連載
間違いだらけの組み込み系品質管理、面倒な品質管理を楽しむコツ:IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(8)(3/4 ページ)
ソフトウェアの品質管理はつらくて面倒だ。品質計測や品質制御は効果をすぐに実感できるが、品質管理の効果は後でしか得られない。「面倒だが後が楽になる」と分かってはいても面倒は面倒である。こんな品質管理を楽しくする方法はあるのだろうか。
ツールを使う
精神論的には上で終わりであるが、品質管理を楽しく美しくする技術的な施策もいろいろある。最初に紹介した自動化が基本的な考えであり、自動化するためにはツールを導入することになる。
あなたがハッカーでない限り、ツールを手作りする必要はなく、探してきて使えば良い。カスタマイズは必要になるかもしれないが、多すぎるカスタマイズは障害を呼び起こすので注意が必要である。目的はあくまでも品質管理なので、ツール至上主義・原理主義に陥らないように、ツールとは一定の距離を保って付き合うようにするべきだ。
ツールはただ使うだけではダメで、周囲と一緒に使うことが大切だ。このために普及と啓蒙、そして教育が欠かせない。ここでもツールの普及を目的とせずに、品質管理の普及を目的とする。普及のためにはお金を惜しまないことが必要である。お金なくしては普及なしである。
もう1つ、ツールを使う大事な意味がある。責任の一端をツールに持たせ、一部でも責任と判断をツール任せにすることである。ツールによる判断を信じるかどうかは置いておいて、これで多少の気が休まる。人工知能による品質管理ができてくれば、さらに責任転嫁をしやすくなるだろうが。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プロジェクトを成功させるモデリングの極意(完全版)
ソフトウェアの開発において「モデル」へ求められるものはなんでしょうか。モデルの分かりやすさの基準=モデルの良さの基準を紹介し、“プロジェクトを成功させるモデリングの極意”として、モデリングを成功させるコツを学んでいきます。 - IoTやAIが一般化する時代、ソフトウェアテストはどうあるべきか
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて考察する。 - ソフトウェアテストの試練(後編)―IoTとAI、ビッグデータが愛したテスト
IoTとAI、ビッグデータが一般化した時代に求められるソフトウェアテストとは、どのようなものになるのか、今回は新時代に求められるテストの必要条件とは何かを見ていくことにする。 - ソフトウェアテストの試練(前編)―IoTとAI、ビッグデータの試練を乗り越える開発
IoTやAI、ビッグデータのソフトウェアテストにどんな試練と障壁が待ち受けていて、その壁は登り越えられるのか。今回から新時代のソフトウェアテストの試練について見ていく。まずはテストに深く関係する「ソフトウェア開発」について振り返る。 - ソフトウェアテストのコストと品質(後編)―現場と「上」で一緒に考える
ソフトウェアテストの最大の問題である、「テストにかけるコスト」と「得られる品質」のバランスをどのように取るのか。この関係について、開発現場と経営者的視線である「上から目線」の双方から考えていく。 - ソフトウェアテストのコストと品質(前編)―「テストの究極の問題」を考える
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。