IT導入完全ガイド
AI×ロボットで自動化! 人間は“複雑化するシステム運用”から開放されるか!?
人工知能とロボットを使ってシステム運用を自動化する専業の運用サービスベンダーが存在感を増している。企業に“劇的”な運用コストの低減と運用負荷の軽減をもたらしてくれるからだ。
ユーザー企業のシステム利用の視点が、クラウドファーストから“クラウドマスト”へと移行している。そのため今のデータセンターには、クラウドサービスとの親和性を確保し、ユーザー企業に対してよりきめ細かな運用サービスを提供していくことが求められているが、現在では人工知能とロボットを使ってシステム運用を自動化する専業の運用サービスベンダーが存在感を増している。企業に“劇的”な運用コストの低減と運用負荷の軽減をもたらしてくれるからだ。
複雑さを増すシステム運用を、いかに安く効率化するか?
現在多くのデータセンターで運用サービスがオプションとして提供されているが、その内容を見てみると基本的にはインフラ部分を対象とした稼働監視サービスだ。保守のカバー範囲は物理サーバとその上のOSぐらいまでで、サイバー攻撃や電気の使用状況などをモニタリングして、何か問題が発生した時にはユーザー企業の担当者にエスカレーションを行い、実際の対応はユーザー企業側で取ることになる。つまり運用サービスを利用していたとしても、ユーザー企業のシステム運用の現場では人手に頼るさまざまな作業が数多く存在し、障害発生時には至急対応しなければならない場面も少なくないということだ。
しかし企業システムの規模はどんどん大きくなり、かつ複雑性を増している。さらにIoTの時代に突入した現在では、従来の数千倍以上のデータが発生するともいわれている。アプリケーションを含めたシステム全体の運用までをアウトソーシングしたいというIT部門は多い。一方で運用コストはそれ自体が利益を生むものではないため、経営からは常に削減要求が突き付けられている。IT部門は、大規模化/複雑化したシステム全体の運用を、より正確に、より効率よく、より安いコストで実現しなければならないという課題に直面している。
このような状況に人手で対応していくことは、もはや不可能だ。そこで出てくるキーワードが“システム運用の自動化”である。
人工知能×ロボットで“インテリジェント”に運用を自動化
こうしたユーザー企業のニーズに応えるために、現在では人工知能とロボットを活用してシステムマネジメントを“インテリジェント”に自動化するサービスを提供する専業ベンダーが大きく存在感を増してきている。まずはその仕組みを紹介しよう。
このシステムマネジメントサービスは大きく2つのプロセスに分けられる。1つ目が自動検知(=Auto Sensor-ing)のプロセス、2つ目が自動制御(=Auto Direction)のプロセスで、前者はシステムに障害が発生したときに自動で検知する仕組み、後者は自動検知プロセスから上がってきた情報をトリガーにして、その後の制御を自動で行う仕組みだ。自動検知の対象にはサーバやネットワーク、ストレージに加えて、アプリケーションやIoTデバイスまでが含まれている。
具体的なシステムマネジメントの流れとしては、まずこのベンダーではこれまで数千以上の顧客企業のシステム運用を支援する中で蓄積してきた膨大な検知データ(=ビッグデータ)をデータベース化しており、ここに自動検知プロセスから上がってきた検知データを付き合わせる。そしてこの障害は静観していいものか、ベンダー側で対処可能なものか、あるいは顧客へのエスカレーションが必要なものなのかを、スマートマシン(=人工知能)が判断する。そして障害対応のために何らかのコマンドを発行する必要があると判断された場合には、実際のその処理をロボット型のソフトウェアが行うのである。
検知データのデータベースは新たな事象が発生するごとにデータ量が増えていくので、スマートマシンの“判断材料”は時間の経過とともにどんどん豊富になり、判断の精度もより高くなっていくことになる。またロボット型ソフトウェアは、よりインテリジェントな“予兆検知”という対応も採ってくれる。
例えば自動検知プロセスから「サーバリソースが逼迫(ひっぱく)している」というアラートが上がってきた時、スマートマシンが「今回は静観という対応でOK」という判断をしたが、ロボット型ソフトウェアがこれまでのサーバリソースの使用傾向と照らし合わせて、その逼迫状態は上昇トレンドにあるという状況が明らかになった場合には、その旨を顧客企業の担当者に通知してくれるのだ。障害発生という意味でのアラートではないが“このまま放置しておくと、やがて障害が起こるかもしれない”という状況を教えてくれる事前アラートを出してくれるのである。
しかしここで1つの疑問が出てくる。データベースに登録されていない未知の障害が発生した場合にはどうするのか。この部分については、ベンダー側のエンジニアが人手で対応を行い、その結果をデータベースにフィードバックすることで、システムマネジメントサービスを“よりインテリジェントな仕組み”に成長させていくという。参考までにこのシステムマネジメントサービスは、ビッグデータをよりどころに人工知能とロボットを活用して自動運用されているが、この仕組み全体を見守っているのはベンダー側の専任エンジニアだ。
年間1億円以上の運用コストが4000万円程度に激減する企業も!
