IT導入完全ガイド
専用ツールだから簡単にできる! 「マニュアル作成ツール」のいろは
業務マニュアルや作業手順書は、ビジネスを着実に進める上で必須の資料だ。しかし同時に、その作成やメンテナンスは「本業ではない業務」として後回しにされがちでもあった。この矛盾を解消するためのツールが存在感を増している。本稿ではマニュアル作成業務の課題を解決するツールの基本機能を解説する。
多くの企業がハマる「業務マニュアル、4つの落とし穴」
ほとんどの職場で、何らかの形で存在しているであろう「業務マニュアル」。しかし、一昔前の日本企業の多くでは、今日ほど業務マニュアルが必要とされていなかった。むしろ、業務マニュアルがなくとも問題にならなかったといった方が正確だろう。終身雇用が当たり前の時代、若手従業員は先輩社員の働きぶりを間近にしながら業務を覚えていくものだと考えられていたからだ。
しかし、人材の流動化が進み市場競争が激化する中で、自社製品やサービスの品質を高め、企業としての競争力を維持するためには、若手従業員を一刻も早く戦力として育て上げることが求められるようになってきた。そのためには先輩社員から少しずつノウハウを盗んでいくようなやり方では間に合わない。より迅速かつシステマチックに業務手順やノウハウを伝えるための手段として、業務マニュアルの整備と活用にスポットライトが当たるようになったのだ。
しかし、いざ業務マニュアルの整備に乗り出したものの、多くの企業が作成や運用でつまずき、思うような効果を上げられずにいる。ここでは多くの企業がハマる「業務マニュアルの落とし穴」を幾つか挙げてみよう。
マニュアル作成に時間がかかる
例えば、業務アプリケーションの操作方法をマニュアルにまとめるとしよう。通常のやり方であれば、実際にアプリケーションを操作しながら画面ごとのスクリーンショットを保存し、後にそれをWord文書やPowerPointスライドの中に貼り付け、さらに説明文やコメントを書き添え、場合によっては装飾を施して……。こうした一連の作業には、言うまでもなくかなりの労力を要する。
大企業には、こうしたマニュアル作成作業を専門に扱う担当者が存在することもあるが、大抵の企業では現場の業務担当者が本業とは別に、マニュアル作成作業を兼務する。結果として、本来の担当業務の効率が悪化してしまったり、出来上がってきたマニュアルの品質が低かったりといった問題が発生する。
マニュアルの配布や差し替えが徹底されない
せっかく作った業務マニュアルも、それがユーザーの手元に届かなくては意味がない。しかし、紙のマニュアルを現場にくまなく行き届かせるには時間がかかるし、一度配布した大量のマニュアルを最新版に差し替えるとなると、多忙な現場ユーザーはなかなか動いてくれない。結果として、古いマニュアルと新しいマニュアルが混在した状態となり、業務遂行に大きな支障を来たしたり、製品・サービスの品質に致命的な影響を与えたりする危険性が出てくる。
似たようなケースとして「同じ業務のハズなのに、さまざまな『流派』が生まれる」という落とし穴がある。マニュアルの全体的なアップデートが間に合わず、担当者レベルで自己流の解釈や変更を加えたマニュアルが乱立し、引き継いだ人によってやり方が違ってしまうのだ。もしも「標準手順」よりも効率よく業務が回せるようであれば、それを標準化した方が全社的にも幸せだろう。
せっかく作った業務マニュアルが読まれない
ほとんどの企業では、WordやExcel、PowerPointといった、現場ユーザーが普段から使い慣れているオフィスツールを使って業務マニュアルを作成している。こうしたツールを使えば作成者の裁量でマニュアルの内容やデザインを自由に編集できるが、その人の技量やセンスによってクオリティーに大きな開きが生まれてしまう。その結果、「分かっている人にしか分からない」という極めて使いづらい業務マニュアルが出来上がり、自然と誰にも使われなくなるというケースが見受けられる。
どこにマニュアルがあるのか分からない
業務マニュアルは業務の手順を記したものだが、ではこの業務マニュアルを運用するための業務手順はどのように定義し、周知すればいいのだろうか? WordやPowerPointで作った業務マニュアルのファイルを、作成者の一存でファイルサーバに放り込んでおくだけの運用ではうまくいくはずもない。マニュアルの数が増えていくにつれ、どこにどのマニュアルが置いてあるのか誰も把握できなくなってしまうだろう。「業務マニュアルを探すためのマニュアル(インデックス)」が必要になるのでは本末転倒だ。
