LiveWorx 2017/PTC 基調講演
製造業のIoT/AR活用のカギはCADとPLMにあり――現実味を帯びてきたフィジカルとデジタルの融合(2/2 ページ)
見えてきた!? フィジカルとデジタルの融合が実業務へもたらす革新
まず設計部門における取り組みだ。Sumilinkのモデルを活用したモデルベースのデジタルツインによりCytroPacの性能要件を分析したところ、30%のエネルギー効率の向上が求められ、同時に条件として「製品の寸法を変えてはならない」という要件が提示された。
この条件に対して設計担当者は、まずこのCytroPacに対して熱解析を実施し、冷却が不十分であることを把握。ユニット全体の再設計ではなく、内部にある3つの冷却プレートの設計を見直すことで解決を図った。その際、用いられたのが3D CAD「Creo」に搭載されている格子形状(ラティス形状)の生成機能だ。これにより、余分な材料を削減すると同時に、冷却効果を高めることに成功。最終的に冷却プレートをアルミ材で製造することで従来比60%以上の軽量化を実現し、要件であったエネルギー効率も43%と大幅に向上させた。
続いて紹介されたデジタルチームでは、営業活動(セールス)に特化した情報を可視化するアプリケーションをThingWorxベースで開発したり、3Dテクニカルイラストレーションソフトウェア「Creo Illustrate」とThingWorx Studioを活用し、ARによる3Dのサービスマニュアルを作成したりしている。前者のThingWorxベースのアプリケーションはノンプログラミングで開発が可能なため、多くの時間を要することなく素早くアプリケーションを開発でき、それをすぐに営業に展開できるという。
さらに、AR体験は営業活動そのものにも活用可能だとし、ヘプルマン氏は「Microsoft HoloLens」を通じて、CytroPacの実物大モデルを目の前に表示するデモを披露。「こうしたARの活用により、近い将来、実製品を陳列しているような従来型のショールームがなくなるかもしれない。CADで設計された3Dデータの利用はディスプレイの中に限定されたものではなく、AR/IoT技術と組み合わせることでいろいろな活用が考えられる」とヘプルマン氏は述べる。
そして、実際にCytroPacを導入した工場では、各種装置/設備機器の見える化に向けた取り組みを開始する。しかし、工場内の制御機器や装置などはメーカーごとの独自仕様に基づき開発されているため、情報の一元管理は想像以上に難しい。そこで、2016年にPTCが買収したKepware Technologiesの「KEPServerEX」の機能を活用。ロボットや制御システムなど、工場内の装置/設備機器をモニタリングし、収集したデータを基に、ThingWorxの機械学習機能で解析を行うことで、工場の自動化を含めたスマート工場が実現できる可能性を紹介した。
ご覧の通り、今回のLiveWorx 2017ではフィジカルとデジタルの融合の中で、IoTやARなどがどのように活用され、製造現場の各業務に対してどのような価値をもたらすのかがより鮮明に示された。同社の思い描く未来が訪れ、それが当たり前になる日が来ることを期待しつつ、フィジカルとデジタルの融合をさらに加速させる、同社の次なる一手にも注目していきたい。
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