IT導入完全ガイド
大予想! 2020年、統合運用管理はどうなっている!?
今後、ビッグデータやAI、IoTといった先端技術を取り入れた統合運用管理製品が続々と登場し、システム運用のさらなる効率化や自動化、品質向上がなされるだろう。そんなシステム運用管理の未来の姿を想像してみよう。
ビッグデータやAI、IoTといった新技術が企業ITのさまざまな分野で応用され始めているが、システム運用管理の分野も例外ではない。早くもこれらの新技術を統合運用管理製品に取り入れ、システム運用のさらなる効率化や自動化、品質向上に役立てようという試みが始まっている。これらが実現された暁には、現在のシステム運用管理はどのような形に姿を変えるのだろうか? 今後続々と実用化されるであろう先端技術を取り入れた統合運用管理製品の未来予想図を描いてみる。
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仮想化・クラウドの普及により新たに持ち上がった課題とニーズ
仮想化やクラウドの普及は、企業ITのユーザーはもちろんのこと、その運用にかかわる人々にも多くの恩恵をもたらした。これまでアプリケーションや業務によってばらばらに構築、運用されてきた、いわゆる「サイロ型」のシステムを仮想化やクラウドの技術を使って共通のシステム基盤上に集約し、システム運用管理の作業を一元化することで少ない人数でより広範なシステムの運用が担えるようになった。
しかし、システム基盤を共通化したことで、一度インフラに障害が発生するとそれがアプリケーションや業務に及ぼす範囲も広くなった。にもかかわらず、仮想化やクラウドに特有のミドルウェア層がシステム構成に新たに加わったため、障害ポイントの数はかつてのサイロ型システムより多くなった。結果として、システム障害への初動対応や復旧はよりシビアになったといえる。
こうした状況を受け、現在さまざまなベンダーから障害の検知や原因分析、復旧を支援するツール製品が提供されるようになってきた。そしてそれらの多くは、最新のビッグデータ分析やAIの技術を取り込むことで、急速に進化を遂げつつある。以降で、それらのトレンドの一端を紹介していきたい。
システム運用管理へのビッグデータ技術の応用
さまざまなシステムから収集したイベントやログを集中管理
現在、主要な統合運用管理製品が力を入れている機能の1つに「統合ログ管理」「統合イベント管理」がある。これは、システムを構成するさまざまなコンポーネントからイベント情報やログを収集し、一元的に管理するというものだ。オープン系システムは一般的に複数ベンダーの多種多様な製品によって構成されるため、それぞれが出力するイベント情報やログデータのフォーマットも異なる。
それらを個別に参照、分析するだけでも骨の折れる作業だが、数多くのコンポーネントが互いに複雑に絡み合いながら動作する仮想化、クラウド環境においては、障害の原因を迅速に切り分けるためには、複数のサーバや機器が出力するイベントやログを互いに突き合わせて、相互の関連性を分析する必要が出てくる。
これを人手で行うには相当な手間が掛かり、自ずと原因究明と復旧までの時間もかかってしまう。1つの障害の影響範囲が多くのユーザーや業務に及ぶ仮想化・クラウド環境において、これは致命的だ。そこで複数のサーバや機器、ソフトウェアからイベントやログを自動収集し、互いのフォーマットの違いを吸収して横串で情報の検索や分析が行える仕組みを提供するのが、統合イベント管理や統合ログ管理といわれる製品群だ。
特に、仮想化によるシステム基盤集約の流れが一般化して以降、多くの統合運用管理製品がその機能を取り込んできた。その多くは、オープンソースのシステム監視製品や、サードパーティー製品からも広くイベントやログを収集できる「オープン性」をうたっているのが特徴だ。
ビッグデータ分析を応用した「障害の予兆検知」
こうした製品群は、単にイベントログ情報を一元管理したり、参照、検索のインタフェースを提供したりするだけでなく、その内容を分析して問題の原因特定に役立つ知見も提供する。ここで使われているのが、大量データの高速処理、分析の技術だ。
例えば、システム全体の構成情報を基に異なるサーバやネットワーク機器、ソフトウェアのログ情報の間に関連性を見いだし、あるコンポーネントの障害が他のコンポーネントやアプリケーション、業務に及ぼす影響を即座に割り出して提示する。そのためシステム管理者は、あるシステム障害が起きた際にその影響範囲を即座に把握して適切な対処を施せる。
