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自動運転車に追突されたら保険はどうなる?TechFactory通信 編集後記

ドライバーアシストや自動運転技術の高度化で問題となりつつあるのが、「どこまでを運転車の責任にするか」です。完全自動運転の車に追突されたら、それは誰の責任で、誰が修理代や治療費を負担してくれるのでしょうか?

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 自動ブレーキをはじめとした高度運転支援システム(ADAS)の搭載はもはや珍しくなく、運転手が搭乗しない完全な自動運転車に向けての研究開発も進められています。2017年2月16日には安倍首相が政府の未来投資会議にて「2020年までに自動走行車で地域の人手不足や移動弱者の問題を解決する」と発言するなど、国家プロジェクトとしての開発も進められています。

TechFactory通信 編集後記

この記事は、2017年2月27日発行の「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載されたTechFactory担当者による編集後記の転載です。

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 完全自動運転に関する技術的な課題はさておき、実際の社会でドライバーなしの完全動走行車は走り始める際には、同時に、関連法規や制度の整備も必要になります。法規は道路法や道路構造法、道路交通法、道路運送車両法など、制度としては自動車保険を挙げることができるでしょう。

 技術と法規/規制の関係性として、一般論としては技術開発が先行し、普及と安定が生じた後に関連する法規と規制の整備が進むといえます。自動運転技術に関しては技術開発と法規/規制検討が同時に進んでいるのが現状ですが、損害保険についてだけいえば、日本損害保険協会が2016年6月に報告書(自動運転の法的責任について報告書を作成:日本損害保険協会)を公開しており、ある程度の指針が示されています

 自動運転の程度はレベル0(支援なし)から完全自動運転のレベル4までの5段階で分類されることが多いですが、報告書ではレベル3までは現行法に基づく損害賠償責任の考え方を適用可能としています。つまり、対人事故については自賠法で対処し、対物事故については民法による過失責任で対応できるという判断です。


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