大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
QualcommのDragonfly C1000を読み解く 「苦手な戦場」で勝負できるのか(3/4 ページ)
やはり目立つ「モバイル向け仕様」
Load/Storeユニットの構成が図8である。この辺もMobile向けの感じが明確である。まずL1の容量からしてInstructionの方が大きい辺りで、大量のデータを処理するのではなく、プログラムを高速に処理する事を前提に構成されていると考えられる。それはそれとして、L1とL2は64Byte/cycle(512bit/cycle)で接続されており、NEONがフルに動いてもちゃんと格納できる帯域は用意されている事が分かる。ただLoad QueueがStore Queueの3.5倍、というあたりで書き出しより読み込みを重視しており、またL2からInterconnectへの帯域は半分の32Bytes/cycleに減ってるあたりは、連続して大量のデータ処理を行う事は想定していない事が分かる。これは細かい特徴(図9)を見ても言えることで、Prefetchingがかなり強化されているあたり、読み込み性能を重視した構成になっている事が分かる。
ただ面白いのは、キャッシュ容量とかQueueの大きさはそんな訳でMobile向けに特化させた構造になっていながら、例えばTLBが1cycleでアクセスできるとか、複数のページサイズのサポート、仮想化環境のサポートなどはサーバ向けと同等の構成になっているし(図10)、セキュリティ周り(図11)のPointer AuthenticationやBranch Target IDなどの機能はArm v9.2-Aで採用されているものに近いように思われる。この辺はClient向けの枠を超えて、当初からServer向けの用途を考慮して作り込まれているように思える。
さてそんなOryonだが、2024年に発表されたものは第1世代でMobile向けに特化した構造である。このため、4つのコアで一つのClusterを構成し、おのおののCluster当たり12MBのL2を持つという構造になっている(図12)。先程L2が12MBと大容量だったのは4コア共有だからであり、コア当たりで言えば3MBとまぁ妥当な数字ではある。またTable Walkerの話が図10で出ていたが、恐らくL1だけでなくL2領域もコアごとにTable Walkerで独立してアクセスできる構造になっているのだろう。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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