ただし、ビッグデータの真骨頂はこうした“静的な”データの解析だけではなく、過去に蓄積された大量のイベントログデータに対して、複雑なアルゴリズムを駆使した分析処理を極めて手軽に行える点にある。例えば「ある機器でこのようなイベントが上がると同時に、別のサーバでこのようなイベントが上がった場合には、このような障害が起こりやすい」といったように、異なるシステムのイベント同士の相関性を過去のデータの中から見いだし、それを基に現在差し迫っている障害の予兆を検知するといった具合だ。
あるいは、ある測定値の過去の動向やパターンを学習し、それと比べて現在の測定値がどれぐらい離反しているかによってシステムの異常(あるいはその予兆)を検知するという技術も実用化されつつある。現在、統合運用管理製品を提供する各ベンダー間で、こうした「障害の予兆検知」技術の研究開発競争が活発化しており、その成果が徐々に製品に反映されつつある状況だ。
この障害予兆検知の精度をいかに上げていくか。あるいはその使い勝手やコストパフォーマンスをいかに高めていくかが、今後の統合運用管理製品のトレンドの1つになると予想される。近い将来には、現在よりさらに高度で高速なビッグデータ処理の技術が適用されるだろう。
今後はAIやIoTといった先進技術の取り込みも
今後はAI技術を応用したより高精度な予兆検知や自律化に期待
また、AI(人工知能)技術の応用も徐々に始まっている。例えば、機械学習の機能を使って過去のシステム障害のパターンを詳細に分類することで、現在のシステムの動作状況をリアルタイムに、かつよりインテリジェントに認識、解釈できるようになるかもしれない。そうなれば、現在よりはるかに高精度な予兆検知が実現するだろう。
ちなみに予兆検知の技術は、システムの安定稼働やサービスレベル向上に寄与するだけでなく、システム運用の自律化、自動化を進める上でも欠かせない技術になる。今後は、障害の予兆を管理者に通知するだけでなく、障害の兆しを検知したツールが自律的に予防策を講じ、人が介在せずとも勝手にシステムを安定稼働させてくれるような世界が実現するかもしれない。
IoT時代に求められる統合運用管理製品の機能や役割とは?
もう1つ、統合運用管理製品の未来を占う上で避けて通れない技術トレンドがIoTだ。今後IoTが普及すれば、大量のデバイスが世の中のありとあらゆる場所に設置される。これらの稼働状況を監視したり、遠隔から保守を行ったりするにはどうすればいいのか。そして、そこで統合運用管理製品はどのような役割を演じることができるのか。
先に紹介した統合ログ管理や統合イベント管理ツールの多くは、基本的にどのような製品やデバイスからのイベントやログでも収集できるオープンなインタフェースを備えているため、現時点でも連携インタフェースさえ実装すればIoTのイベントやログを取り込むことは可能だ。
しかし、果たしてIoTデバイスの監視を統合運用管理製品で行うことが最適解なのかどうか。あるいはIoTとデータをやりとりするためのネットワークの経路やインタフェースがセキュリティホールになりはしないのか。今後IoTビジネスが本格的に立ち上がってくるにつれ、こうした点が課題として持ち上がってくるだろう。
また、IoTの世界で扱うイベントやログのデータ量は膨大だ。一企業の社内システムのサーバやネットワーク機器が吐き出すイベントやログの量とは比較にならないほどだ。そうした大量のログデータに対するビッグデータ分析を果たして自社内で処理できるのか。これは何もIoTに限った話ではなく先に挙げた過去ログの分析でも当てはまる話だ。より精度の高い分析結果を得ようと思えば、自ずとより大量のデータを分析する必要性が出てくる。
そうした“重い”分析処理を統合運用管理製品自身に実装するのはあまり現実的ではない。そこで今後の統合運用管理製品では、社内外のデータ分析アプリケーションとの連携インタフェースが重要性を増してくるだろう。収集、整理したイベントログ情報を外部のデータ分析基盤に渡し、そしてそこで分析された結果をまた取り込んで予兆検知やプロビジョニングなどに生かすといった具合だ。
既に各ベンダーとも、自社が保有するビッグデータ分析基盤やAI技術と統合運用管理製品との連携に乗り出しているが、将来ビッグデータやAIがコモディティ化した暁には、やはりオープンなインタフェースを通じてさまざまな製品やサービスと広く連携できるようになるのだろう。
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