SYSTEM DESIGN JOURNAL
スマートフォンとIoTハブの類似性(4/4 ページ)
エッジに力を
基本的にセンサーを読み取り、制御アルゴリズムを実行し、アクチュエーターにコマンドを送り、ファイアウォールとして機能するだけのハブに10個のCPUコアというのはやり過ぎに思われるかもしれません。確かに、Mediatekのlittle-medium-big戦略のためにCPU数は多めですが、それによってタイムクリティカルなタスクを必要な場合に専用CPUに固定することが可能になります。さらには、豊富な処理能力はアルゴリズムの複雑化という最近の傾向に対応するものです。
そうした傾向は、例えばセンサーレスモーター制御やバッテリー管理におけるカルマンフィルターの使用と集中的な行列演算のように、より高度な制御機能に見られるものですが、機械学習の復活により、この傾向はまさに拡大しようとしています。
この復活の兆候が最初に見られたものとしてビジョンプロセッシングが挙げられます。監視や自動車運転支援への使用はさておき、画像分類は多くの場合、システムの状態を推定する最も効果的な方法となり得ることを設計者は認識していました。測定に数百のセンサーを必要とするようなことを1台のカメラで理解することができるからです。ある初期のアプリケーションは固定カメラを使用して道路を観察し、画像処理を使用してどの駐車スペースが埋まっているかを判断することで、何十個もの埋設センサーと何百メートルにも及ぶ地下ケーブルに取って代わりました。
最も有効な画像分類アルゴリズムとしての畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の優位は、IoTハブへのCNNの使用に加え、リカレントニューラルネットワークなど他のディープラーニングネットワークの探求につながりました。そうしたモデルの評価はCPUコアをすぐに使い尽くします。その結果、ハブにメニーコアプロセッサや、GPUやFPGAなどのハードウェアアクセラレーターに使用することに関心が集まっています。ここで思い浮かぶのがHotChips Conferenceで発表された2番目の論文です。
カンファレンスにおいて、MovidiusはディープラーニングSoCについて説明しました。これは、基本的に固定機能画像プロセッサ、RISC CPUコア、行列演算用ベクトルプロセッサ、及びメモリブロックの集合で、全てディープラーニングネットワークの評価に最適化されています。同社は、あるGPUの2倍以上の性能でありながら、ファンやヒートシンクでさえも不要なほど低消費電力であると主張しています。
コンセプトの変化
これまでコネクテッドローカルコントローラーからスマートハブ、さらにディープラーニングネットワークをホストするハブまでの進化を見てきました。これは、現在の観察可能な状態を入力として使用するだけで十分に管理できるシステムには長期的なソリューションとなるかもしれません。しかし、このコンセプトを超えて、それ自体の状態だけでなく履歴、さらには一見無関係なデータの非構造化プールも要求できるシステムへの関心が高まっています。これはビッグデータ解析の領域です。
システム管理へのビッグデータ手法の使用例は、現在のディープラーニングが普及するより前から存在します。機械保守システムは、例えば差し迫った障害の予測変数を特定したり、疑わしいロットから部品の場所を突き止めたりするために、運転履歴のビッグデータ解析を使用します。統計的分析や関連性ランキングなどの従来のビッグデータ解析手法とディープラーニングアルゴリズムの段階的融合により、エンベデッドシステムにとってのクラウドベース分析の重要性は高まる一方でしょう。
ですがここにはいくつかの疑問が残ります。まず、ビッグデータアルゴリズムは、システムの状態をどのくらいのタイミングで、どの程度知る必要があるのでしょうか。ほとんどのマーケティングプレゼンテーションでは、システムの状態を全て継続的にクラウドに記録することを仮定しているようです。そうして、スマートカーが1時間あたり25GBの新規データを生成すると記述されたPowerPointスライドを目にすることになるわけです。しかし、IoTハブは状態情報のフィルタリング、抽象化、表現、及び優先順位付けを行ってフローを大幅に削減する可能性の方がはるかに高いように思われます。
もう1つの疑問はクラウドの性能に関係します。翌月のエネルギー消費予測や年1回の保守計画立案にクラウドベース分析を行う場合、特に急ぐ必要はありません。しかし、それが低周波制御ループや機能安全システムの一部である場合は厳しいデッドラインがあります。そこで登場するのがHotChips Conferenceで発表された3番目の論文です。
Baiduは多種多様なビッグデータ解析の実行時間短縮を目的とする、クラウドデータセンター向けのFPGAベースのソフトウェアアクセラレーターを発表しました。同社が具体的に示した例はSQLクエリアクセラレーターで、ビッグデータ解析の約40%において有用としています。しかし、リコンフィギレーション可能なアーキテクチャはさまざまなタスクに応用できるはずです。従って、アクセラレーションは、特に決定性のネットワーク接続とともに使用した場合、スマートハブと協調動作する制御システム内のビッグデータアルゴリズムの有用性を拡大する可能性があります。
この記事では、帯域幅、レイテンシ、セキュリティなどの現実的な問題がスマートIoTハブにどう有利に働くのかを見てきました。ハブがスマートになれば、コネクテッドシステムコントローラーとしてのハブ、ディープラーニングコントローラーとしてのハブ、そしてクラウドベースのビッグデータシステムのエージェントとしてのハブという、少なくとも3つのまったく異なるアーキテクチャが興味深くなります(図3)。この3つを何らかの形で組み合わせることで、ほぼ全てのコネクテッドエンベデッドシステムに適したものになるはずです。
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