業績予想について、最終損益を下方修正した。東芝メモリの売却先が決まったことで、同事業の価値が確定し、税金の影響を算出できるようになったため、修正したという。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年10月23日掲載)
投資ファンドによるLattice買収が破談に
未公開株式投資ファンドCanyon Bridge Capital Partnersによる米Lattice Semiconductorの買収は、トランプ大統領が発令した大統領令を受けて破談になった(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年9月14日掲載)。
130万個の在庫とサービスで新たな競合にも強気
130万個の在庫を抱え、たった1カ所の倉庫から1時間当たり500箱を出荷する米Digi-Key。同社のDigital Business部門でバイスプレジデントを務めるJim Ricciardelli氏に、Digi-Keyの強みや、Amazonなどの“新たな競合”について話を聞いた(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年10月25日掲載)。
AppleとQualcomm、法廷闘争に至るまでの経緯
AppleとQualcommの法廷闘争は長期化し、解決の時期を見通すことが難しい状況になっている。両社の係争は、なぜここまで泥沼化してしまったのか――。その背景には複雑な取引契約の背景があった(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年9月11日掲載)。
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