実録、挑戦を続けるエンジニア/JDSound 宮崎晃一郎氏
音楽とは無縁だった半導体エンジニアが創り出したA4サイズのポータブルDJシステム(3/4 ページ)
「良いものを作れば売れる」エンジニア社長のさが
TechFactory編集部 GO-DJは2012年末に5万9800円(税別)で発売されましたが、売れ行きはどうでしたか?
宮崎氏 始めは全く売れませんでしたね。当然と言えば当然なのですが、消費者からすれば、どこの会社が作ったのかも分からない製品ですし、全員エンジニアで構成されるわれわれも製品をPRするすべを知りませんでした。正直「良いものを作れば、勝手にその評判が拡散して売れる」と考えていましたが甘かったですね(笑)。エンジニア社長にありがちな発想でした。
そんな感じで、製品には絶対の自信があるのに、なぜか全然売れないという状態がしばらく続きました。
その後、米国のMonster(モンスター)社との提携もあり転機を迎えますが、基本的にGO-DJの売れ行きはジワジワとゆっくり伸ばしてきたという感じですね。
GO-DJはファームウェアアップデートにより機能追加や改善が定期的に行われています。こうした新機能や改善には、メールやSNSに寄せられたユーザーさんの意見が生かされています。DJプレイをしないわれわれには「DJ機器はこうあるべきだ」という考えがないので、特に日ごろプレイされているDJさんからの意見はとても参考になりました。基本的にメールの返信やSNSの対応などは全部私が行って、エンジニアの皆には、できるだけ目の前の仕事に集中してもらうようにしていました。
こうした地道な改善を続けてきたことで、GO-DJのユーザーレビューなどで「GO-DJはユーザー参加型のハードウェアだ」とか「自分の意見が取り入れられてうれしい」などのコメントがみられるようになりました。そういう意味で初期ユーザーさんは、少しずつ製品が良くなっていく経過を見守りながら、その成長を実感できて楽しかったのではないかなと思います。
第2世代モデルは「3段ロケット方式」で資金調達
TechFactory編集部 今回、第2世代モデルGO-DJ Plusの資金調達をMakuakeで行っているわけですが、何か理由はあるのでしょうか?
宮崎氏 GO-DJのときは、自分たちの資金と助成金などを活用して開発資金を集めて製品化にこぎつけました。ただ、先ほども述べたようにプロモーションに関して非常に苦労した経験がありました。
「あの苦労を再び味わいたくない」という思いから、資金調達ができると同時にネットでの発信力のある(=PRができる)Makuakeを活用することにしたのです。
GO-DJ Plusは、GO-DJの次世代モデルという位置付けで、A4サイズの筺体に2つのタッチパネルディスプレイによるターンテーブルと、物理スイッチを搭載したミキサー、そして大音量・高音質スピーカーを内蔵したオールインワンのポータブルDJシステムです。消費電力も小さく、バッテリー駆動で12時間ほど動作するので、屋外でも十分にDJプレイを楽しむことができます。
今回の2000万円という目標金額はかなり本気の金額です。100万円程度だと基板すら作れません。金型を起こすだけでも1700万円くらいは平気でいくと思います。ですから2000万円という金額は製造できるギリギリのラインで、支援者分の製品(450台)を製造して届けたら終わりで利益はありません。残るのは金型くらいでしょう(笑)。そういう意味で、何とかスタートラインに立てる金額が2000万円ということで、ビジネスのゴールというわけではありません。
目標金額を2000万円で設定していますが、われわれとしては、募集の最終日までにMakuake史上最高の4000万円の資金調達を目指しています。プロジェクトを立ち上げて2週間程度で目標の80%が集まったので、4000万円という数字は決して不可能ではないと思っています(※記事公開時点で2000万円の目標をクリアしている)。
さらに、今回は「3段ロケット方式」で資金調達を行う計画です。第1段目のロケットが現在行っているMakuakeです。次にMakuakeで目標の2000万円を達成したあたりで、米国の「Indiegogo」でも資金調達を始める計画です。これが第2段のロケット。その後、Makuakeでの募集期間が終了したタイミングで、中国の大手クラウドファンディングサービスでも資金を集める予定で話し合いが進められています。この3段目のロケットで一気に宇宙空間まで突き抜けたいと思っています。
われわれが今回のプロジェクトを成功させることで、日本から次々とハードウェア系のプロダクトを手掛けるスタートアップが誕生することを願っています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
実録、挑戦を続けるエンジニア
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー