グローバル製造業/エグゼクティブセミナー2017
勝ち残るため「何」を提供するのか、日立製作所に見る事業創造の手法(2/2 ページ)
こうした取り組みと並行して、同社では工場などモノづくりの部門と、営業などフロント(コンシューマーに近い部門)を切り離し、フロントプロフィットセンター制に切り替えている。
それまでの同社はモノ造り部門の影響が大きかったが、現在ではより各地のユーザーのニーズに合わせた製品作りに取り組んでいる。研究開発体制も各地域の顧客の要望にこたえるサービス開発を目指し、社会イノベーション協創センターを北米、欧州、中国、アジア、日本の各地域に設置している。
さらに、新ビジネスを創造するにあたり、IoTプラットフォーム「Lumada」により「課題分析」「仮説構築」「プロトタイピング」「価値検証」といった諸要素の顧客提供、運用などをしている。「Lumadaのポイントはソリューションコアといわれる部分がユースケースの集合体であり、ここが他社のプラットフォームと違う」(加藤氏)という。
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Lumadaをコアにした事業モデルへ
日立製作所には、長年、磨き続けてきた現場を動かす制御技術(OT)とデータの分析・活用技術(IT)を駆使し、社会インフラから企業システムに至る豊富なソリューションの実績がある。例えば、経営部門から現場までのバリューチェーン上の設備・機器とモノと人をデジタルでつなぎ、人工知能によりデータを分析。その結果を再び、現場へフィードバックすることでさまざまな経営課題に対して成果を挙げてきた。
Lumadaはこれら豊富な同社および顧客のユースケースを汎用的に使えるよう「ソリューションコア」としてひな型化し、このソリューションコアの適用により顧客のデジタルソリューションを迅速に実現することを目指している。Lumadaを用いることで、経営課題の発見からコスト削減、品質向上さらには顧客との協創による新ビジネスの創生までを支援しているのである。
同社ではこのLumadaをコアとして社会イノベーション事業、特に「電力・エネルギー」「産業・流通」「都市」「金融・公共・ヘルスケア」の分野へ注力している。現時点では日本市場に向けたアプローチとなっており、諸外国への訴求はこれからの課題となるが、事業創造の手法としてエスノグラフィ調査、Exアプローチ(Experience Oriented Approach:日立製作所の提唱する価値協創手法)、ビジョンデザインなどがあり、「ここで差別化を図っている」(加藤氏)という。
エスノグラフィ調査では、調査者が実際の業務を観察し、潜在ニーズや本質的な課題を抽出することによりソリューションを提供する。「収益や利益率などが下がってきているが、その要因が分からないケースが多い。私たちが現場をつぶさに観察して、さまざまな無駄をそぎ落とす」(加藤氏)などの活動を行う。これまでに英国鉄道車両保守業務に対する調査や、オーストラリアでは建設機械の保守現場、中国のソフトウェア開発現場などで実施している。
Exアプローチはエンジニアだけでなくコンサルタント、デザイナーも加えて、顧客と徹底的な議論により、課題とビジョンを共有し、新しいビジネス/サービスをデザインしていく。日立独自の協創ツールと多彩な人財による協創ワークショップとなっている。
ビジョンデザインは将来の社会課題を把握し、それらが解決された社会の姿を生活者の視点で詳しく描いていく。加藤氏は「私たちはモノをおさめるのではなく、バリューを提供し続けKPI(key performance indicator)に反映させる。そこまでつなげ合せないとこれからのモノ造りでは勝ち残っていけない。そのために、こうした手法を開発した」などと述べた。
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