IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する(1)
IIoTが実現する製造業の未来とそのメリット(2/2 ページ)
顧客にさまざまなサービス/付加価値を提供できる時代へ
さらに、付加価値向上を目指す動きも盛んに行われている。「モノ」から「コト」へ、「製造業のサービス業化」などといわれるが、生産現場がネットワークにつながることで、受注から納品、その後の保守まで含めたトータルで、顧客にさまざまなサービス/付加価値を提供できるようになる。
例えば、「マスカスタマイゼーション」と呼ばれる取り組みは、規格品を大量生産するのではなく、顧客ごとのオーダーメイドが簡単にできるようになる、というものである。顧客が欲しい製品のサイズや材質などを指定すると、受注管理のシステムから直接工場にデータが送られ、生産設備の加工機のパラメータがそれに合わせて自動変更され、カスタム品が自動的に作られる。この仕組みは、既に幾つかの企業で実際に実現されている。
あるいは、出荷後の部品の利用状況がネットワーク経由でアップロードされることで、メーカーはユーザーに対してメンテナンスのアドバイスが行える、といった取り組みも進んでいる。この場合、ユーザーは保守管理の手間が少なくなり、メーカーも顧客満足度の向上や保守サービスでの収益、また保守タイミングをメーカーが把握できることで在庫の最小化などが可能となる。
一昔前まではIoTやインダストリー4.0とは、モノづくりの世界を変えるという印象を強く押し出していたものの、その具体性についてはあまり認識されてこなかった。つまり、「バズワード」として言葉ばかりが成功していたといっても過言ではない。しかし、最近では各分野の製造業がそれぞれに知恵を絞り、モノがつながることでどんなメリットを出せるのか、どのやり方が現実的なのか、などを具体的に描けるようになってきたのではないだろうか。そして、これからはその具体化されたアイデアをいよいよ実現する段階に入ってくるのだが、ここに落とし穴があることを次回解説したいと思う。
IIoTは、生産設備の各種部品、つまり「コントローラー」「センサー」「アクチュエーター」がつながることを条件としているが、現実の世界では、これら三大部品が実際には簡単につながらないのである。なぜつながらないのか? 次回詳しく解説する。(次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 「カイゼン」を中心にデータ活用が進む製造業、課題はROIと人材
» 77.3%が“つながる工場”実現に向けて取り組みを開始――経営層も投資に意欲
» PTCはIoTベンダーになったのか? CAD、PLMユーザーに向けたメッセージ
著者紹介:
リンクス 代表取締役 村上 慶(むらかみ けい)
1996年4月、筑波大学入学後、在学中の1999年4月、オーストラリアのウロンゴン(Wollongong)大学に国費留学、工学部にてコンピュータサイエンスを学ぶ。2001年3月、筑波大学第三学群工学システム学類を卒業後、同年4月、リンクスに入社。主に自動車、航空宇宙の分野における高速フィードバック制御の開発支援ツールであるdSPACE社製品の国内普及に従事し、国内におけるトップシェア製品となる。2003年、同社取締役、2005年7月、同社代表取締役に就任。
同社代表取締役に就任後は、画像処理ソフトウェアHALCONを国内シェアトップに成長させ、産業用カメラの世界的なリーディングカンパニーであるBasler社と日本国内における総代理店契約を締結するなど、高度な技術レベルと高品質なサービスをバックボーンとした技術商社として確固たる地位を築く。次のビジネスの柱として2012年7月にエンベデッドシステム事業部を発足し、3S-SmartSoftware Solutions社の国内総代理店となる。(2016年10月現在)
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IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する
IoT、インダストリー4.0がこれほどまでに盛り上がり続けるのは、その将来像への賛同だけではなく「現時点で材料となる技術はそろっていて、決して夢物語ではない」と多くの人が感じているためである。日本のモノづくりは改善を重ねることで着実に世界をリードしてきたが、第4次産業革命で求められる非線形なモノづくりの進化をリードしていくためには、「製造現場のガラパゴス化」を解消することが急務だ。本連載では、日本のみならず世界的に盛り上がりを見せるIIoTの技術で製造業はどう変化していくのか、日本の製造業がその変化に追従していくためのボトルネックとなる国内製造業のガラパゴス化について解説する。
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