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成長に自信を見せるルネサス、前途多難な東芝:企業動向を振り返る 2017年2月版
東芝が解体へのカウントダウンを刻む中、一時は経営が危ぶまれたルネサスが好調な業績見込みを発表しています。
2017年2月の出来事ではありませんが、この記事が掲載されたおよそ1週間後、2017年3月30日には東芝が臨時株主総会を開催し、メモリ事業の分社化を正式に決定する見込みです。本稿執筆時にはどのような企業がどのような金額で入札に応じるか不明ですが、半導体ベンダーや内外の投資ファンドに加え、技術流出を懸念する政府系金融機関の入札もささやかれています。
メモリ事業を売却した東芝は社会インフラ事業を中心に、エネルギー事業、半導体(メモリを除く)、HDD事業、ICT事業に注力し「2020年3月期に売上高4兆2000億円、営業利益2100億円を目指す」としていますが、稼ぎ頭となったメモリ事業を手放しながらの達成は容易ではありません。より厳しいかじ取りが求められることは間違いないでしょう。
東芝が窮地に追い込まれている中、同じく日系企業であるルネサス エレクトロニクスは2017年2月の業績発表で事業成長に向けて自信を示しました。
ルネサスはNECエレクトロニクスを母体に日立製作所と三菱電機の半導体部門が統合して誕生した日の丸半導体企業であり、これまではなかなか収益の安定が見られませんでしたが、2017年度第1四半期(2017年1〜3月)の業績として売上高1710億円、営業利益233億円を見込むなど好調です。
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