PTCジャパン主催 CAD勉強会
PTCが3D CADの歴史を振り返る――「Creo」の前身「Pro/ENGINEER」が生まれ、今に至るまで(3/3 ページ)
そして「Creo」へ――注目の新機能や今後の展開
Creoは単体の製品名称というわけではなく、製品設計ソフトウェアの集合体である。「Creo Parametric」「Creo Direct」などの3次元ツール群、「Creo Layout」「Creo Sketch」などの2次元ツール群、「Creo View MCAD」「Creo Illustrate」などのビューイングツール群で構成される。これらCreoファミリーのアプリケーション間はシームレスな連携が可能で、他社CADファイルや中間ファイルなどもサポートする。
マルチCAD環境の課題を解決する「Unite Technology」
芸林氏は、Creoの最近の動向として「マルチCAD対応」「CADとIoT(Internet of Things)」といったトピックを紹介。マルチCAD対応は、Creo以外の他社CADデータの取り扱いに関するもので、PTCは「Unite Technology」という技術を提供している。Unite Technologyは「インポート」「オープン」「自動更新」「名前を付けて保存」の4つからなり、インポートは他社CADデータをCreo形式に変換する機能で、オープンは他社CADデータをCreoでそのまま展開できる機能である。そして、自動更新は元となる他社CADデータ側で設計変更が発生した場合、その変更がCreoで利用中の他社CADデータにも自動反映される機能である。最後の名前を付けて保存は、Creoで作成/閲覧しているCADデータを他社CADのファイル形式でエクスポートできる機能である。このUnite Technologyにより、CAD環境の統合あるいは複数CADを用いたコラボレーション設計が容易に行えるようになる。
現実世界とバーチャルを融合した「デジタルツイン」
さらにPTCは、IoTにも力を入れている。同社は、2014年1月にIoTプラットフォームの「ThingWorx」を買収。これにより、現実世界の製品に搭載されたセンサーからのデータをThingWorx経由で設計(Creo)側に取り込んだり、Creo上に配置した「バーチャルセンサー」による算出結果を実製品側にフィードバックしたりできるようになるという。IoTを活用した設計開発アプローチは、例えば実際の製品の利用状況を分析して次期モデルの改善に役立てたり、新製品/サービスの創出に生かしたりできる。「3D CAD単体で見た場合、第3世代以降、革新的と呼べるほどの大きな変化はなかった。非常に差別化が難しい状況の中で、IoTプラットフォームを自社で所有している点は、PTCの大きな強みといえる」と芸林氏。
またデジタルツインによる体験をさらに拡張する手段として、PTCはAR(拡張現実)の可能性も提案する。2015年11月に買収したAR開発プラットフォーム「Vuforia」により、例えば現実世界の実製品上にデジタル情報を重ねて表示しメンテナンス作業を支援したり、実物に近いイメージでデザインレビューを行ったりすることができる。「こうした展開も、真のデータとして3次元モデルがあるからこそ実現できるものだ。今後、設計製造以外のシーンでも3次元モデルが活用されていくだろう」(芸林氏)。
3Dプリンタ関連機能も強化中
その他、芸林氏は3Dプリンタ関連機能の強化についても言及。「Creo 4.0」から格子形状を作る機能が盛り込まれている。そして近い将来、トポロジー最適化やメタルプリンティング(金属造形)に関する機能強化も予定しているという。「3Dプリンタベンダーとも情報交換をしながら、新しいモノづくりの在り方、製造方式にいち早く対応していきたい」と芸林氏は話す。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 設計現場の56.5%が3D CADを活用、2次元からの「移行予定なし」も16.7%
» デキるエンジニアのCAD 設計
» オープンソースの無償3D CAD「FreeCAD」の機能まとめ
» いまさら聞けない金型設計「量産設計の基礎」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(メカ設計)
「メカ設計」をメインテーマに、モノづくり関連セミナー/ワークショップのレポートや開発者インタビューなどを多数掲載。現場課題の解決や、さらなる成長に向けた第一歩を踏み出すためのヒントを提示します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー