組み込みエンジニアの現場力養成演習ドリル(20)
フォークランド島を爆撃せよ! ――大西洋を横断した壮大な「バケツ・リレー」(4/4 ページ)
8000kmの場合の爆撃
「砂漠の横断」の「採点」でも書いたように、「アルゴリズム」では、常に、「保守性」や「拡張性」を考慮せねばなりません。今回の「フォークランド島爆撃作戦」では、片道が6000kmの爆撃ですが、8000kmになった場合はどうなるでしょうか?
解法の一例を図11に示します。この図は、「行き」だけなので、「帰り」も含めると、全部で15機が必要になります。冗長性を考慮すると、2倍の30機ほどになるでしょう。
一方、「1本の矢印に3本追加する」方式を適用すると、『7機(1つ前の6000kmの場合の総機数)×2(これが矢印の総数になる)×3本×1/2=21機』が必要となり、実践的には2倍の42機前後となります。さらに、片道を1万kmまで拡張すると、最適解では37機、「1本の矢印に3本追加する」方式では45機が必要になり、大きな差はありません。
筆者個人としては、効率の悪さが少し犠牲になっても、理解容易性で勝る「1本の矢印に3本追加する」方式が良いように思います。
後日談
フォークランド島のスタンレー空港への爆撃は、1回目の1982年4月30日(今回の問題が1回目の爆撃)から、6月12日の第7次まで続きました。
5月4日の第2次爆撃では、第1次と同じ編成でしたが、給油方式を最適化しました。ただし、爆弾は飛行場に命中していません。5月12日の第3次は悪天候のため中止、5月28日の第4次も、給油機の故障のため中止。5月31日の第5次は、出撃するも、目標に命中しませんでした。
6月3日の第6次爆撃で事件が起きました。バルカンは目標に爆撃を加えたのですが、帰還時に給油を受けるはずのヴィクターが故障し、ブラジルのリオデジャネイロ空港に緊急着陸しました。これにより、ブラジルと英国の間に微妙な外交問題が発生します。最後の第7次は6月15日で空爆は成功。この2日後に、アルゼンチンは降伏しました。
退役寸前でしかも飛行距離の短い旧式爆撃機を使い、ヴィクターを給油機に改造し、給油の訓練も実施し、1回の空爆で5000m3もの膨大な燃料を消費したこの空爆作戦。これが、「少しずつ確実に進める」という英国魂でしょう。エンジニアリング的に見ても、非常に興味深いものがあります。
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組み込みエンジニアの現場力養成ドリル
このコラムでは、組み込みエンジニアが日々の開発で実際に遭遇する「小さなトラブルを」取り上げ、演習形式で解説します。
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