IoTスペシャリストを目指そう(5)
第5問 センサーと組み込みシステム(1/2 ページ)
IoTプロジェクトを計画・推進するには、技術から法律まで幅広い知識が求められます。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。今回のテーマは、センサーと組み込みシステムについてです。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)というと、センサーで測定・取得した無数のデータをネットワークを介して、クラウドやサーバに収集・蓄積し、それらを処理して新たな価値創造につなげる――といった利用が考えられます。例えば、農業分野であれば、田畑の温度、湿度などをセンサーで測定し、クラウドで「見える化」することで生産効率の向上に役立てるといった利用が考えられます。
このようなIoTシステムには、どのような機能が要求されるのでしょうか。
一般的には、低消費電力(バッテリー駆動)で、温度センサー、湿度センサー、照度センサーなどを搭載し、携帯電話通信網でネットワーク接続ができる機能を備え、各種制御をCPUが担うといった機能(構成)が求められるでしょう。この例のように、“田畑の状況を見える化する”といった特定の目的を持って作られる機器や装置のことを「組み込みシステム」と呼びます。
組み込みシステムは、特定の目的に特化したシステム(機器)を指しますので、家庭内で用いられる電化製品(テレビ、洗濯機、電子レンジなど)のほとんどが、組み込みシステムといえます。
組み込みシステムの入出力
組み込みシステムではCPUだけでなく、メモリや周辺機器に接続するためのI/Oが必要です。これらを一体にしたものをここでは「MPU」と呼びます。MPUには、温度センサーなどのセンサー類だけでなく、内部の状態を表示するLEDや操作するためのスイッチ(SW)などが接続されます。その回路図を図2に示します。スイッチや温度センサー、LED以外に、抵抗やコンデンサー(C)、トランジスタ(Tr)、そして電源とアース(GND)が記号で表されています。なお、通信については省略しています。
スイッチはON/OFFの状態を入力し、LEDは点灯/消灯の状態を出力します。どちらも「0」か「1」で表すことができるデジタル信号です。これらはMPUのデジタル入出力(I/O)端子に接続します。また、LEDを駆動するために必要な電流を端子で賄えるのであればLEDを端子に直接接続しますが、電流が不足する(流すことができない)場合には、駆動用のドライブ回路が別途必要となります。図2の回路図では、トランジスタを用いてLEDを駆動しています。
MPUのデジタルI/O端子は内部データの1bitごとに対応付けられ、入力/出力の設定を行えるのが一般的です。高電位や低電位で「1」か「0」を表すデジタルデータですが、アナログ的な面もあります。その例として、入力では「チャタリング」、出力では「デューティ比」によるLEDの明るさ調整があります。
スイッチは、金属の可動接点と固定接点とが接触することでONになります。このとき、接点でバウンド現象が起こるので、安定するまで微小なONとOFFが繰り返されます(そのため、1回のスイッチ操作・押下で複数回スイッチ入力されることになります)。これがチャタリングです。図3ではONを高電位、OFFを低電位で表しています。このチャタリングを防止するために、スイッチ入力回路にコンデンサーを追加することがありますが、ソフトウェアで対策することも可能です。回路図のスイッチはGND側に接続しているので、図3とは異なり、OFFのときが高電位で、ONで低電位になります。
LEDの明るさ調節には、デジタル値に対応したアナログ電圧を出力するDA変換回路が必要です。高電位と低電位だけを出力するデジタルI/O端子でも、LEDの明るさを調節できる端子があります。高電位と低電位を図4のように繰り返すことで、例えば、デューティ比が25%のときは薄暗く、75%なら明るく点灯させることができます。0%なら消灯で、100%なら最大輝度になります。点滅を高速に繰り返したり、平滑用のコンデンサーを用いたりすることでチラツキを防止できます。
温度や動きの入力
温度センサーは、温度によって抵抗値が変化する素子をよく用います。温度センサーや照度センサーなどのように抵抗値が変化するものや、フォトダイオードのように自ら電圧を発生するセンサーは、MPUのアナログ入力端子に接続して電圧を入力します。アナログ入力端子を持たないMPUの場合は、AD変換回路を用いてデジタル信号に変換してから入力します。
AD変換回路は、アナログ電圧をデジタル値に変換する回路で、アナログ入力端子を持つMPUは、AD変換回路を内蔵しています。AD変換回路の重要な特性に「分解能」と「変換速度」があり、変換方式によって異なります。例えば、分解能には6bitや12bit、24bitなどがあり、変換速度が速い方式は分解能が低く、分解能が高い方式は変換速度が遅い傾向があるので、用途に応じて変換方式を選択します。
ジャイロセンサーなどは検出した角速度などをデジタル信号に変換して出力するものもあるので、その信号に対応した入力端子を用います。
今回の問題
それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します! 今回はセンサーに関連する設問となります(※)。
問題(5):
センサーおよびその入出力に関する説明として正しいものを1つ選びなさい。
- 温度センサーなど、抵抗値が変化する素子はDA変換回路を用いて電圧を内部データに変換している。
- LEDはデジタルI/O端子に接続し、出力状態に設定する。デジタルI/O端子では明るさを調整することができない。
- デジタルI/O端子で流せる電流値が大きければ、LEDを直接接続して点灯させることができる。
- 1回の押下で複数回スイッチ入力されてしまうチャタリングをソフトウェアで防止することはできない。
※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。
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