SYSTEM DESIGN JOURNAL
スマートフォンとIoTハブの類似性(3/4 ページ)
スマートフォンとIoTハブの類似性
1つ目の興味深いケースは、複数の近隣コントローラーの動作を結合すると機能上の利点がある場合です。この状況は複数コントローラーが同じプロセスの異なる部分を処理しているものの、近隣コントローラーが収集しているセンサーデータが全てのコントローラーに恩恵をもたらす場合に発生するかもしれません。全てのセンサーデータを収集し、全てのアクチュエーターを制御するワイヤレスハブに制御アルゴリズムを移動することにより、卓越した制御最適化が可能になります。
現在、そうしたシステムは通常、センサー及びアクチュエーター上のローカルワイヤレスMCUから専用ワイヤレスハブまでの短距離ワイヤレスリンクを使用して実装されます。カバーすべき範囲が低消費電力ワイヤレスリンクにとっては広くなりすぎた場合、システムを強力なワイヤレスネットワーク、Wi-Fi、さらにはセルラー接続へと段階的に拡大して、ブリッジする距離を伸ばすことができます。
恐らく2020年以降になるであろう5Gサービスの最終的な展開により、ローカルリンク、それより長い距離の接続、及びインターネットに戻るパイプに単一のメディアで対応できるようになり、この構図がさらに簡略化される可能性があります。しかし、セルラーサービスへの言及は、5Gの展開よりかなり前に有効性が証明されるかもしれない興味深い点を指摘しています。
ハブの実装を見ると、システムはますます複雑化していることが分かります。接続にはインターネットへの方向と、センサー及びアクチュエーターへの方向という2つがあります。後者のワイヤレス接続は、ワイヤレスネットワークの諸規格をめぐる大きな混乱に対応するために、RFフロントエンドとベースバンド、それにプロトコルが柔軟でなければなりません。ソフトウェア無線は、現在の混乱に対する合理的な答えといえるでしょう。
次の問題として、アルゴリズムが実行される場所である実際のコントローラーがあります。全てのセンサーデータへのアクセスにより、精巧で要求の厳しいアルゴリズムが必要になり、場合によってはリアルタイム処理に対するハードウェアアクセラレーションが必要になることからかなりの余裕を備えていなければなりません。さらに、ハブはシステムの認証及び暗号化に対して責任を負うため、セキュリティの必要性があります。そうした必要性から、ハードウェア暗号アクセラレーターやセキュア・キー・ストアが要求されるかもしれません。
遠くから聞いていると、これはある大きく懸け離れた種類のデバイスの説明であるように聞こえるかもしれません。それはスマートフォンです(図2)。実際、スマートフォン、あるいはスマートフォンで使われているチップセットのサブセットを制御アプリケーションのハブとして使用することは関心を集めています。
インターネット接続はWi-Fiまたはセルラーネットワーク経由で利用でき、必要なローカルのワイヤレスリンクの少なくとも一部はサポートしています。それにAndroidは比較的拡張しやすいオープンプラットフォームを備えています。しかし、処理能力はどうなのでしょうか。
2016年のHotChip Conferenceでは、答えを示唆するモバイルアプリケーションプロセッサのデザインが発表されました。そのMediatekのチップは性能とエネルギー効率の折衷を狙ったもので、設計者はARMのbig.LITTLEコンセプトを基に、3つのクラスタで構成された10コア処理サブシステムを考え出しました。
1番目のクラスタは4個の低消費電力1.4GHz ARM CortexR-A53コア、2番目のクラスタは4個の2.0GHz A53コア、3番目のクラスタは、速度に最適化された2個の2.5GHz A72コアで構成されています。階層コヒーレントインターコネクトと動的タスクスケジューラーは全て共有されます。10CPUからなるクラスタは、十分なスレッドを与えられることで、MCU並みの電力効率からサーバクラスに迫る演算性能にオンザフライでスムーズに移行しながら、リアルタイムとバックグラウンドのタスクを組み合わせて実行できるはずです。それは、結局のところ、先進的なスマートフォンが要求するものであり、ハブに要求されるものとかなり似ていることを示しています。
このクラスタはスマートフォン向けSoCに組み込まれるため、GPU、セルラーモデム、Wi-Fi/Bluetoothサポート、近接無線、セキュリティハードウェアが付属することになります。携帯電話SoCの生産数量を考えると、大胆な価格設定になるはずです。そのため、こうしたSoCはIoTハブにとって非常に魅力的なベースとなる可能性があります。
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