DMG森精機 CRPプロジェクト
工作機械大手のDMG森精機が取り組む「日独システム統合」への道のり(2/3 ページ)
CADツールの統合、そして柔軟性のあるCAD運用ルールの構築
これと同様に、システムの統合にも取り組んだ。具体的には「CAD」「BOM」「PDM」「ERP」の統合である。CRPプロジェクトでは、2015年10月までを期日としたCADの統合をフェーズ1、2017年3月までを期日としたPLMの統合をフェーズ2、そして2020年までを期日としたERPの統合をフェーズ3とし、段階的に進める方針をとった。「従業員の人種も違う、製造拠点も顧客も世界中に存在するため、単純に日本で使ってきたシステムやルールを、『はい、どうぞ使ってください』というわけにはいかない。ドイツ(旧:Gildemeister)側の担当者と向き合って、1つ1つ落としどころを見つけていかなければならなかった」と新海氏は説明する。
CRPプロジェクトが開始された2013年当時は、旧森精機製作所と旧Gildemeisterで使用していたCAD、BOM、PDM、ERPはバラバラだった。全てをいきなり統合することは困難だったため、3D CADの統合から開始。旧森精機製作所では、2000年ごろから2D CADから3D CADへシフトし、シーメンスPLMソフトウェアの「Solid Edge」を使用してきたという。一方の旧Gildemeisterは、PTCの「Pro/ENGINEER」を利用しており、これまでは一度中間ファイルに落としてから双方で設計データのやりとりを行っていた。「中間ファイルでのやりとりは重要な情報が欠落する可能性があるため、非常に効率が悪かった。設計データの相互活用性を高めるには、3D CADの統合は避けて通れない」(新海氏)。最終的に統合後の3D CADは、旧Gildemeister側にとってバージョンアップという形でスムーズに移行できるPTCの「Creo」に決定し、日本(旧:森精機製作所)側が歩み寄る形となった。
3D CADがCreoに決定しても、運用面での違いが残っている。このすり合わせも日独共同でワークショップなどを開催しながら、CADモデル、図面の形式およびルールの統一を進めていったという。「例えば、図面の投影法については、日本側が三角法で、ドイツ側が一角法だったり、図面内の注釈も双方ローカル言語で記述していたり、モデルの着色ルールも統一されていなかったりした。また、工業規格についても日本はJISだが、ドイツはDIN(Deutsche Industrie Normen)と根本的に違う」と新海氏は運用面での課題の一部を紹介した。
運用ルールの統一については、「『必ずどちらかに合わせる』『必ずどちらかに決める』ということはせずに、妥協できるところは妥協する形で、柔軟性をもって議論を進めていった。例えば、無理やり投影法を一角法に統一してしまうと日本側で間違いが発生してしまうリスクが高くなる。逆もしかりで無理に統一する意味がない。せっかく3D CADを使用しているのだから、アイソメ図を追加しておけばよいだろうという話で落ち着いた」(新海氏)という。また、図面内で使用する言語については原則英語とし、注釈などに関しては第2言語として日本語とドイツ語の使用を認めた。
「実は、CRPプロジェクトの推進でキーとなったのが英語。双方、英語が母国語ではないこともあり、どちらか一方の主張が強いといったことがなく、フェアに話し合いができた」と新海氏は付け加えた。
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