IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(4)
ソフトウェアテストの手法と施策(中編) 幸せになれるソフトウェアテストの選び方(2/5 ページ)
境界値分析の例 「あなたは太っています」
境界値分析の例を見ていく。身長と体重を入れてBMI(Body mass index、身長の2乗に対する体重の比で求める指数)を計算するシステムを考え、境界値分析でテストケースを作成する。
身長や体重は0よりも大きい値になるから0が境界値になる。身長や体重の最大値もシステムの実装上必要となり、これが境界値になる。例えば、身長の最大値は3mで、体重は200kgのように決める。今回は入力として2個のデータを受け渡すので基準を引数個数にすると、引数個数が2個未満、引数個数が2個、引数個数が3個以上の同値類がある。このときの境界値は引数個数が1個、2個、3個である。
また境界値分析は1次元だけの問題でなく、体重と身長の2次元も考える必要がある。例えば、身長が3mで体重が30kgというのは密度的にもおかしなデータである。これは無効系データとするべきである。境界値分析としては身長と体重の2次元の式を与え、妥当性判断の式に入っているかどうかで無効系データの境界値を抽出する。しかしこのように2次元以上の境界値を考慮する場合はテストコストが大きくなるので、コストと品質のバランスを考える必要がある。
AIやIoTの時代になると、この境界値分析は一層難しくなる。街灯もなく真っ暗な夜道を歩いていると、道の真ん中を歩いているのか、道の端っこを歩いているのか分からなくなるのと同じである。
デシジョンテーブルで見える化
今までの同値分割法や境界値分析では、同値類の発見と分割を頭の中でやっていた。一方、これから紹介するデシジョンテーブルや原因結果グラフは、頭の中でやっていた同値分割を可視化して、他人にも分割の経過を伝わるようにしている。数が少ないときは頭の中だけで十分だが、数が増えると天才でもない限り、頭の中だけでは無理である。
デシジョンテーブルと原因結果グラフは同じ情報量で、一方から他方へ変換できる。整理好きな日本人は表形式のデシジョンテーブルが好きで、議論が好きな欧米人はグラフを使う傾向がある。もちろん、ここではデシジョンテーブルにする。
デシジョンテーブルの例を見ていく。とあるアミューズメントパークがあり、入場料は子供料金とシニア料金、一般料金がある。女性は50歳以上、男性は60歳以上でシニア料金になる。また一般女性に対してのみ、曜日限定でシニア料金になる特典がある。そしてアミューズメントパークの所在地の市に住んでいるゲストには料金割引がある。表1にこのときのデシジョンテーブル(の一部)を示す。
デシジョンテーブルでは原因(入力)と結果(出力)を行単位に書く。そして原因と結果を同値分割して細分化していく。表1の例では性別という観点で男性と女性、年齢という観点で子供と一般、50歳台、60歳以上に分割している。
またデシジョンテーブルの右側のセルで「1」と立っているのは、そこからテストケースの入力を選ぶことを示している。例えば、年齢が子供となっているところに1が立っていれば、子供の年齢をテストの入力にする。境界値分析であれば、境界の年齢(0歳と最年長の子供の年齢が有効系境界値)を代表値にする。
デシジョンテーブルを作れば、同値分割したものから1回以上テストをしているかの抜け漏れチェックや同様なテストを2回以上していないかが、(慣れてくれば)一目で分かる。
とあるテスト現場より(2)
A:「なんかデシジョンテーブルを表でまとめると、テストをしているって感じですね。バグ必殺仕事人って感じ」
B:「それは日本人の悪い癖だな。表を1日中作っているのが仕事だと思ってやがる。図の方が絶対見やすいと思うぞ」
A君:「でも原因結果グラフって、やたらと面積が必要ですよね。紙の無駄って言うか」
B:「それがいいんだよ。大きすぎて駄目なのが早めに分かるから」
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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