業務マニュアル作成ツールの基本機能
一般的に業務マニュアルを作成する際に用いられているWordやExcel、PowerPointといった汎用のオフィスアプリケーションとは異なり、業務マニュアル作成ツールはその名の通り、マニュアル作成に特化して設計・開発された製品だ。その機能を活用することで、前項で挙げたような業務マニュアル作成・運用にまつわるさまざまな課題を解決できる。代表的な機能や利用法を紹介していこう。
普段の操作を行うだけで自動的にマニュアル作成
業務マニュアル作成ツールには幾つかのタイプが存在するが、最も一般的なのがシステムの操作画面(スクリーンショット)を自動的に取り込み、マニュアルの形に半自動的に成型するものだ。ユーザーが普段通りのシステム操作を行う間、ツールがバックグラウンドでキーボードやマウスの操作情報を検知し、操作が行われた瞬間のスクリーンショットを自動的に記録する。ユーザーが操作を終了すると同時にマニュアルのひな型が出来上がっているわけだ。
こうした機能を活用すれば、業務マニュアル作成のためにわざわざ時間を割くことなく、普段の作業を行う「ついで」にマニュアルも作成できる。また、業務マニュアルの大半の部分をツールが自動的に作成してくれるため、作業担当者によって制作物の品質にばらつきが生じにくく、現場ユーザーにとって使いやすい業務マニュアルを確実に提供できる。
■コラム:マニュアル作成ツールの工数削減の実力
業務マニュアル作成ツールを使うと、WordやPowerPointにスクリーンショットを切り貼りする従来のマニュアル作成作業の工数はどの程度削減できるのだろうか。
実際にツールを活用した企業に聞くと「1時間かかっていたマニュアル作成作業を10分で終えられるようになった」「3人で2週間かかっていたコンテンツ制作作業が、1人が半日間でこなせるようになった」という。また、これまで外部の専門業者に委託していたマニュアル作成作業を内製化し、コストや時間の大幅圧縮に成功した事例も多い。
ただし業務マニュアル作成作業は、現場の業務担当者が本業の傍らに行うことが多く、工数や負担の実態が見えづらい。従ってツール導入の費用対効果を事前に評価するためには、現時点で業務マニュアル作成・運用にかかっている「目に見えない工数」を洗い出して、可視化することが先決だ。
スマホで撮影した写真から簡単マニュアル作成
近年、モバイルとクラウドの利点を活用した新たなタイプの業務マニュアル作成ツールが登場している。例えば、スタディストのクラウドサービス「Teachme Biz」は、業務遂行の様子をスマートフォンのカメラで写真や動画として撮影してマニュアル化する。このツールでもアップロードしたデータが半自動的に業務マニュアルの形にレイアウトされ、ユーザーが必要に応じて説明文を入力する。完成したマニュアルはそれぞれ専用URLが振り出される。アクセス制限をかけて特定のユーザーだけに通知したり、一般公開したりできる。このようなサービスはシステム操作手順に限らず、テキストに書き起こすだけではニュアンスまでが伝わりにくい一般的な作業手順のマニュアル化に向いている。
業務マニュアルの配布や差し替えにまつわる課題を解決
このようなツールを導入するメリットの1つが、業務マニュアルの「配布」や「差し替え」にまつわる課題を効果的に解決できる点だ。例えば、Teachme Bizのようなクラウドサービスを使って業務マニュアルをユーザー間で共有するやり方であれば、マニュアルを個別のユーザーに配布するという作業が簡略化できる。また内容のアップデートもクラウド上のコンテンツを入れ替えるだけで済むので利用ユーザー側には追加作業が発生しない。同様にブルーポートの「iTutor」も作成したマニュアルをHTML5形式で出力する機能を持つ。こちらはサーバを自社で準備しなければならないが、やはり配布や差し替えにまつわる課題を解決できる。
このように「特定のURLやクラウドサービスにアクセスすれば、必ず最新版の業務マニュアルにたどり着ける」という安心感を提供することで、業務現場におけるマニュアルの活用もより促進されるだろう。また、内容の更新が即座に業務現場に反映される点は、特に業務プロセスの変更が頻繁に行われる業態においては極めて重要なポイントだ。
■コラム:動画を活用した業務マニュアルのポイントは?
