オートデスク Fusionファミリー
モノづくり環境の変化を受け「Fusion 360」の商用展開を強化――無償ライセンス提供も継続
オートデスクは、クラウド利用に対応した製品設計開発プラットフォーム「Autodesk Fusion 360」とその関連製品の販売体制を強化していく。個人での利用および年間売り上げが10万米ドル未満の企業は、従来通り無償で利用できる。
オートデスクは2017年3月22日、クラウドベースの3D CAD/CAM/CAEツール「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)の販売を加速していくと発表した。Fusion 360は3D CAD/CAM/CAEが一体となった、クラウド対応の製品設計開発プラットフォーム。さらにレンダリング、コンセプトデザインおよびアセンブリなどの機能を持ち、企画から製造、販売に至る各作業をシームレスに行うことができる。
Fusion 360は2013年に提供を開始、2015年夏に日本語に対応した。機能が充実してきたこともあり、技術サポートを行う専任エンジニアを配置し、販売体制の強化やトレーニングを実施するなどして、商用展開を強化していくという。
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モノづくりやユーザーとの関係の変化に対応
Fusion 360の展開を強化していく背景には「ここ2、3年のモノづくり環境の大きな変化がある」と、オートデスク インダストリストラテジー&マーケティング 製造業 ビジネス開発マネージャーの宮岡鉄哉氏はいう。
3Dプリンタをはじめとする製造方法の多様化や、大量生産から「マイクロファクトリー」と呼ばれる方法への生産体制の変化、ユーザーとの距離が近くなっているといったことから、「メーカーは製品を提供するだけではなく、ユーザーと一緒に作ったり、サービスを提供したりするという形に変わりつつある」(宮岡氏)。こういった変化に対応するためにオートデスクが送り出した製品が、クラウドをベースにした単一プラットフォームであるFusion 360だ。
Fusionファミリーとして展開
オートデスクは、Fusion 360を中心とする製品群を「Fusionファミリー」として提供している。現在グローバルで展開しているFusionファミリーは以下の5製品である。
- Fusion 360 Standard
- Fusion 360 Ultimate
- Fusion Team
- Fusion Lifecycle
- Fusion Connect
上記3つ(Standard、Ultimate、Team)については、日本でも提供している。LifecycleおよびConnectの展開時期については未定だが今後、日本でも提供する予定だという。
Fusion 360 Standardが3D CAD/CAM/CAEの機能を備えた製品で、レンダリング、アセンブリ、コンセプトデザインの機能も備える。そして、Fusion 360 UltimateがStandard版の上位版という位置付けだ(詳細は後述)。
Fusion Teamは、クラウドベースでのコラボレーションツール。各種デバイスからファイルを表示、共有、レビューできる。プロジェクトに関係するメンバーとリアルタイムで情報を共有し、効率的に共同作業を行うことができる。50種類以上の2D/3D設計ファイル形式に対応したデータ管理も行える。
Fusion Lifecycleは、クラウドをベースとする製品ライフサイクル管理(PLM)ツール。必要な機能群があらかじめ備わっており、短期間、低コストでの導入が可能だという。
Fusion Connectは、システム構築が不要なIoTクラウドサービスで、IoTデバイスと連携し、リアルタイムで情報を収集してダッシュボーにまとめる。表示項目を自由に選びユーザーインタフェース(UI)をカスタマイズできる。
1カ月から利用可能
Fusion Standard版、同Ultimate版、Fusion Teamについては、それぞれ1年間3万6000円、17万8000円、1万4000円(税別、以下同じ)で提供する。また2年および3年契約、1カ月ごとの契約も可能。月額料金はそれぞれ5000円、2万2000円、2000円。「Fusion 360は設計ツールと捉えがちだが、実際はCAMやCAE、フォトリアリスティックなレンダリング機能までを包含する。こういったことからも(この価格設定は)破格だと考えている」(オートデスク テリトリー営業本部 製造ソリューション 本部長の吉崎哲郎氏)。
Standard版のCAM機能は3軸まで対応。Ultimate版では4軸および5軸にも対応する。
CAEについては、Standard版では静的応力およびモード周波数、熱伝導および熱応力の解析が可能。Ultimate版はそれらに加えて、構造座屈、シェイプ最適化(現在は試験搭載、以下3つ同じ)、非線形静的応力、破断などのイベントシミュレーションの解析が可能。ソルバーはNastranがベースとなる。今後も解析の種類を追加していくという。
解析および高機能のレンダリングについてはクラウド上での処理となり、別途オートデスクの「クラウドクレジット」による支払いが必要になる(なお、試験搭載の解析については、正式搭載されるまで無料で利用可能)。
解析は5クラウドクレジットから、レンダリングは1メガピクセルごとにおよそ1クラウドクレジットが必要。例えば、1年契約のStandard版には100クラウドクレジット、Ultimate版には1100クラウドクレジットがあらかじめ含まれており、追加購入は100クラウドクレジット1万6000円となる。
従来の無償ライセンス提供も継続
今回の商用展開の強化に当たっても、従来通り、個人および年間売り上げが10万米ドル未満の企業については“無償”で利用できる。
グローバルにおける月当たりのアクティブユーザー数は6桁、日本では数千だとしている。なおグローバルでは学生の利用者が多く、日本国内では個人や数名の企業での利用が多いという。国家規模で製造業強化の一環としての導入例もあり、例えばインドの職業訓練校ではそれなりの規模で導入されているという。
現在開発中のものとしては、Fusion 360のWebブラウザ版がある。現在はWindows、MacおよびiPadで利用が可能となっているが、Webブラウザ版が加わることにより、さまざまなデバイスでFusion 360の利用環境が整うことになる。
また今後の機能拡張としては、シートメタルやプリント基板に関するものを予定している。プリント基板については、オートデスクが提供する基板開発システム「EAGLE」の環境を、Fusion 360と連携させるような機能拡張を予定しているという。
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