設計者CAEは普通の解析と何が違う?(番外編)
CAE視点で振り返る「SOLIDWORKS WORLD 2018」(2/2 ページ)
ジェネレーティブデザイン
SWW2018の基調講演および展示会場では、「ジェネレーティブデザイン(Generative Design)」についても見聞きすることができました。ジェネレーティブデザインとは、設計者が設定した条件に基づき、コンピュータがAI(Artificial Intelligence:人工知能)あるいは独自アルゴリズムによって、設計提案を行う手法です。
これを具現化した製品の1つが「SOLIDWORKS xDesign」です。SWW2016において初めてそのコンセプトが語られたSOLIDWORKS xDesign(当時は「Xdesign」と表記)ですが、SWW2018ではその詳細が少しずつ明らかになってきました。SOLIDWORKS xDesignは、設計者が指定した領域や制約条件などを基にコンピュータが形状を自動生成し、条件を満たす最適形状を提案してくれる「デザインガイダンス」と呼ばれる技術が用いられているそうです。
設計の自動化に取り組むSOLIDWORKSは、「アシスト型」「拡張型」「自律型」の3つの設計自動化アプローチを掲げていますが、デザインガイダンスは拡張型の設計自動化アプローチを実現するものです。設計者がデザイン領域、拘束条件などを指定することで、これらを加味した最適形状をコンピュータが自動的に生成してくれます。
さらにSOLIDWORKS xDesignは、Webブラウザで動作します。アプリケーションをPCにインストールすることなく、Webブラウザからいつでも、どこからでもアクセスして利用できます。もちろん、ハードウェア環境もPCに限らず、タブレット端末などからでも使用可能です。SOLIDWORKS xDesignについて、バッシ氏は「もっと多くの人に活用してもらうことを目的とした3Dモデリング環境である」と語っており、正式リリース後はWebブラウザベースの3Dモデリング環境、そしてジェネレーティブデザイン環境として、SOLIDWORKSブランドの裾野を広げていくことでしょう。
残念ながら筆者はまだ触ったことがありませんが、今後βテスト参加者の枠を拡大するとのことなので、早速、SOLIDWORKS xDesignのサイトから“SIGN ME UP”してみました(登録は自己責任でお願いします)。
もう1つ、SWW2018で注目を集めていたジェネレーティブデザイン関連の製品が「Live Parts」です。3Dプリンタに適した最適部品形状を自動生成するシミュレーション技術(アルゴリズム)を搭載する製品で、金属3DプリンタメーカーのDesktop Metalが提供するものです。
これもまた実際に触れて、詳しく検証したわけではありませんが、Live Partsにより求められるその形状は“いかにも有機的”であり、ジワジワと形状が合成されていく様子はまるで植物の成長を見ているかのようでした。
トポロジー最適化/ジェネレーティブデザイン……その先にある課題
さて、コンピュータの力を借りて最適形状を導き出すトポロジー最適化やジェネレーティブデザインですが、“結果を得た先”に課題があるように感じます。
なぜなら、これら技術により最適化(提案)された形状は、必ずしも従来の加工および製造技術に適しているとは限らないからです。理論上、最適な形状だったとしても加工できない、あるいは加工コストが膨らんでしまうようでは実務での利用は難しいでしょう。また、重厚長大を許す製造分野や安全率を上げて信頼性を高くした方がよい部品製造などにおいては、そもそも軽量化に対するニーズは少ないかもしれません。
しかし、金属積層造形が可能な3Dプリンタ(以下、金属3Dプリンタ)を活用すれば話は変わってきます。近年、トポロジー最適化やジェネレーティブデザインの話題が注目を集める背景には、金属3Dプリンタの存在があります。今後、金属3Dプリンタが新しい加工技術として確立され、汎用性が高まっていけば、前述のような問題はクリアされるでしょう。また、軽量化の必要性がないと決め付けているような領域であっても、トポロジー最適化、ジェネレーティブデザインによる新しい設計アプローチと金属3Dプリンタの組み合わせにより、使用材料を抑えたコスト削減を実現できる可能性があります。コストダウン競争が激化する中、こうした考え方はますます重要になっていくことでしょう。
そう考えてみると、今まさに設計、製造の概念が大きく変わろうとしているタイミングなのかもしれません。SWW2018の冒頭でバッシ氏が示したキーワード「産業のルネサンス」の扉が開こうとしているのではないでしょうか。こうした新たな流れに乗り遅れないよう、さまざまな可能性を模索し、準備を進めることをオススメします。
SWW2018に参加した筆者自身も、ダッソー・システムズ・ソリッドワークスが提案する未来像に対して、消化し切れない部分もありますが、実際に成果を生み出しつつある先進事例などを目の当たりにすると、「すぐに追い付くことはできないかもしれないが、どうやって実業務に新しい技術トレンドを適用していくべきか、どこまで踏み込んで関わっていくべきか、真剣に模索しなければならない……」と考えさせられました。
おそらく次回のSWW2019では、より多くの先進事例やデジタル製造の可能性に関するさらなる展望が示されることでしょう。SWW2019の開催が今から楽しみでなりません。 (次回に続く)
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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