将来に向けて導入効果を上げていける3D CADの選び方:設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(10)(1/2 ページ)
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第10回では前回に引き続き、3D CADの評価・選定ポイントについて掘り下げます。
3D CADの選び方
前回は3D CADを評価、選定するための前提として、世の中にどのような3D CADが存在するのか、その種類と概要について紹介しました。さまざまな3D CADの中から自社に適した製品を選択することは容易ではありません。
筆者は昔、「ME30」という3D CADを導入した経験があります。主力が2D CADの「ME10」(当時HPが提供)だった時代です。ME10は非常に優れた2D CADで、今でもその流れはPTCの「Creo Elements/Direct Drafting」に受け継がれています。
ME10が非常に優秀な2D CADだったこともあり、その流れでME30を導入したのですが、産業機械を設計する3D CADとしてうまく使いこなすことができず、知らず知らずのうちに社内で使われなくなってしまいました……。3D CADの導入にはそれなりのコストが掛かります。活用し切れなかったということは、会社にとって完全に無駄な投資だったということになります。
基幹システムなどを導入する際には「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」を作成し、コンペを開催して定量的な判断の上、選定を行います。しかし、筆者としては3D CAD導入時に、このRFPを作成した経験もありませんし、そのような話を聞いたこともありません。
図1は、システム発注などを行う際の流れになります。
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情報収集段階で10〜20社、RFP送付段階では3〜6社に絞られ、最終的に1社が選考されます。かつて筆者は、生産管理システムの選考を行う際に、RFP11社のコンペを行った経験があります。当時は「やり過ぎだ」とやゆされたものですが、最終的に選ばれた製品は目的に適合したものであり、現在も社内で活用されています。
3D CADの場合は基本的に、システムのようにスクラッチ開発(Scratch Development)で一から作り上げられるソフトウェアではなく、完成品のパッケージソフトウェア(Packaged Software)を購入することになります。その主な種類については、前回紹介した通りです。
3D CADに関する情報収集は、技術情報誌やWebメディアの記事などで手軽に入手できると思います。また、より詳しい情報を入手したい場合は、展示会や各メーカーが主催する展示会/カンファレンスといった機会を活用するとよいでしょう。
何を選定基準とすべきか? そのポイントと注意点
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