矢野経済研究所 ADAS用キーデバイス/コンポーネント世界市場
2020年、ADAS用キーデバイス/コンポーネント世界市場は1兆円超
矢野経済研究所はカーエレクトロニクスメーカー、半導体メーカー、自動車メーカーを対象に、ADAS用キーデバイス/コンポーネント市場に関する調査を実施。その調査概要を発表した。
先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)とは、車両のフロントやサイド、リアに装着されたセンサーデバイスにより車両の周辺状況を検知し、事故を未然に防ぐシステムのことである。主な運転支援機能として、「LKS(車線維持支援)」や「ACC(前方車両追従)」「AEB(緊急自動ブレーキ)」「TSR(標識認識)」などが知られている。
近年では、日米欧でADAS装着車両が増えつつあり、ADASの実現を支えるキーデバイス/コンポーネント市場も盛り上がりを見せている。
こうした状況を受け、矢野経済研究所はカーエレクトロニクスメーカー、半導体メーカー、自動車メーカーを対象に、ADAS用キーデバイス/コンポーネント市場に関する調査を実施。その調査概要を2016年7月11日に発表した。
なお、同調査におけるADAS用キーデバイス/コンポーネントとは、車両のフロント、サイド、リアに搭載されるミリ波レーダー(76/77GHz)、準ミリ波レーダー(24/25GHz)、ADAS用カメラ、赤外線レーザー、ナイトビジョン、超音波センサーなどを指し、いずれも乗用車および3.5t以下の商用車に搭載されるものを対象とした。
日本市場、2015年のADAS装着率40%超
2015年におけるADAS用キーデバイス/コンポーネントの世界市場規模は、4327億7900万円。前年比39.5%増となり、日米欧を中心にADAS搭載車両が急増しているという。2015年に関しては、欧州よりも日米での増加率が高く、両市場とも高級車以外でもADAS搭載車両が増加傾向にある。
日本では2014年末以降、トヨタ自動車やホンダからAEB搭載車両が販売されており、2015年時点のADAS装着率は40%を超えている。これは日欧米の中で、日本が最もADAS装着率の高い市場であることを示している。米国では、2022年までに主要20社が製造する全新規販売車両においてAEBが標準搭載される見通しであり、各社前倒しで対応することが予想され、2020年までに90%以上の新規販売車両にADASが標準搭載される見込みである。一方、欧州についてはミドルクラス以下にもADAS標準搭載が進んでおり、2015年は日本と同様にADAS装着率は40%を超えている。今後、2017~2019年にかけてコンパクトクラスへの搭載が進むと予想されている。
2016年以降は、ADAS用センサーの需要拡大が急速に進み、2020年におけるADAS用キーデバイス/コンポーネントの世界市場規模は1兆4475億5500万円に、2014~2020年における年平均成長率(CAGR)は29.3%になるとみられる。
ADAS用センサー別、2020年市場展望
ADAS用センサーの中で、カメラが最も市場規模が大きい。ADAS用カメラの2015年市場規模は1511億8500万円に達し、ミリ波レーダーの市場規模を上回っている(パーキングアシストなどのビューカメラは除く)。日米欧での歩行者AEBの採用が後押しし、車両と歩行者、自転車などの認識・区別が可能なカメラはADASで必須のセンサーとなっている。加えて、カメラの高機能化が進んでおり、2016年から一部メーカーでディープラーニングの採用も始まっているという。また、自動運転向けに複数カメラの搭載も検討が進んでいる。こうした動きから、ADAS用カメラの2014~2020年までのCAGRは、ADASセンサーの中で最も高い43.6%となり、2020年には6800億3000万円に達する見込みである。
ADAS用カメラの次に市場規模が大きい76/77GHzミリ波レーダー。2014~2020年までのCAGRは27.8%で、2020年の市場規模は3884億1600万円になると予測される。2019年以降、CMOSプロセスを適用したミリ波レーダーの製品投入が進み、検知距離100m以下の周辺監視向けSRR(Short Range Rader)に使われる見通しである。このため、車両1台当たりに搭載されるミリ波レーダーの数は5~6個に増加し、24/25GHz準ミリ波レーダーから76/77GHzミリ波レーダーへの置き換えも2020年以降に進むと予想。これに伴い、需要拡大によるコストダウンも進むことから、金額ベースでの年平均成長率はADAS用カメラよりも低いと考えられる。
24/25GHz準ミリ波レーダーは、検知距離70~80m、検知角度180度のリア/サイドの周辺監視向けSRRとして採用されている。「BSD(死角検知)」「LCA(車線変更補助)」「RCTA(後方車両衝突・接近警報)」向けにリアバンパーに2個装着されるケースが多く、高級車では1台当たり5個の準ミリ波レーダーが搭載されている。低コストであるため一定の需要が期待できることから、2014~2020年までのCAGRは26.2%、2020年の市場規模は2553億6000万円になると予想。24/25GHz準ミリ波レーダーを量産出荷しているメーカーは、高度な運転支援機能に対応するため、より高分解能な76/77GHzミリ波レーダーによるSRRの製品開発を進めている。このため、CMOSプロセスによるミリ波レーダーのコストダウンが進む2020年以降については、SRRの24/25GHzから76/77GHzへの置き換えが進む可能性が高く、24/25GHz準ミリ波レーダーの成長は鈍化するとみられる。
検知距離が3~4mの超音波センサーについては、近距離における障害物を警報するクリアランスソナーが、駐車支援システムなどで使われている。車両1台当たりの搭載個数は年々増加しており、高級車では12個の超音波センサーが使われている。超音波センサーを採用した駐車支援システムは欧州市場がこれまで中心であったが、低コストであるために日本市場でも採用が拡大する見込みである。また、駐車支援システムの高機能化、自動駐車の実用化と併せて超音波センサーの車両1台当たりの平均搭載個数は9~10個まで上昇するとみられる。このため、超音波センサーの2014~2020年までのCAGRは19.0%になり、2020年の市場規模は858億2600万円になる見通しだ。
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