IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(8)
ソフトウェアテストの施策と運用(前編)――IoT時代を生き抜くテスト施策(6/6 ページ)
テストコストと品質の計測、その微妙な関係
IoTやAI、ビッグデータでは仕様が未確定であるため、テストコストや品質の計測がしにくい。アジャイル開発ではテストコストに対する詳細な計測が手間になる。さらに1つのプロジェクトだけに収まらずに、派生開発や並行開発する製品の全てのプロジェクトで計測する必要がある。製品の全体体系を見て、テストのコストと品質を計測する必要があるのだ。
コスト計測は作業を細切れにしない限り、何とか可能である。問題は品質計測である。従来のシステム品質は、バグ密度などの代替数値で品質を計測していた。魅力的品質の計測は困難であるので、(仕方なしに)納得して、代替のバグ密度で品質全体を計測していた。夢や希望を売り物にするIoTやAI、ビッグデータでは魅力的品質が命なので、品質計測は難しいものになる。
AIの囲碁プログラムを例に考えてみる。品質をどのように計測するか。機能的品質はバグ密度で計測するにして、囲碁の「強さ」や「魅力」についてどう計測するかである。囲碁の手順は無限に思えるほど多く存在し、テストケース数は爆発的に増える。また1手1手の打ち手の品質をどのように判断するかも難しい問題である。
逆に考えれば、どれだけテストをしても、それによって品質が向上したかは不明である。このような中で品質を計測するのはAIに特化した知識と経験と勘が必要になり、また、品質の判断基準を明確化することも同様に困難である。
今回は従来のソフトウェアテストの施策をいくつか紹介し、新時代のソフトウェアテストの施策(または指針止まりのもの)を見てきた。次回はこれらのテスト施策の運用について見ていくことにする。
著者紹介
五味 弘(ごみ ひろし):OKI(沖電気工業) シニアスペシャリスト、エバンジェリスト。博士(工学)。
ソフトウェアの開発支援・教育に従事。電子情報技術産業協会(JEITA)専門委員会の委員長や情報処理振興機構(IPA)などの委員など。情報処理学会(シニア会員)。三重大学などの非常勤講師やリサーチフェローも務める。IoTやAI時代のソフトウェア開発の知見融合が関心事。
著書に『はじめてのLisp関数型プログラミング』(技術評論社、2016年)、共著書に『IoTセキュリティ』(日経BP社、2016年)、『定量的品質予測のススメ』(オーム社、2008年)、『プログラミング言語論』(コロナ社、2008年)などがある。雑誌執筆や講演なども多数。著者の個人サイトはhttp://gomi.info/。
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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