IoTスペシャリストを目指そう(1)
第1問 マイクロコンピュータとシングルボードコンピュータの違い(1/2 ページ)
IoTプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど幅広い知識が必要となります。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。
はじめに
「IoT」は“Internet of Things(モノのインターネット)”の略で、文字通りコンピュータだけではなく、家電製品などを含む“あらゆるモノ”がインターネットにつながることを意味しています。
しかしながら、このような直接的な意味だけでは、あまり価値を感じない方も多いのではないでしょうか。実は、IoTの本当の価値はモノがインターネットにつながる“先”にあるのです。
IoTにおける本当の価値とは、あらゆるモノからデータを大量に収集して分析し(第1段階:見える化)、その分析結果をもって現実社会の装置やサービスを制御して動かし(第2段階:制御)、最終的に制御を自動化し人工知能(AI)を用いて効率改善すら自動的に行う(第3段階:最適化・効率改善の自動化)ことにあります。
つまりIoTは、ビッグデータやロボット制御、人工知能までも含んだ、大規模な社会の仕組みを変えるための技術であり、その総称として捉えることができます。
そのため、IoTは“あらゆる業界のビジネスルールを大きく変える”といわれており、IoTが第4次産業革命の起爆剤になるともいわれています。その証拠にドイツの「インダストリー4.0」、米国の「インダストリアル・インターネット」、中国の「中国製造2025」など、さまざまな国において国家規模でこれからダイナミックに変わるIoT時代へ向けたプロジェクトがスタートしており、日本においても政府がIoTを重要施作のキーワードと位置付け、官公庁が全面支援する形で大規模な企業連合ともいえる「IoT推進コンソーシアム」を立ち上げています。
併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
- 通信事業者58社に聞く、5G動向調査レポート「けん引役はIoT」
- 5Gは「IoTデバイスを制御する」ことだけが目標?
- モノのインターネットを支える技術とその可能性
- IoTの運用管理におけるネットワーク 7つの課題
- リコーが開発した「発電ゴム」はIoT製品開発のヒントとなるか
IoT関連情報をまとめてチェック:
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)にまつわる業界・企業動向、技術トレンド、IoT活用ソリューション、IoT構築支援サービスなどの情報をまとめてお届けします(特集ページはこちら)。
IoTが日本にもたらす未来
産業革命とは、技術の大幅な進歩により社会やビジネスルールが大きく変わることを意味します。
つまり、産業革命にうまく適応できた国や企業は、大きな発展を成し遂げて経済的成長が期待できますが、適応できなかったり競争に乗り遅れてしまったりした場合はチャンスを逃し産業が衰退してしまう……ということも考えられます。
そして、どの分野の有識者に話を聞いても、近い将来に関して同じ認識を共有しています。
それは、近々、「IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットによって社会が大きく変わる」ということ、そして「日本はこれらの分野で立ち遅れると技術大国としてのポジションを失う可能性が高い」ということです。
つまり、全ての企業にとってIoTは積極的に投資すべき必須領域であり、「やるべき」ではなく、「やらなければならない」テーマなのです。同時に、製造、環境、エネルギー、セキュリティ、サービスなどあらゆる分野において、日本が再び技術大国として世界をリードする国・企業となるための大きなチャンスでもあります。
IoTにおける大きな課題
さてここまでの内容で、IoTの重要性は十分に理解いただけたかと思います。
もう、スタートの合図は鳴っているのです。つまり、これから計画するのではなく、実際に走り出さなければなりません。ライバル(先進的海外企業)は既に先行しているかもしれません。
しかしながら、IoTの世界でスタートを切るには、どの企業にも共通した大きな課題があります。
その大きな課題とは、
「人材育成」
です。
はっきり言って、IoTの世界で活躍できる人材を育てるのは容易ではありません。その理由は幾つかありますが、一番の原因は“必要な知識が非常に幅広い”点にあります。
IoTのプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど非常に幅広い分野に関する知識が必要です。それに加えて、IoT特有のプロジェクト管理手法や設計手法も学ぶ必要があります。
つまり、幅広い知識を持つ人材でないとIoTプロジェクトに関わることすら難しいというのが、IoTプロジェクト推進の大きな足かせになっているといっても過言でありません。
IoT検定の目的
IoT検定制度委員会は、人材育成に関する大きな課題を解決するための方法の1つとして、中立な立場でIoTに関するスキルを認定する試験「IoT検定」を制度化しました。
IoTに関する知識だけを問うのではなく、IoTの真の価値を理解し世の中を変えられる人材を認定することを目的としているため、試験範囲に企業戦略やビッグデータ、人工知能などの成長技術分野も含まれています。
IoT検定は、検定を開発する過程でIoTに関わるさまざまなポジションにおいて必要となる知識や技術が標準スキルとして定義されており、検定を通じてスキルを効率的に学習し身に付けるための手助けができると考えています。
「IoT検定の合格」という分かりやすいマイルストーンを設定することで、企業における学習支援や個人のモチベーション向上につながり、優秀なIoTプロジェクトを推進する、次世代の産業を引っ張るリーダー的人材を輩出することができるのです。
また検定の実施以外にも、本連載を始め、さまざまな形で学習に必要な情報発信や教材の開発、企業や各種学校における教育の支援などを実施していく予定です。
2016年4月に業界有識者の協力を得てβ試験を行い、2016年5月に正式な受験開始となる「IoT検定レベル1プロフェッショナル・コーディネータ」はIoTの基礎的知識やスキルを全般的に問う内容となっており、企業経営者、企画担当者、プロジェクト推進、営業、マーケティング、技術者、コンサルタントなど幅広い職種の方を対象としています。
IoT検定レベル1プロフェッショナル・コーディネータの出題分野としては、「戦略・マネジメント」「産業システム」「法務」「ネットワーク」「デバイス」「プラットフォーム」「データ分析」「セキュリティ」の8分野です。
範囲が広く感じるかもしれませんが、基本的かつIoTで必須の知識についての設問が中心となりますので、しっかりと勉強すれば合格は難しくないと思います。また、開発予定の「レベル2」「レベル3」に関しては、デバイス開発、ビッグデータ、人工知能などの専門的な知識について問う内容となる予定です。
IoT検定の詳しい出題範囲については、こちらのPDFをご覧ください。
今回の問題
それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します! 今回はIoT検定スキルマップの「デバイス - 制御装置」に該当する設問となります(※)。
問題(1):
ベンチャー企業を中心に、IoT製品やIoTデバイスのプロトタイプにおける制御装置としてよく利用されるシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」に関する説明として正しいものを1つ選びなさい。
- プログラムはマイクロコントローラ(制御用IC)のフラッシュメモリに保存し実行されるので、実行できるプログラムの容量はマイクロコントローラに搭載されているフラッシュメモリの容量に依存する。
- 主記憶装置としてSDカードまたはマイクロSDカードを利用しプログラムを実行する。
- OS上でプログラムを動かすので、プログラムに変更を加え切り替える時に、ボードの電源を切って再起動する必要はない。
- 電源を投入してからプログラムが起動するまでの時間は、「Arduino」のようなマイクロコンピュータよりOS上でプログラムを動かすRaspberry Piの方が短い。
※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IoTスペシャリストを目指そう
IoTプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど幅広い知識が必要となります。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー