NRIメディアフォーラムより
「サービスロボット」の最新動向【後編】(3/3 ページ)
サービスロボット、家庭への普及のカギは?
サービスロボットの家庭への普及はどうしたら進むのだろうか?
店舗やオフィスでの利用(商用目的)ではなく、サービスロボットの家庭への普及を考えた場合、まず消費者の心をキャッチして継続的な使用を促す仕組みが不可欠となってくる。最初は面白がって対話や基本機能だけでも十分楽しめるかもしれないが、そんなものはいずれ飽きてしまう。そうならないためには、ロボットを通じた魅力的なサービスの提供、サービスの充実を考える必要がある。
その際、サービス(アプリケーション)は、ロボット開発メーカー自身が作り・提供するものだという従来の考え方にこだわるのではなく、サードパーティーを巻き込み、彼らが開発したアプリケーションを含め、ユーザーが任意に使いたいアプリケーションを組み込める仕組みを提供することで、多彩なサービスを展開していくことが家庭への普及に不可欠である。
こうした考えは、スマートフォンのアプリの感覚に近いといえよう。実際に、Pepperはあらかじめ搭載されているベーシックアプリだけでなく、アプリストアから任意にダウンロードできるロボットアプリが数多く提供されている。
消費者向けサービスロボットを手掛ける開発メーカーはロボット開発と同時に、多彩なサービス展開のために、サードパーティーを取り込んだエコシステムの構築も目指さなければならない。
今後の課題
サービスロボット市場の拡大には、まだ課題は残されている。まず技術面では、音声認識/音声対話の精度、処理能力、安全性のさらなる向上が挙げられる。
音声認識/音声対話の精度は以前よりも格段に改善されているが、依然として雑音の多い状況下では認識率が落ちてしまう。そのため、指向性マイクの採用や認識エンジンの最適化などが求められている。また、音声認識/画像認識といった重たい処理が重なるとロボットのレスポンスが著しく低下してしまうため、認識処理などの負荷の掛かる処理をロボット内部で行うのではなく、クラウド上のサーバリソースを活用して処理を行わせるなどの回避策が必要であるという。そして、さらなる安全性の確保のため、ロボットの材質面での改善や制御ソフトウェアの高度化なども続けて取り組んでいく必要がある。
こうした課題の他にも、単なる売り切りではない、サービスロボットに適した新たな製品サポート体系の整備や人間との対話・コミュニケーションで得たプライバシーを保護するためのガイドラインの制定など、制度面での課題も残されている。
もしかすると、現状挙げられている技術的課題はある日突然、道が開けて一気に解決に向かうかもしれないが、利用者からの性能・機能要求はとどまることはない。そういう意味で、ロボット開発メーカーは継続的な研究開発や機能/サービス強化の可能性を模索し続けていかなければならない。一方、制度に関する課題はすぐに最適な環境が整うとは考えづらい側面もあるため、サービスロボットの市場・家庭への浸透とともに、徐々に整備が進んでいくものと考えられる。
併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
- リコーが開発した「発電ゴム」はIoT製品開発のヒントとなるか
- 脳内の“エラー信号”を利用したスマート人工装具の開発とは
- 自動運転の実現を妨げる最大の障害となっているのは、技術ではない?
- スマートグラスと相性がよいAR技術、産業用途へシフトか?
アイティメディア独自調査レポート公開中!!:
アイティメディアの独自調査レポートをはじめ、市場調査会社から発表される報告書、レポート記事などを紹介します(特集ページはこちら)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
市場動向(組み込みソフト)
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
ものづくり白書2026を読み解く
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
3
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
4
プリント基板設計の課題を乗り越えた成功事例集
-
5
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
6
「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは?
-
7
AI×DXで効率化する設備保全まとめ
-
8
若手設計者が育たない? 「探す」時間を「学ぶ」時間に変えるデータ管理とは
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
製造現場の“人材育成の課題”を一掃、階層別に必要な知識を習得する秘策とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー