IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(7)
ソフトウェアテストの試練(後編)―IoTとAI、ビッグデータが愛したテスト(3/4 ページ)
新しいソフトウェアテストの施策方針、その思い
ソフトウェアテストに柔軟性、拡張性、接続性を与えるため、つまり仕様変更に耐えうる精神力と体力を身に付けるためにはまず、テストを基本部と派生部と拡張部、接続部に分ける。
基本部は従来のソフトウェアテストに相当するものであり、派生部は多種多様なIoTデバイスや非定型のデータ、一定範囲の学習結果に対応するテストにする。また拡張部は未知のIoTデバイスや機能、データに対応する部分であり、接続部は別システムのテストと接続する部分である。
従来のテストでもコールドスポット(仕様が確定されテストケースが凍っているところ)とホットスポット(仕様が未確定でテストケースが熱いところ)に分けて作成することがあったが、それを応用したものである。
テストはのんべんだらりとするのではなく、意思を持って(今回は4つの部分に分けるという意思を持って)行うことが重要である。基本部はウオーターフォール型開発に準じたテストでもいいし、アジャイルでも構わない。拡張部以降はアジャイル開発に準じたテストになるであろう。これは未確定な仕様に対するテストとしてはアジャイルが向いているからである。
次にテストを爆発させない防護服は、賢さを素材にする。組み合わせテストの科学的な効率化と探索テストの職人的な効率化による賢さで、テストを手抜きして、爆発を抑える。効率化は科学的な方法だけでも職人的な方法だけでも、片方だけではいけない。両方必要である。
第4回で紹介したオールペア法や直交表はテストを科学的な網羅率で表し、科学的な効率化ができる。しかしここでも因子や水準の抽出は職人芸が必要であり、完全に機械化することはできない。やはり科学と職人の両輪が必要であるが、科学的な方法は得やすく職人は得難い。科学的な方法は普及や教育は可能であるが、職人は育成しにくくコストも大きく掛かる。科学か職人かの思いは複雑である。
最後に非決定的なシステムのテストを制するには、神の判断が必要である。これは人間には難しい。人間は状況証拠から判断するだけである。人工知能やビッグデータが残した実行結果の状況証拠から犯罪があったのか、それとも事故だったのか、それとも問題はなかったのかを判断する。この判断が正しかったのかは歴史が証明するのみである。
例えば、教師あり学習(1)であれば、この判断も比較的容易になる。しかし過学習(2)の問題もあり油断はできない。一方、教師なし学習はテストの妥当性の判断が困難である。何らかのメタ教師を仮定して判断する必要がある。例えば将棋の人工知能であれば、何局か指してみての勝率になる。そして最悪は人間による主観評価になってしまうだろう。これは最低限必要な評価であるが最低である。
* (*1) 教師あり学習(supervised learning)
事前に与えられた情報を正しい結果として、それを元に学習すること。事前に与えられる正しい情報を教師からの助言と見なすためにこの名がある。一方、教師なし学習は正しい結果が与えられずに学習すること
* (*2) 過学習(overlearning)
学習させすぎるとかえって学習効果がなくなってしまうこと。学習には適度な回数が存在するが、その適度な回数の判断は困難である
以上が新しいソフトウェアテストの施策指針であり、その概要を図4に示す。具体的な施策としてはどこに主題を置くか、どこを採用しないかなどを決めていくところから始め、具体的に何をして、そしてそれらを臨機応変に実施することになるが、これらは次回で見ていくことにする。
とあるテスト現場より(3)
A:「で結局、俺たち、どうすればいいんですか。」
B:「まだだ。俺たちの戦いはこれからだ!」
A:「え?まさかの俺たたエンド?2期をお楽しみってことですか」
(*) 俺たたエンドとは、アニメや漫画でストーリーが中途半端な状態にもかかわらず、「俺たちの戦いはこれからだ/これからも続く」という言葉で強引に終わりにする手法
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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