IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(2)
ソフトウェアテストのコストと品質(後編)―現場と「上」で一緒に考える(1/6 ページ)
ソフトウェアテストの最大の問題である、「テストにかけるコスト」と「得られる品質」のバランスをどのように取るのか。この関係について、開発現場と経営者的視線である「上から目線」の双方から考えていく。
テストコストと品質の問題
ソフトウェアテストにおける最大の問題は「テストにかけるコスト」と「得られる品質」のバランスである。前編ではソフトウェアテストの定義から始めて、その目的や原則を開発現場と「上から目線」で確認したが、ソフトウェアテストにはいくつかの問題があることも見てきた。後編ではその問題の中で一番重要である、コストと品質の問題を詳しく見ていくことにする。
この「コストと品質」の問題は、今すぐ手当てをしなければ悲惨な目に遭うことになる重要な問題である(図1)。注意しなければいけないのは、この問題を開発現場のだけの問題に矮小(わいしょう)化しないことである。現場はもちろんであるが、上から目線で会社全体の問題として捉えるべきである。
そしてさらにIoTとAI、ビッグデータの要素が加わることでさらにコストは見積もりにくくなり、品質も計測しにくくなる。このため、思慮深く慎重に、そして大胆にコストと品質のバランスを考えていく必要が生じる。IoTやAIなどの要素が加わった際の話は後日として、今回は従来のソフトウェア開発における、テストコストと品質のバランス問題を考える。
問題1 テストコストと品質のバランス
ソフトウェアテストで出てくる大きな問題を以下で紹介する。ここでは技術的な問題よりも運用的な、そして全社施策的な問題も取り上げている。これらの問題の解決は技術者個人で行えるものではなく、会社として一体となり解決しなければならない問題である。
今までにも言及してきたようソフトウェアテストで一番の問題、それも全社的な問題になるのは「コストと品質のバランス」である。前編で紹介したソフトウェアテストの原則2「完全なテストは不可能」と原則6「テストは条件次第」、さらに原則7「バグゼロの落とし穴」から、製品に応じてどれだけのコストをかけてテストをするのか、そのバランスをどのように取るかがソフトウェアテスト最大の悩みである。
IPA/SEC(情報処理推進機構)が出している「ソフトウェア開発データ白書」に掲載されている統計情報によれば、工数比率は設計:製造:試験=1:1:1である(*1)。1億円の仕事であれば、3333万円がテストコストに費やされていることになる。まだ計測数は少ないが、組込み系データ白書では3:3:4になっている。
*1 「ソフトウェア開発データ白書2016-2017」(p.191、ISBN 9784905318439、IPA/SEC(2016))および「組込みソフトウェア開発データ白書2015」(p.128、ISBN 9784905318361、IPA/SEC(2015))
このようにテストコストは大きな割合を占め、経営にも大きな影響を与えるものになっている。つまり品質とどのようにバランスを取り、適正なコストをテストにかけるのかが問題である。これを開発現場と経営者的視点である「上から目線」で考察していくことにする。
とあるテスト現場より(1)
A:「先輩、やっぱり品質をお金で買う感じですかね」
B:「そりゃそうだ。それにバグが出たときに言い訳もできるぞ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[Q.ENESTホールディングス株式会社] 電気代が読めないリスクを回避、エネルギー変動時代のリスクを乗り切る短期PPA -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
スキマ時間に学ぶ! 日本経済のいま(第33回~34回)
-
3
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
4
組み込み開発ニュースまとめ(2026年7~9月)
-
5
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
6
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
7
高精度DAQでも活用できる「絶縁型シグナルチェーン」とはどのようなものか?
-
8
DMG森精機の欧州深耕
-
9
DAQ用µModuleで実現する状態監視システムの高精度位相マッチング
-
10
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー