IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(1)
ソフトウェアテストのコストと品質(前編)―「テストの究極の問題」を考える(3/5 ページ)
障害と欠陥
バグや障害、欠陥、不具合、事故、故障、トラブル、エラー、ミス、例外、想定外などの意味やその使い分けはどうなっているのか。これらの言葉は大きく分けて、観測できる事実としての結果と、観測結果の原因に分けられる。
障害や不具合、故障、トラブル、事故、インシデントなどはシステムが期待するサービスや動作を提供しないことを意味し、実行結果として観測できる事実である。その一方で欠陥やエラー、ミスなどは上記の障害などの観測結果の原因であり、障害は発見され、その原因は欠陥である。
バグは結果としても原因としても使われる。文脈を読まないとどちらの意味で使われているか、または両方の意味で使われているのかが分からないので注意が必要である。バグ(bug)とは本来「虫」の意味だが、業界用語(ジャーゴン)でコンピュータの障害または欠陥を意味する。リレー式計算機に蛾が挟まって障害が発生した出来事に由来し、そのバグ(蛾)はスミソニアン博物館に展示されている。
テストが困難である要因の1つは、欠陥が見つからなかったとき、テストが悪いのか、それとも製品が良かったのかの判断が極めて困難であることである。これは「テスト」と「製品」と2つの変数があるため、結果に対する変数(原因)の識別ができない問題であるともいえる。
とあるテスト現場より(3)
A:「先輩、テストは大失敗です。バグが全く発見できませんでした……」
B:「そうか、それは残念。……じゃなくて、今夜は祝杯を挙げよう!」
A:「はい、先輩。そうですよね、製品もテストも完璧ですよね。」
B:「でもテストを実施したのが君だから……不安だ(ぽつり)」
テストの「究極の目的」とは?
ソフトウェアテストをすることで、私たちは何を得ることになるのか。もっと言えば、正しい作り方と正しい製品であることをテストするということで、何を目指しているのか。何がうれしいのか。何を目的としているのか。逆に考えれば、ソフトウェアテストをしなければ、製品の正しさを確認しなければ、どんなデメリットがあるのか。何を失うのか。
開発現場でこの問題は明確であろう。テストをしなければバグを見つけることができず、徹夜でデバッグという未来が待っている。それでは「上から目線」で考ると、なにが問題となるのだろうか。
「テストの目的とはなんぞや」の答えは、次の言葉にまとめられる。「ソフトウェアテストの究極の目的とは製品の品質を計測し、それを保証し、さらに品質を向上していくこと」である。これが開発現場目線でも上から目線でもいえるだろう。
しかしこれは「品質」というマジックワードにテストの目的を押し込めただけである。しかし品質こそがテストのキーワードになることを覚えていてほしい。図3に今まで出てきたテストの定義とその目的を図示する。
この目的によれば、テストをするメリットは「製品の品質計測をし、それを保証し、将来に渡る品質向上が見込める」ことであり、逆にテストをしないデメリットは「品質が計測できず、その保証ができず、将来に渡る品質向上にも結び付かない」ことである。
品質計測と品質保証、それから期待される品質向上を果たすにはテスト以外になく、これこそがテストが重要である理由である。強い言い方をすれば、製品企画や要求分析、アーキテクチャ設計、詳細設計、プログラミングをどのように立派に作業しても品質計測はできず、品質保証はできず、品質向上にならない。なおテストの重要さと困難さは後述する。
品質とはバグがないことだけでなく、使える(使ってもらえる)かどうかも含まれる。機能要求のような当たり前の品質だけでなく、ユーザビリティも含めた非機能要求に対する品質も含まれる。これを魅力的品質とも言う。ソフトウェアテストの目的は、この魅力的品質も含めた品質を計測し、保証し、向上させることである。バグゼロ(当たり前品質の保証)が究極の目的でなく、魅力的品質を含んだ品質が目的である。
とあるテスト現場より(4)
A:「先輩、魅力的品質って何ですか」
B:「一言で言えば、使ってもらえる魅力かな」
A:「それじゃ先輩、これをコピーしてください」
B:「それはパシリ」
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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