大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intel復活なるか、見え始めた兆し(1/3 ページ)
Intelの2026年度第2四半期(4~6月期)の業績は好調だった。Intelは最も苦しい時期を脱しつつあるのだろうか。今回の業績を見ながら考察してみたい。
Intelについて、久しぶりの明るい話題
7月の業界に関して言えば相変わらずDRAMやらフラッシュメモリらがえらい事になっており、これがまぁ最大のニュースと言えばその通りである。ただフラッシュメモリはともかくDRAMに関してはITmedia Newsの方に記事(その1やその2)を書かせて頂いているので、ここからさしてUpdateがある訳ではない。そこで今回は久しぶりにIntelの話である。これまでこの連載でIntelを取り上げた時には、あまり芳しい話が出来なかったのだが、今回は久々に明るい話になる。
米国時間の7月23日、Intelは2026年度第2四半期決算を発表した。売上そのものも161億米ドルと第1四半期から35億米ドルほど上乗せになった事もさることながら、営業利益が10億米ドルもの大幅増になっているのが分かる(図1)。
これに関するConference CallからDave Zinsner CFOの主要な発言を拾うと
- 「CCPG(Client Computing and Physical AI Group)の売上高は89億米ドルで、前四半期比15%増となり、当社の予想を上回った。広範な部品調達難や物価上昇にもかかわらず、クライアント市場のTAMは引き続き堅調に推移。AI PCの売上高は前四半期比26%増となり、現在ではクライアント売上高の3分の2を占めている」
(CCPG revenue was $8.9 billion, up 15 percent sequentially, and better than our expectations. The client TAM continued to hold up well despite broad component constraints and price inflation. Our AI PC revenue grew 26 percent sequentially and now represents two thirds of our client revenue mix.)
- 「DCAI(Data Center and AI)の売上高は63億米ドルとなり、前四半期比で24%増、前年同期比で59%増となり、市場予想を大幅に上回った。これはハイパースケールおよびエンタープライズ分野における堅調な需要に支えられたものである。また専用設計製品ラインにおいても引き続き力強い勢いが続いており、売上高は前四半期比で約20%増、前年同期比ではほぼ3倍となった」
(DCAI revenue was $6.3 billion, an increase of 24 percent sequentially and 59 percent year over year, meaningfully ahead of expectations. The result was driven by strong demand across hyperscale and enterprise. We also continue to see strong momentum in our purpose-built silicon product line with revenue up roughly 20 percent sequentially and nearly tripling year-over year.)
- 「(Intel Foundryの)売上高は58億米ドルで、前四半期比6%増となった。これはIntel 18Aの堅調な成長によりFabの生産量が増加したことによるもので、生産量は目標を約25%上回り、前四半期比で50%以上増加した。今四半期での外部ファウンドリー売上高は2億9300万米ドルとなる。第2四半期の営業損失は21億米ドルだったが、Intel 4/3/18Aの各プロセスにおける歩留まりの向上、サイクルタイムの短縮、工場規模の拡大によりウェーハ原価が改善した結果、前四半期比で3億4800万米ドルの改善となった」
(Revenue of $5.8 billion was up 6 percent sequentially, on higher fab volumes driven by strong growth in Intel 18A with output approximately 25% above target and up more than 50% quarter-over-quarter. External Foundry revenue was $293 million in the quarter. Intel Foundry operating loss in Q2 was $2.1 billion, and $348 million better quarter-over-quarter, as higher yields, improved cycle times and increased factory scale across Intel 4/3 and 18A drove improved wafer costs.)
ということで、全体に好調であるとしている。
Intel Productsの業績を2021年から見てみる
Foundry Businessの話は後でするとして、まずはClientとDCAI向け、今で言えばIntel Productsに属する売上高と営業利益を2021年からプロットしてみたのがグラフ1である。ちなみにIntelの場合、しばしば部門が別れたり合併したりしている。Clientとは今だとCCPGを指すが、かつてのCCG(Client Computing Group)やAXG(ARC GPUの製品ライン)も含んでいるし、DCAIはかつてのNEX(ネットワーク&エッジ部門)も含んでいる。
グラフを見ると2021年は堅調だったが、これはいわばコロナ特需である。なので2022年からClient/Data Center共に売り上げが次第に減り始め、2023年に底を打つ形になる。この底を打った時にData Center部門では営業損失が出るほどに下がったのも問題なのだが、Clientはそこから回復基調にあり、2023年末には80億米ドルほどの売上高を確保、営業利益も30億米ドル近くを(多少の上下動はありつつも)維持していたのに対し、DCAIの方は売り上げが50億米ドル未満で低め安定という状況が2025年末まで続き、当然営業利益の方も低めに推移していた。つまるところIntelの不調はこのDCAIの売上高が芳しくない事に起因した問題だった訳だ。そう考えると、この1年というか2026年に入ってからのDCAIの売上の急回復ぶりはちょっと異例なものがある。数字で示すと
| 四半期 | 売上 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2025年Q3 | 41億1700万ドル | 9億6400万ドル | 23.4% |
| 2025年Q4 | 47億3700万ドル | 12億5000万ドル | 26.4% |
| 2026年Q1 | 50億5200万ドル | 15億4200万ドル | 30.5% |
| 2026年Q2 | 62億6200万ドル | 24億7400万ドル | 39.5% |
と、にわかには信じられないくらいの回復ぶりである。単に金額が増えているだけでなく営業利益も伴っているという話であり、これは要するにProduct Mixの中で単価が高い(=Gross Marginも大きい)製品が積極的に売れるようになったと考えられる。
逆に言えば2025年中頃までは低価格帯向けの製品が主体であり、売り上げは立っても営業利益が低めに推移していた訳だ。何で?というとTan CEOは「AIがトレーニングから推論へと拡大し、さらにエージェント型およびマルチエージェント型システムへとますます広がっていく中、汎用サーバのCPU密度が高まり続けており、当社の主力サーバ用CPU事業はかつてない勢いで成長している」(As AI expands from training to inference; and increasingly to agentic and multi-agent systems, general-purpose server CPU density continues to increase, and our core server CPU franchise is growing faster than ever.)と述べており、実際これはその通りであろう。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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