SYSTEM DESIGN JOURNAL
スマートフォンとIoTハブの類似性(1/4 ページ)
IoTのシステムアーキテクチャは急速な進化を続けており、その進化は新たなシリコンすらも生み出そうとしています。HotChipsで発表された3つのトピックから、この新たな動向について解説します。
IoT(モノのインターネット)は、実際のシステムが広く普及する前から急速な進化の時期に入っています。IoTアーキテクチャに対する初期の――率直に言って単純すぎる考え――は、データフローの解析やなぜIoTが本当に重要なのかという厳しい質問に基づく異なる考えに取って代わられつつあります。
その結果、新しいアーキテクチャが生まれ、新しいシリコンにつながるでしょう。この動向について、2016年のHotChips Conferenceで発表された3つのICスナップショットを引用しながら解説します。
まず、現在のコンセプトから始めましょう。保守主義者と理想主義者のどちらであるかによって、多くのシステム設計者がIoTに対して最初に抱いた印象は2つに大別されます(図1)。
保守主義者は従来のエンベデッドデザインのみに目を向けており、IoTを既存のデザインに対する追加要件と考えています。一方、理想主義者はIoTを、ほぼ全てのモノを仮想化し、物理的検出と作動を除く全てのタスクをクラウドに引き戻す機会と認識しています。
多くの場合、最良のソリューションはこの両極端の一次結合となりますが、そうした妥協はネットワークエッジ付近に、新しいカテゴリーのコンピューティングの出現をもたらすでしょう。
2つの単純な概念
エンベデッドコンピューティングの「中心地」である産業システム、基盤システム、航空宇宙システム設計者の間で最も多いIoTに対する認識は恐らく「追加要件」です。彼らはパッシブデータロギング、リモートアップデート、あるいはリモートコマンド機能など、インターネット接続を必要とする新たな機能の観点からIoTを見ています。
従って最初の問題は、言うまでもなくインターネットとの物理的な接続方法です。これは、エンベデッドコントローラーが少なくともある程度のサイズのボードで、産業用ネットワークまたはイーサネットに接続されている場合はそれほど問題になりません。
コントローラーがMCUなどの小型か物理的に隔離されている場合、インターネットに接続するには、Wi-FiやBluetooth、あるいはIoTが近年生み出してきた多種多様なネットワーク機能といった追加ハードウェアが必要となります。当然ですが、新たに接続するためには接続先となるワイヤレスハブのほか、システム上にプロトコルスタックが必要です。
しかし、このIoTに対する漸進的アプローチにおいて、極めて重要でありながら正当に評価されていない多い層がもう1つあります。セキュリティです。エンベデッドコントローラーをインターネットに接続するということは、コントローラーを世界中のハッカーに接続し、鮮やかなバナーを掲げて「ここだよ。こっちに来て探ってみなよ!」と知らせるようなものです。
人間または財産に損害を与えると考えられる機能を備えているコントローラーは、認証、データ保護、及び機能安全に関して責任を持たなければなりません。たとえ重要なことを何もしないコントローラーでも、やはりマルウェアから保護する必要があります。最近の大規模なサービス妨害(DoS)攻撃は、少なくとも一部がIoT接続デバイスで構成された膨大なボットネットを起点に仕掛けられているようです。
この保護は「言うは易く行うは難し」です。ニュースが毎週伝えているように、政府機関やグローバル企業でさえもシステムのセキュリティ確保に失敗しています。IoT開発者は、はるかに少ない物理リソースでもっとうまくやらなければならないというジレンマに陥っています。MCU内部にハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を搭載すれば辛うじて必要条件を満たすと思われますが、現状では物理的に不可能です。
そうした困難にもかかわらず、この保守的な考えの大きな利点は、それによって何が保全されるかにあります。つまり、エンベデッドシステム内のデータフローのレイテンシや帯域幅は損なわれない、あるいは少なくとも接続タスクやセキュリティタスクがシステムに新たな不確定性をもたらさない限りはそのはずであるということです。
従って、リアルタイムタスクはデッドラインに間に合い続け、制御ループの伝達関数は変わりません。これは、多軸モーターコントローラーにおいては明らかな利点ですが、ビルの照明管理システムのような単調なシステムにおいても有益となる可能性があります。
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