ここまで人工知能とロボットを使ったシステムマネジメントサービスの概要を紹介してきたが、それではこのサービスはユーザー企業にどんなメリットをもたらしてくれるのだろうか。
もちろん大規模化・複雑化したシステムの運用をより正確に、より効率よく、よりスピーディに行ってくれるというメリットはあるが、ユーザー企業にとって一番大きなインパクトとなるのは運用コストの劇的な低減だ。例えば年間で1億円を超えていた運用コストが4000万円程度でできるようになるなど、従来の運用コストの60%ダウンを実現する企業も珍しくないという。
こうしたドラスチックなコスト削減は、一般的な運用サービスでのコスト要因となっているオペレータ人件費がほとんど発生しないことによって達成されているものだ。端的にいえば、自動化によって削減できたベンダー側の人件費がユーザー企業に還元されている、ということである。
冒頭でも少し触れたが、システム運用コストは、経営層から常に削減要求が突き付けられているもので、業績が悪化した場合には真っ先にコストカットの対象となる。これまで1億円掛かっていた運用コストを8000万円にしたぐらいではまだまだ十分ではないと判断される場合もあるだろう。それが4000万円で実現できれば、ユーザー企業にとってこれほど喜ばしいことはない。これはもうシステム運用の改善というレベルではなく“イノベーション”の領域だといえる。
ちなみに人工知能やロボットを使ったシステムマネジメントサービスと聞くと、大企業向けの非常にハイエンドなサービスを思い浮かべるかもしれない。しかしこのサービスでは運用そのものを自動化するので、サービスの対象となる企業システムの規模の大小は全く関係がない。極端な例を挙げれば、サーバ1台の運用でもアウトソーシングできるということだ。もちろんコスト見合いの判断は出てくるが、このサービスの本質が分かれば“自動運用の対象となるシステムの規模に制約がなくなる”ことも理解できるだろう。
コラム:システムマネジメントサービスの利用を始める際のアプローチ方法は2つ
本稿で紹介したシステムマネジメントサービスは、一般的にはMSP(Management Services Provider)サービスと呼ばれるカテゴリーに分類されるものだ。MSPサービスは、ユーザー企業のサーバやネットワークなどの運用・監視・保守を代行してくれるサービスで、最後に現在のシステム運用をMSPサービスにアウトソーシングしようと考えた時の具体的な移行手順について、まとめておこう。
ケース1:現在自社でシステム運用を行っている場合
まず現在社内でシステム運用を行っている場合は、IT部門に運用手順書などのドキュメント類がないケースがほとんどのようだ。往々にして特定のエンジニアの“頭の中”に色んなケーススタディーが詰め込まれており、トラブルシューティングも属人化してしまっているのである。
この場合には、まずドキュメントの有無を確認し、メモレベルでもいいので手元にあるものを全て洗い出してサービスベンダーと共有するところから始める。こうして運用の手順を明らかにし、その上で本来できていないプロセスはないか、あるいはベンダー側に今後どんな作業までフォローしてもらいたいか、さらにはお互いの役割分担や連絡系統までを詰めていく。こうして今までなかった運用手順書を作り、双方の役割を明確にした上でベンダー側にシステム運用を移行していけばいい。
ケース2:既にどこかの運用サービスを利用している場合
次に今、既に何かしらのMSPサービスを利用しているが、アウトソーシング領域の拡大やさらなるコスト削減を目指して他のサービスベンダーに乗り換えたいという場合には、現行のサービスベンダーとの間で共有している運用手順書はあるだろう。
それを新たなサービスベンダーと共有し、先と同じく不足していたプロセス、追加して欲しいプロセスなども盛り込んで以前の内容をブラッシュアップしていく。そして運用をベンダー側に移していくのだ。
参考までにおおよその移行期間は、ケース1、ケース2ともに大体同じで、対象となる物理サーバが数十台規模の場合で約1カ月程度だ。
これからIT部門はビジネス側の要求に応じてさまざまなシステムをよりスピーディに立ち上げていく必要がある。同時に稼働中のシステム運用をおろそかにすることもできない。その際にMSPサービスの利用は大きな支援となるだろう。
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IT導入完全ガイド(提供:キーマンズネット)
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