IT導入完全ガイド
事例でつかむ! 「マニュアル作成ツール」7つの活用ポイント
これまでWordやExcel、PowerPointなどを使い、時間と労力をかけて作成していた業務マニュアル。だが近年、簡単・迅速に作成し、配布やメンテナンス作業も含めて解決する「業務マニュアル作成ツール」の導入例が増えている。本稿では、業務マニュアル作成ツールを導入した企業の事例を紹介しながら、導入メリットなどについて詳しく解説する。
そもそも「業務マニュアルが存在しない」というケース
先輩から後輩への「口伝」からの脱却
業務マニュアル作成ツールはその名の通り、業務マニュアルの作成作業を支援するためのツールだが、「うちにはそもそも、業務マニュアルがまだ存在していない」という企業も少なくない。代表的な例が法律事務所や会計事務所といった、いわゆる「士業」の事務所だ。その多くが少人数で運営されていて「わざわざ業務マニュアルを用意するまでもない」というところも多いそうだ。
しかし、スタッフの数が10人、20人と人数が増えてくると、業務マニュアルなしでは業務効率が目に見えて悪化する。新しいスタッフが入ってくるたびに、先輩が付き切りで全ての業務の手順をレクチャーしなくてはならない。レクチャーを受ける側は、教わった内容を微に入り細に入り律義にノートにまとめる。だが、その内容は共有されることがなく、また新たに人が入ってくると同じことが繰り返される。
ある会計事務所では、マニュアル作成によってスタッフの教育にかかる時間が削減できた。また、マニュアルの作成を通じて業務の標準化も進んだ。さらに、顧客からの問い合わせで多い「会計の処理方法」などは、電話やメール(テキスト)での回答では伝わり切らない部分が多かったという。そこで回答集をマニュアル作成ツールを使って作成し、それを顧客に案内しているそうだ。
既存の業務マニュアル作成業務の効率化
業務マニュアル作成ツールの導入を検討している企業のほとんどが、既に業務マニュアルの作成や運用作業を行っており、そこで何らかの課題を感じている。特に仕事の性格上、業務マニュアルに大きく依存せざるを得ない業種や、作業手順が頻繁に変更されるような業務においては、業務マニュアルの作成・運用の効率が業務全体の生産性を大きく左右する。
管理職がマニュアルの更新作業で忙殺される
コールセンター業務の生産性は、顧客からの問い合わせにどれだけ多く対応できるかにかかっている。しかし、効率性を追求するあまり対応の質を下げるわけにもいかない。このような業務では、高品質かつ高効率にできるすご腕オペレーターの働き方を「お手本」としてマニュアル化し、オペレーター間で共有する取り組みが欠かせない。また、コールセンター業務は人の入れ替わりも激しい。少しでも効率よく新人を教育するためにも業務マニュアルの整備は不可欠だ。
だが、コールセンターに寄せられる問い合わせ内容は幅広く、その製品やサービスのラインアップもどんどん入れ替わっていく。当然、業務マニュアルの更新頻度も高くなり、専門業者に依頼していては間に合わない。実は、コールセンターの管理者やマネジャーはマニュアルの更新作業に忙殺されていることが多いそうだ。
ある化粧品メーカーでは、マニュアル作成は操作画面をキャプチャーして、WordやExcelに貼り付けて作るしかないと思い込んでいたそうだ。しかも、データ上で切り貼りした図版が印刷時にずれてしまうなどの失敗を繰り返しながらマニュアルを作成していた。このようなやり方で1時間かけていた作成作業はマニュアル作成ツールの活用によって10分程度で終わるようになったという。
社内ヘルプデスク業務の効率化
コールセンターの事例は社外の顧客からの問い合わせ対応の効率化だったが、社内の従業員からの問い合わせに対応する部署でも検討の余地は大きい。特に、クライアントPCの使い方や業務システムのトラブルについての質問に応対するヘルプデスク業務は、情報システム部門が兼業で行っていることも多く、その対応作業の負荷が本来の業務を圧迫しているとも聞く。
あらかじめ業務システムの利用手順や、クライアントPCのセットアップ手順などをマニュアル化しておき、それを社内に広く公開しておけば、問い合わせ対応に掛かる工数を大幅に減らせる可能性がある。あるいは、頻繁に寄せられる問い合わせの回答をFAQコンテンツとしてまとめて公開しておけば、問い合わせの件数をより減らせるだろう。文章やスクリーンショットだけではなく、実際にシステムを操作している様子をとらえた動画コンテンツもマニュアルの中に含められれば、ユーザーにとってより分かりやすい内容になる。
自社製品・サービスのマニュアルを迅速に公開
