トレンドマイクロ セミナーレポート
狙われる国内製造業――事例から学ぶIoT時代の「工場セキュリティ」(前編)(3/3 ページ)
なぜセキュリティ被害を防ぐことができないのか?
既に実例を挙げているが、実際にサイバー攻撃などによる被害を受けると、復旧までに掛かるコストだけでなく、生産停止による納品遅延や、不良品出荷を引き起こすことによるリコールの発生、さらには機能不全に伴う安全性の低下といった、「金銭的な被害にとどまらず、安全性や信用の失墜といった企業経営を揺るがすような問題に発展するリスクを秘めている」(上田氏)。
ではなぜ、こうした被害を防ぐことができないのだろうか。上田氏は次のように説明する。「端的にいえば、対策が不十分、あるいは未対策だからである。例えば、工場設備はインターネットに直接つながっていないから大丈夫! という誤解をしている場合があるが、先ほどの事例の通り、USBメモリを介してマルウェアが工場内に侵入してくるケースが非常に多くみられる。ネットにつながっていないから安心というのは間違えだ。また、メーカーからの保守サポートが受けられなくなるためウイルス対策ソフトなどを設備機器に導入できないという要因もある。他にも人員入れ替えが頻繁にあったり、社外の関係者が多く出入りしたりすることで、運用ルールの徹底が困難といった事情もある」(上田氏)。
また、被害を拡大してしまう背景として、ネットワークやUSBメモリによる感染拡大が考えられるという。「特に、工場内ではUSBメモリがよく使われているが、セキュリティ対策ができていない環境だと一気に感染が拡大してしまう。工場内には、品質検査装置のような固有にカスタマイズされた“一品モノ”の機器がよくある。そうした機器が感染してしまうと工場停止と等しい大きな被害になり、復旧までに多くの時間を要することになるだろう」と上田氏は述べる。
そして、最も大きな理由がインシデントレスポンスのフローや体制が整っていない点だという。「こういった部分がきちんとルール化できていないことで、本来であれば被害を最小限に抑えられるところを防ぎきれずに、右往左往している間に工場全体に影響が及んでしまう……」と上田氏は指摘する。
次回後編では、制御システムを狙った攻撃の増加や、国内メーカー製PLCを狙った不審な動きを紹介するとともに、工場セキュリティの具体的な対策について詳しく解説する。(【後編】を読む)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 制御システムの「安全神話」は既に崩壊している
» WannaCryが明らかにした、生産システムセキュリティ「2つの問題点」と「2つの対応策」
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» 5分で分かるMirai
» セキュリティリスクから工場/生産ラインをどう守る?
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