近年ではスクリーンショットや写真だけでなく、動画を積極的に業務マニュアルに取り入れる動きも出てきている。特に、細かな操作や所作を表現する上では極めて効果的だ。事実、先に紹介した2製品も、動画を業務マニュアルコンテンツに取り入れる機能をサポートしている。
ただしユーザーによっては、長い手順を丸々動画で見せられることを負担に感じるかもしれないため、基本的な手順の説明は静止画を中心に構成し、どうしても動画でないと伝わらない部分のみを動画で表現するような使い分けがお勧めだ。
動画コンテンツは社内向けの業務マニュアルとしてだけではなく、Eラーニングや製品デモンストレーション、販促資料などとしても活用できる。また、公開コンテンツとして自社製品やサービスの製品マニュアルとしてエンドユーザーに対して公開するといった使い方も広がっている。
業務マニュアル作成ツールの選び方
最後に、業務マニュアル作成ツールを選定する際のポイントをまとめよう。
マニュアル作成業務の課題を洗い出す
まずは、マニュアル作成・運用業務において自社が現在抱えている課題をきちんと把握し、その解決に適したツールを選ぶ必要がある。まだマニュアル化されていない業務、あるいはマニュアル化の効果が得られていない業務を洗い出した上で、どの業務のマニュアル化(もしくはマニュアル改善)を優先的に進めるべきかという優先順位を決めよう。ツールベンダーのコンサルティングサービスを利用するという手もある。
マニュアル作成機能を使いこなせるか?
機能の豊富さに目を奪われてツールの使い勝手に目が行き届かないと、効率化のために導入したツールの使い方に戸惑い、作業効率が下がってしまう可能性もある。業務マニュアルの作成担当者が直感的に、できれば誰もが普段から使い慣れているOfficeアプリケーションに似た感覚で使いこなせるかどうかチェックしたい。
自社要件とコストとのバランスに注意
業務マニュアル作成ツールは一般的に、カバーする機能や出力フォーマットの範囲によって、幾つかのエディションに分かれている。またソフトウェアライセンスの提供形態には一括買い取りだけでなくサブスクリプション形式(月額払い、年額払いなど)といった選択肢も用意されている。製品の種類やエディション、ライセンス体系などによって初期導入コストやランニングコストが大きく異なってくる。自社の要件を満たすために必要な導入・運用コストを綿密に試算しておきたい。
マニュアルの「閲覧履歴」は取得・閲覧できるか?
業務マニュアルには、その企業特有の業務プロセスや、他社には知られたくない貴重な業務ノウハウが含まれることが多い。特にクラウドサービスを利用する際にはセキュリティ面にも注意したい。今回紹介したTeachme Bizでは、IPアドレスを基にしたアクセス制御、ログによる履歴情報の管理などを提供する。
「いつ、誰が、どのマニュアルを参照したか」という履歴情報は、業務マニュアルの活用を促す上でも有用だ。データを分析することで活用度の低いマニュアルや効率の悪い業務プロセスを特定し、その改善につなげられる。業務マニュアルの効果を真に発揮させるためには、PDCAサイクルを継続的に回してその内容をブラッシュアップしていく必要がある。
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IT導入完全ガイド(提供:キーマンズネット)
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