業務マニュアル作成ツールと聞くと、社内で利用されるマニュアルの作成や運用のために使うものと思うかもしれない。だが、同じツールを使って、自社の製品・サービスの設定方法や利用方法をレクチャーする手順書や説明書を内製し、ユーザーに提供する企業も多い。
更新が早いクラウドサービスのユーザーマニュアル
特に、クラウドサービスを主戦場とするITベンチャーなどでは、社内の人的リソースを開発やプロモーションに集中せざるを得ない規模のところも多い。その結果、マニュアル類の充実をはじめとした顧客満足度向上の取り組みが後回しになってしまう。
では、マニュアル作成を外部業者に委託するとどうだろうか。日進月歩のネットビジネスの世界だ。毎週のように新機能の追加やアップデートが行われており、マニュアルが納品されるころには、情報が陳腐化している可能性が高い。
より少ない人手や時間、予算の中でユーザーに充実した情報をタイムリーに提供するために、業務マニュアル作成ツールを使ってユーザーマニュアルを効率よく内製する企業が増えている。クラウド型のマニュアル作成サービスを使って、マニュアルをWebサイト上で公開したり、プレスリリースにそのURLを記載したりといった活用を試みている企業が登場している。
動画を使った宣伝用コンテンツもマニュアル作成ツールで
製品やサービスの魅力をアピールするためのプロモーション用コンテンツを、業務マニュアル作成ツールを使って作成する例もある。業務マニュアル作成ツールは、動画を簡単に取り込んで編集できたり、コンテンツをWebサイトやクラウドサービス上に簡単に公開できたりする。動画、静止画、音声、スクリーンショット、テキスト、スライド資料などを自在にミックスした、プロ顔負けのリッチなプロモーションコンテンツを内製することも不可能ではない。
例えば、ある証券会社では、自社サービスの魅力や使い方を紹介する動画コンテンツを社内で作成し、YouTubeで定期的に公開している。従来は、このコンテンツを1本作成するたびに専用スタジオを借り、機材をそろえて3人掛かりで2週間の制作期間を要していた。しかし、マニュアル作成ツールの動画編集機能を活用したところ、わずか1人で半日程度の作業で同等のコンテンツを制作できるようになった。この結果、それまで毎月2本の動画を公開するのがやっとだったのが、月10本のペースで制作・公開できるようになったのだ。
もちろん、インターネット上に公開するコンテンツだけでなく、例えば営業マンが顧客に自社製品・サービスの魅力をアピールするために使う販促コンテンツなどもツールの機能をうまく活用することで手軽に内製できるようになる。こうした目的のためだけに業務マニュアル作成ツールの導入を検討してみるのも、十分“アリ”だろう。
Eラーニング教材も業務マニュアル作成ツールで内製化
コンテンツ内製化のメリットは、Eラーニング教材にも適用できる。従来、社内教育・研修用のEラーニングのコンテンツは、外部から購入するか専門業者に制作を依頼する他なかった。特に、自社に特有の専門知識や業務手順に関するEラーニング教材は、専用のコンテンツを一から制作しなくてはならず、どうしても業者に頼らざるを得なかった。
しかし、コンテンツに含める内容が専門的であればあるほど、制作側に正確な情報や意図を伝えることが難しく、自ずと制作にかかる時間やコストはかさんでしまう。例えば病院の看護師向けの研修コンテンツなどは、その典型例だ。しかしかといって、自分たちで直接コンテンツを作ろうとしても、内容に関する知識はあるものの、コンテンツを制作するための技術や環境がない。
業務マニュアル作成ツールの中には、Eラーニング教材を制作するための専用機能を備えたものもある。例えば、作成したコンテンツをEラーニングでよく使われる「SCORM形式」で出力できる他、練習問題を簡単に作成するための機能などを備えている。
■コラム:伝統工芸の「匠の技」もデジタル伝承
ちょっと変わった事例として、伝統工芸の「匠の技」を後世に残すために業務マニュアル作成ツールを活用する例を紹介したい。後継者のいない伝統工芸の職人が、自らが持つ希少な技術をデジタルアーカイブとして後世に残すためにクラウド型マニュアル作成サービスを活用してインターネット上に公開しているのだ。
同様の課題は、何も伝統工芸の世界に限らず、多くの中小製造業においても見られる。熟練の職人や工員が持つ技術をいかに次世代に引き継いでいくか。後継者不足に悩むもの作り企業の多くが直面する課題だが、これを解決するために業務マニュアル作成ツールを使い、より効率的な技術伝承に取り組む企業が増えているのだ。
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IT導入完全ガイド(提供:キーマンズネット)
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